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第二章 財政対策
第三十話
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時は、徹也が村から帰ってきた日まで遡る。
夕食を食べ終えた後、クラスメートの質問攻めから逃れた徹也は、治伽と舞を連れて財務大臣室まで来ていた。これからのことを、ヘンリーと話し合う為である。
「さて、才無佐君。まずは何をする?」
「そうですね。まずは、地方の再生からしたいと思います」
そんな徹也の言葉を聞いたヘンリーは頷いた。そのことは、すでに聞いていたからである。ヘンリーが気になっているのは、その方法であった。
「それは、どのようにする?前の言い方だと、他の召喚者達に協力を仰ぐように聞こえたが……」
「ええ。その通りですよ」
徹也がヘンリーの言葉に同意すると、治伽と舞が驚いた。まさか、徹也が他のクラスメートに協力を頼むとは、思っていなかったからだ。
「て、徹也君。そのクラスメートって、目星がついてたりするの?」
「そうよ。付いてなかったら、クラスメートから探す意味がないでしょう?もっと広範囲から探すべきじゃ……」
舞と治伽から、もっともな意見が飛んでくる。確かに候補者が絞れてなければ、もっと広範囲に広げた方が人材自体は見つかりやすいだろう。
だが、徹也は目星どころか、すでにその個人までたどり着いている。探すも何もないのだ。
「安心してくれ。すでに見つけてある。それに……」
「それに?」
「……いや、何でもない」
(広範囲から探せば、信用できない奴らが増える可能性があるから……ってことは、言わなくていいか……)
そう。徹也がクラスメート以外から候補を除外したのは、信用ができないということがあった。
徹也は、広範囲から探せば探すほど、スパイが入りやすいことを懸念しているのである。戦いにおいて、情報はもっとも重要なものだと言っていい。もしも、候補の人間の中にルーカス派の者がいたら、取り返しがつかないことになるかもしれないのだ。
だが、徹也はこのことを舞と治伽に伝えなかった。それよりも、話を進めることを先決したのである。
「……そう。それで、その人は誰なの?」
「ああ。土屋と、ま……双見妹だ。それぞれ、【農業】、【技工】の才能を持っている。【農業】の才能で土地を豊かにしてもらって、【技工】の才能で建物を建ててもらうんだ」
徹也の説明に、治伽と舞は納得はした。だが二人とも、一つだけ疑問に思ったことがあった。
「……分かったわ。けど、どうやってコンタクトをとるの?私はその二人とあまり接点はないわよ」
「わ、私もないかな……。ごめんね?徹也君」
「いや、大丈夫だ。俺が二人と接点があるから、俺が話を付けてくる」
「「……え?」」
徹也の言葉に、治伽と舞は呆然とした。まさか、徹也が接点を持っているなんて、信じられなかったのだ。
「そうか。では、そちらは才無佐君に頼むとしよう。私は議会で計画の許可を貰ってくる。だが、動けるのは少なくとも来月になりそうだ」
「分かりました。その間、対策を練りましょう。今日はこれで失礼します」
徹也はヘンリーにそう言うと、頭を下げて財務大臣室を出ようとした。だが、治伽と舞が呆然としたまま動こうとしない。徹也は仕方なく、二人に声をかける。
「おい。今日はもう戻るぞ」
「あ……。ちょ、ちょっと!その二人とどこで接点があったの!?」
「そ、そうだよ!教えてよ!」
現実に戻ってきた治伽と舞は、徹也を問い詰める。しかし、徹也はそんな追求を受け付けなかった。
「……今日は疲れてるんだ。また今度にしてくれ。ちゃんと話すから……」
「……約束よ」
「……約束だからね」
治伽と舞は、徹也に約束を取り付けた。徹也はそれにため息を吐いて応じる。徹也としては、穏恵と真未の許可なく話すわけにはいかなかったのだ。
