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第二章 財政対策
第七話
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建物から外に出た徹也と穏恵は、あの女性の元へと向かった。穏恵がここから出る許可を得る為である。
「あ、あの……」
「あら?どうしたの土屋さん?彼との話はもう終わったの?」
「は、はい……。そ、それで、その……。うう……!」
穏恵は外に出ていいのか聞こうとするが、肝心なところで言葉が出てこない。そんな穏恵の様子を見ていた徹也は、穏恵の前に出た。
「話は終わったんですが、少し土屋と出かけたいと思いまして。その許可を貰いに来ました」
「そうなの?土屋さん」
徹也の説明を聞いたその女性は穏恵に確認を取った。それに対し、穏恵は深く頷く。
「は、はい……!そうです……!」
「そう。元々この後は休みの予定だから、構わないわよ。次の作業が始まるまでに帰ってきてくれれば。それまで、楽しんで来たらいいわ」
「あ、ありがとうございます……!」
女性の言葉に、穏恵は礼を言って頭を下げた。女性はそんな穏恵を見て微笑んで、その顔を徹也の方に向ける。
「けれどその前に、君の名前を聞いておきたいわ。これからも会うかもしれないし、ね」
その女性はそう言って、徹也に名前を教えてほしいと頼んだ。その頼みに疑問を覚えながらも、徹也は女性に対して名前を告げる。
「は、はあ。才無佐徹也です。よろしくお願いします」
「才無佐君ね。私はファン・ライシー。一応、この農場の管理を任さているわ。よろしくね」
お互いの自己紹介を済ませた後、徹也とファンは握手を交わした。その際、ファンの豊満な胸が徹也の目に入る。徹也は少しの間見てしまい、すぐに顔を赤くして目線をそらした。
(や、やばい。デカすぎで思わず見てしまった……。ば、バレてなきゃいいんだが……)
だが、握手をし終えて手を離すと、穏恵からジト目で見られていた。そんな様子を見ていたファンは、ふふっと笑ってから徹也と穏恵に話しかける。
「ほら、もういいから行ってらっしゃい。デート、楽しんでね」
「ふえっ!?う、ううっ……!い、行こ、才無佐君」
ファンの言葉を聞いた穏恵は、顔を赤く染めながらも徹也の手を引いて歩き出す。ファンはそれを微笑んだまま見送った。
しばらく歩くと、穏恵が徹也の方を向いた。そして、徹也に話しかける。
「……さっき、ファンさんの胸見たでしょ」
「うっ……!そ、それは……!」
穏恵の言葉に、徹也はバツが悪そうに顔をそらす。見てしまったのは事実だ。あれだけの存在感があれば、見てしまっても仕方のないことなのかもしれない。
「やっぱり、大きい方がいいのかな……」
穏恵は徹也に聞こえない程の声でそう呟いた。穏恵はそこまで大きくはないので、そう感じてしまったのである。
「わ、悪い!できれば、ファンさんには言わないでほしい!」
徹也はそう言うが、穏恵はファンはすでに気づいているだろうと思っていた。女性はそういう視線に敏感なのだ。だが、これで徹也から何か貰えるかもしれない。そう考えた穏恵は、徹也にある要望を伝えた。
「……いいよ。でも、何か身につける物を買ってほしい、かな……」
穏恵の予想外の要望に、徹也は驚いた。そんな要望がくるとは思っていなかったのだ。
だが、徹也にとってこれは好都合だった。なぜなら、買うだけで黙っていてくれるのだから。
「お、おう。それでいいなら。何がほしいんだ?」
「それは、才無佐君に選んでほしい、かな」
「え?それでいいのか?」
徹也はそう聞き返す。そう言うということは、てっきり欲しいものがあるのだと思っていたからだ。
「うん。それがいい」
「わ、分かった。また買っておく。渡すのは今度でいいか?」
「う、うん!楽しみにしてるねっ」
徹也の言葉に、穏恵は嬉しそうにそう頷いた。徹也に何かを買ってもらえることが、穏恵にとってはとても嬉しいことだったのだ。
「じゃあ、早く真未ちゃんのところに行こっ!」
「あ、ああ。そうだな」
