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第4章 河童の里と黒い怪物

2.河童の里

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『なにそれ? 神様も合コン?』

『そんな面倒臭いもの、あったとしても参加せんわ。今夜はサブローに呼ばれとるんじゃ』

『サブロー?』

 初めて聞く名前だ。神様はまだ眠そうに一つ伸びをすると続けた。

『ああ、この夏に知り合った河童の子じゃ。夏也の学校のプールに遊びに行っとったらしくてな』

 河童の知り合いがいるとは、神様の交友関係は謎が多い。

『一緒にきゅうり料理でも食いに行くのか?』

 俺が尋ねると、神様は深い溜息をつく。

『そんな楽しそうな用事なら良かったんじゃがの……。例の黒い霧の件で、河童の里まで出向く事になったんじゃ』

『もしかして、河童達も襲われたの……?』

 シュンが身を乗り出す。彼もまた霧に襲われていたが、黒い霧の標的には妖怪も含まれているのだ。河童も例外ではないだろう。

『ああ、特に最近になってかなり増えてきたらしくてな。一度里に来て相談にのって欲しいと頼まれたんじゃ』

『河童の里は何処にあるんだ? 俺も話を聞いてみたいな。一緒に行っても構わないか?』

『ああ、構わんじゃろう。この辺りの河童の集落は、ここから割と近い所にはにあるんじゃが……その、星呼山の麓なんじゃよ』

『星呼山……』

 俺が生前発掘調査をしていた遺跡がある山だ。俺が死んだ場所でもある。

 遺跡の方は、俺が発掘現場で死んでしまったせいで、暫くの間立ち入り禁止になってしまっていた。
 夏に入ってからは、少しずつ調査を再会しているようだが、黒い霧を追い回すのと霊界食堂の運営で忙しく、今現在遺跡がどうなっているのか、俺は把握出来ていなかった。

『いいな~。俺も行ってみたかった』

 シュンが残念そうに天井を仰ぐ。

『また近々報告に来るよ』

『友和と西原さんの手料理も一緒にね!』

 前に霊界食堂の話をしたら、シュンが是非食べてみたいというので、弁当を作って来た事があった。

 シュンはすごく喜んでくれたので、西原は忙しい獄卒用に仕出し弁当でも始めようかなんて言い出す始末だ。

 今日も西原は厨房に入っている。最近は食堂を西原に任せ、死神の鎌を使える俺がパトロールに出る事が多かった。

『そうだ、どうせならお土産でも持って行ってあげたら?』

 シュンは何か思いついたように立ち上がると、台所へと走って行った。俺と神様は顔を見合わせる。

(河童にお土産って……?)

 不思議に思いながらも、その中身を見て、俺は得心した。

 そのまま暫く自宅で過ごし、すっかり日が沈んでから、俺と神様はシュンが用意してくれたお土産を持って河童の里へと向かった。
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