徹也は今度こそ、ヘンリーに礼をして財務大臣室の扉を開ける。そして徹也は、治伽と真未を連れて財務大臣室から出ていった。
夕食を食べ終えた後、クラスメートの質問攻めから逃れた徹也は、治伽と舞を連れて財務大臣室まで来ていた。これからのことを、ヘンリーと話し合う為である。
「さて、才無佐君。まずは何をする?」
「そうですね。まずは、地方の再生からしたいと思います」
そんな徹也の言葉を聞いたヘンリーは頷いた。そのことは、すでに聞いていたからである。ヘンリーが気になっているのは、その方法であった。
「それは、どのようにする?前の言い方だと、他の召喚者達に協力を仰ぐように聞こえたが……」
「ええ。その通りですよ」
徹也がヘンリーの言葉に同意すると、治伽と舞が驚いた。まさか、徹也が他のクラスメートに協力を頼むとは、思っていなかったからだ。
「て、徹也君。そのクラスメートって、目星がついてたりするの?」
「そうよ。付いてなかったら、クラスメートから探す意味がないでしょう?もっと広範囲から探すべきじゃ……」
舞と治伽から、もっともな意見が飛んでくる。確かに候補者が絞れてなければ、もっと広範囲に広げた方が人材自体は見つかりやすいだろう。
だが、徹也は目星どころか、すでにその個人までたどり着いている。探すも何もないのだ。
「安心してくれ。すでに見つけてある。それに……」
「それに?」
「……いや、何でもない」
(広範囲から探せば、信用できない奴らが増える可能性があるから……ってことは、言わなくていいか……)
そう。徹也がクラスメート以外から候補を除外したのは、信用ができないということがあった。
徹也は、広範囲から探せば探すほど、スパイが入りやすいことを懸念しているのである。戦いにおいて、情報はもっとも重要なものだと言っていい。もしも、候補の人間の中にルーカス派の者がいたら、取り返しがつかないことになるかもしれないのだ。
だが、徹也はこのことを舞と治伽に伝えなかった。それよりも、話を進めることを先決したのである。
「……そう。それで、その人は誰なの?」
「ああ。土屋と、ま……双見妹だ。それぞれ、【農業】、【技工】の才能を持っている。【農業】の才能で土地を豊かにしてもらって、【技工】の才能で建物を建ててもらうんだ」
徹也の説明に、治伽と舞は納得はした。だが二人とも、一つだけ疑問に思ったことがあった。
「……分かったわ。けど、どうやってコンタクトをとるの?私はその二人とあまり接点はないわよ」
「わ、私もないかな……。ごめんね?徹也君」
「いや、大丈夫だ。俺が二人と接点があるから、俺が話を付けてくる」
「「……え?」」
徹也の言葉に、治伽と舞は呆然とした。まさか、徹也が接点を持っているなんて、信じられなかったのだ。
「そうか。では、そちらは才無佐君に頼むとしよう。私は議会で計画の許可を貰ってくる。だが、動けるのは少なくとも来月になりそうだ」
「分かりました。その間、対策を練りましょう。今日はこれで失礼します」
徹也はヘンリーにそう言うと、頭を下げて財務大臣室を出ようとした。だが、治伽と舞が呆然としたまま動こうとしない。徹也は仕方なく、二人に声をかける。
「おい。今日はもう戻るぞ」
「あ……。ちょ、ちょっと!その二人とどこで接点があったの!?」
「そ、そうだよ!教えてよ!」
現実に戻ってきた治伽と舞は、徹也を問い詰める。しかし、徹也はそんな追求を受け付けなかった。
「……今日は疲れてるんだ。また今度にしてくれ。ちゃんと話すから……」
「……約束よ」
「……約束だからね」
治伽と舞は、徹也に約束を取り付けた。徹也はそれにため息を吐いて応じる。徹也としては、穏恵と真未の許可なく話すわけにはいかなかったのだ。
徹也は今度こそ、ヘンリーに礼をして財務大臣室の扉を開ける。そして徹也は、治伽と真未を連れて財務大臣室から出ていった。
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