東京浅草、居候は魔王様!

栗槙ひので

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第4章 欲望の悪魔と煌めきのカーニバル

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「ちょっと~! なんで、サマエルまで帰って来ないの~!?」

 魔王城の大広間に、とある小柄な悪魔の抗議の声がこだました。

「魔王様はやむを得ない事情で人間界から指揮を取られる事になりました。しかし、この事が公になればフィーニス派の連中も黙ってはいないでしょう……ですので、この事はごく一部の者にしか伝わっておりませぬ」

 長い白髭を蓄えた魔道士姿の老人が、オロオロとその少年のような悪魔を諭すように説明する。

「それでなんでサマエルだけ連れて行くのさ? 僕だってクラース様の超側近だし、なんならサマエルがまだひよっこの頃から先代に仕えてるんだからね!?」

「……存じております、メレク様」

 老人は反論出来ずに、すっかり萎縮してしまった。

「重大な任務がない限り、勝手に人間界に遊びに行っちゃダメって、サマエル自身がずっと言ってたのに、自分だけずるいずるい!」

 メレクは小さな拳を振り回して地団駄を踏む。サラサラしたピンク色の前髪とおさげが揺れた。

 メレク・サタナキアは、その幼い容姿からは想像も出来ないような恐ろしい魔力を秘めた魔王軍の一将だった。

「もう、こうなったら僕が直接理由を聞きに行くからね!」

「え……メレク様?」

 メレクは老魔道士を振り切って大広間の奥、大鏡の間にずんずんと進むとニヤリと笑みを浮かべた。

「勝手に僕を置いて行くから悪いのさ。ついでに人間界の美味しいもの沢山食べて、可愛いものいーっぱい買ってきちゃうんだから!」

 悪魔の本分は、人間を誘惑して欲に溺れさせ、堕落させる事にある。

 人間の抱く欲望について、ただならぬ好奇心を持つメレクは、そう言った意味でも、魔界で永きに渡り欲望の悪魔として恐れられていた。
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