嬉しくなった穏恵は、ゆっくり歩いてきたのをステップに変えて少しペースを上げた。そんな穏恵に、徹也もペースを上げて着いて行った。
「あ、あの……」
「あら?どうしたの土屋さん?彼との話はもう終わったの?」
「は、はい……。そ、それで、その……。うう……!」
穏恵は外に出ていいのか聞こうとするが、肝心なところで言葉が出てこない。そんな穏恵の様子を見ていた徹也は、穏恵の前に出た。
「話は終わったんですが、少し土屋と出かけたいと思いまして。その許可を貰いに来ました」
「そうなの?土屋さん」
徹也の説明を聞いたその女性は穏恵に確認を取った。それに対し、穏恵は深く頷く。
「は、はい……!そうです……!」
「そう。元々この後は休みの予定だから、構わないわよ。次の作業が始まるまでに帰ってきてくれれば。それまで、楽しんで来たらいいわ」
「あ、ありがとうございます……!」
女性の言葉に、穏恵は礼を言って頭を下げた。女性はそんな穏恵を見て微笑んで、その顔を徹也の方に向ける。
「けれどその前に、君の名前を聞いておきたいわ。これからも会うかもしれないし、ね」
その女性はそう言って、徹也に名前を教えてほしいと頼んだ。その頼みに疑問を覚えながらも、徹也は女性に対して名前を告げる。
「は、はあ。才無佐徹也です。よろしくお願いします」
「才無佐君ね。私はファン・ライシー。一応、この農場の管理を任さているわ。よろしくね」
お互いの自己紹介を済ませた後、徹也とファンは握手を交わした。その際、ファンの豊満な胸が徹也の目に入る。徹也は少しの間見てしまい、すぐに顔を赤くして目線をそらした。
(や、やばい。デカすぎで思わず見てしまった……。ば、バレてなきゃいいんだが……)
だが、握手をし終えて手を離すと、穏恵からジト目で見られていた。そんな様子を見ていたファンは、ふふっと笑ってから徹也と穏恵に話しかける。
「ほら、もういいから行ってらっしゃい。デート、楽しんでね」
「ふえっ!?う、ううっ……!い、行こ、才無佐君」
ファンの言葉を聞いた穏恵は、顔を赤く染めながらも徹也の手を引いて歩き出す。ファンはそれを微笑んだまま見送った。
しばらく歩くと、穏恵が徹也の方を向いた。そして、徹也に話しかける。
「……さっき、ファンさんの胸見たでしょ」
「うっ……!そ、それは……!」
穏恵の言葉に、徹也はバツが悪そうに顔をそらす。見てしまったのは事実だ。あれだけの存在感があれば、見てしまっても仕方のないことなのかもしれない。
「やっぱり、大きい方がいいのかな……」
穏恵は徹也に聞こえない程の声でそう呟いた。穏恵はそこまで大きくはないので、そう感じてしまったのである。
「わ、悪い!できれば、ファンさんには言わないでほしい!」
徹也はそう言うが、穏恵はファンはすでに気づいているだろうと思っていた。女性はそういう視線に敏感なのだ。だが、これで徹也から何か貰えるかもしれない。そう考えた穏恵は、徹也にある要望を伝えた。
「……いいよ。でも、何か身につける物を買ってほしい、かな……」
穏恵の予想外の要望に、徹也は驚いた。そんな要望がくるとは思っていなかったのだ。
だが、徹也にとってこれは好都合だった。なぜなら、買うだけで黙っていてくれるのだから。
「お、おう。それでいいなら。何がほしいんだ?」
「それは、才無佐君に選んでほしい、かな」
「え?それでいいのか?」
徹也はそう聞き返す。そう言うということは、てっきり欲しいものがあるのだと思っていたからだ。
「うん。それがいい」
「わ、分かった。また買っておく。渡すのは今度でいいか?」
「う、うん!楽しみにしてるねっ」
徹也の言葉に、穏恵は嬉しそうにそう頷いた。徹也に何かを買ってもらえることが、穏恵にとってはとても嬉しいことだったのだ。
「じゃあ、早く真未ちゃんのところに行こっ!」
「あ、ああ。そうだな」
嬉しくなった穏恵は、ゆっくり歩いてきたのをステップに変えて少しペースを上げた。そんな穏恵に、徹也もペースを上げて着いて行った。
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