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第5章 愉悦する道化師
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本番当日は午前中からライブハウスでリハーサルをしていた。リハはトリバンから逆順で行われるので、全6バンド中4バンド目に出演する俺達は、3番目にリハーサルだ。
順番が来て、控室から機材を持ってステージへ向かう。先にフロアに居たフミに、俺は声を掛けた。
「トリバンのリハ見たか?」
「いや、今のトリ前のリハしかみてねーや。トリバン、なんかボーカル来てなかったらしいぜ?」
「マジか……」
なんとかスーパームーンとやらが、月斗のバンドだとするなら、アイツはどうせ楽器も出来ないだろうし、ボーカル辺りで参加するんだろう。
(……リハ来ねーとか舐めてんのか)
俺は少しイラついたが、ステージの上に立つとやはり少し緊張してきた。
「ドラム音くださーい」
セッティングの終わったリョウに、PA卓から声が掛かる。
(集中しよう……)
パート毎と全体で音量を調整した後、数曲サビまで流して照明も確認する。
照明が当たると、スタジオや部屋での練習時とギターの指板も違って見えて余計に緊張した。
「ギターの返し上げて貰っていいっすかー?」
フミはPAにマイクでそう伝えると、俺の方を振り向いて笑った。
「中音もっと上げてもいいんだぜ? 幸也緊張してんだろ?」
「まー、久しぶりだからな……」
「ったく、久しぶりだからこそ楽しもうぜ! あの頃みたいに。別にミスったってなんて事ねーよ! 楽しんだもん勝ち!」
「……そーだな」
ヒロもリョウもこっちを見てニヤっと笑った。
(そうだ、今日は思い切り楽しもう! 演者が縮こまってたら、観てる方だってつまらない。今回せっかく色んな奴に協力して貰って、ステージに立てたんだから……!)
俺はようやく吹っ切れる事が出来た。
開場は二時からだったので、他のバンドのリハ中、俺達は昼飯を食ったりして時間を潰した。
会話はもうすっかり、学生時代のノリに戻っていた。
(俺らの出る時間は伝えてあるけど、マオ達は何時に来るかな?)
二時になって、お客さんがチラホラ入り始めた。大体が一バンド目の友達や関係者だ。
「幸也じゃん、久しぶり!」
「おお、久しぶり」
他のバンドやお客さんの中に、高校時代の元軽音部も顔を出していた。ちょっとした同窓会のようだ。
「幸也」
また呼ばれて振り返ると、マオとメレクが立っていた。
「あれ、一バンド目から見に来たのか、早かったな……ってその格好……」
二人は全身黒ずくめで、皮パンにジャラジャラしたチェーンやベルトの付いたV系の服を着ている。
「何事もまずは形からだよ♡」
どうやらメレクのお手製らしい。完成度が異常に高い。J-ROCKって言ったのに何故そのジャンルを選んだ。
しかも無駄に顔の良いマオは、謎の貫禄とオーラを放っていた。
「……幸也、その人もしかしてプロなの?」
ヒロが横から耳打ちしてきた。
「いや、全然。バンドやった事もねーし、ライブ観に来るのも初めてだわ」
そんな事を話していると、ステージに明かりが灯り、仕切りがマイクを握った。
「皆さーん! 準備はいいですか? 今日は思いっきり楽しんで行ってください! 蔵前ロックフェススタートっ!」
ステージサイドからロスコが炊かれて、一バンド目の演奏が始まった。
マオとメレクは目を輝かせる。
順番が来て、控室から機材を持ってステージへ向かう。先にフロアに居たフミに、俺は声を掛けた。
「トリバンのリハ見たか?」
「いや、今のトリ前のリハしかみてねーや。トリバン、なんかボーカル来てなかったらしいぜ?」
「マジか……」
なんとかスーパームーンとやらが、月斗のバンドだとするなら、アイツはどうせ楽器も出来ないだろうし、ボーカル辺りで参加するんだろう。
(……リハ来ねーとか舐めてんのか)
俺は少しイラついたが、ステージの上に立つとやはり少し緊張してきた。
「ドラム音くださーい」
セッティングの終わったリョウに、PA卓から声が掛かる。
(集中しよう……)
パート毎と全体で音量を調整した後、数曲サビまで流して照明も確認する。
照明が当たると、スタジオや部屋での練習時とギターの指板も違って見えて余計に緊張した。
「ギターの返し上げて貰っていいっすかー?」
フミはPAにマイクでそう伝えると、俺の方を振り向いて笑った。
「中音もっと上げてもいいんだぜ? 幸也緊張してんだろ?」
「まー、久しぶりだからな……」
「ったく、久しぶりだからこそ楽しもうぜ! あの頃みたいに。別にミスったってなんて事ねーよ! 楽しんだもん勝ち!」
「……そーだな」
ヒロもリョウもこっちを見てニヤっと笑った。
(そうだ、今日は思い切り楽しもう! 演者が縮こまってたら、観てる方だってつまらない。今回せっかく色んな奴に協力して貰って、ステージに立てたんだから……!)
俺はようやく吹っ切れる事が出来た。
開場は二時からだったので、他のバンドのリハ中、俺達は昼飯を食ったりして時間を潰した。
会話はもうすっかり、学生時代のノリに戻っていた。
(俺らの出る時間は伝えてあるけど、マオ達は何時に来るかな?)
二時になって、お客さんがチラホラ入り始めた。大体が一バンド目の友達や関係者だ。
「幸也じゃん、久しぶり!」
「おお、久しぶり」
他のバンドやお客さんの中に、高校時代の元軽音部も顔を出していた。ちょっとした同窓会のようだ。
「幸也」
また呼ばれて振り返ると、マオとメレクが立っていた。
「あれ、一バンド目から見に来たのか、早かったな……ってその格好……」
二人は全身黒ずくめで、皮パンにジャラジャラしたチェーンやベルトの付いたV系の服を着ている。
「何事もまずは形からだよ♡」
どうやらメレクのお手製らしい。完成度が異常に高い。J-ROCKって言ったのに何故そのジャンルを選んだ。
しかも無駄に顔の良いマオは、謎の貫禄とオーラを放っていた。
「……幸也、その人もしかしてプロなの?」
ヒロが横から耳打ちしてきた。
「いや、全然。バンドやった事もねーし、ライブ観に来るのも初めてだわ」
そんな事を話していると、ステージに明かりが灯り、仕切りがマイクを握った。
「皆さーん! 準備はいいですか? 今日は思いっきり楽しんで行ってください! 蔵前ロックフェススタートっ!」
ステージサイドからロスコが炊かれて、一バンド目の演奏が始まった。
マオとメレクは目を輝かせる。
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