東京浅草、居候は魔王様!

栗槙ひので

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第5章 愉悦する道化師

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「……確かに、今回の騒動の大きさじゃ、流石に僕達が人間界に居る事は魔界に知れてしまっただろうね……」

 メレクが溜息を吐く。マオの表情が強張った。

「フィーニス派の方々はどんな反応をしますかねぇ? 次に起こるパーティの方が断然面白そうだ。是非牢からも見学出来る様にしておいてくれませんか?」

「貴様!!」

 サマエルは光の鎖を引っ張りながら立ち上がった。

「あ、待って、待ってください! 最後にひとつだけ……君、人間なのになんで悪魔の破壊呪文なんて知ってたんですか?」

 立たされたメフィストが、俺の目を試すように覗き込む。
 あの時、俺が携帯に届いたメッセージを叫ぶ事で、メフィストの注意が削がれたのだ。あのメッセージをくれたのは、

「僕がなんで幸也の頼みを聞いて、カーニバルの手伝いなんかに協力したと思う?」

 メレクはニヤニヤしながら自身のポケットを探った。

「そう言えばそうだったな……」

 マオも不思議そうにメレクを振り返った。メレクは得意気にポケットの中身を取り出して見せる。

「じゃーん! 最新型のスマホだよーっ☆」

「すまほ……?」

 俺以外の全員がポカンとしている。

「お金があってもさー、住所不定無職じゃ携帯会社と契約出来ない訳よ。そこで、カーニバルの手伝いと携帯を幸也君に買ってもらう貰う事を、交換条件にしたんだ♪」

「機種代は貰ったけど、月々の通信料もちゃんと払ってくれよ? お前アホみたいに使いまくりそうだからな……」

「分かってまーす♪  でもさ、やっぱ買っといて良かったよねぇ? さっきも僕が直接幸也に近づいたり、魔法で囁きかけたりしたらメフィストにバレちゃうでしょ? 何の魔力も感じていなかった場所から、急に強力な破壊呪文が聞こえたら、さすがのメフィストも驚くんじゃないかって思ったんだよね♪」

「……なるほど、そう言う事でしたか」

 メフィストは騙されたというのに、愉快そうに笑った。

「流石天下のメレク・サタナキア。そんなブラフにまんまと嵌ってしまうなんて、完全にしてやられました……。貴方との化かし合いは退屈しなさそうだ。これからも手合わせ宜しくお願いしますよ」

「めっちゃ暇だったら付き合ってあげてもいいけどー?」

「では、私は此奴を連れて一度魔界へ戻り、様子を窺って参ります」

 サマエルは眼鏡の位置を直すと、光を放ちながらメフィストと共に消えていった。

「結局、なんだったんだアイツ? そんな恐ろしい悪魔って感じでもなかったけど……」

「だから余計に性質たちが悪いって言ったでしょ? アイツは色々引っ掻き回して、混乱する様子を見て楽しむのが好きなだけ……遊びたいだけなんだよ」

 メレクは呆れたように言った。その横でマオが思い出したように呟く。

「それにしても、あの赤い鳥のアレゴリアも衣装も良く出来ていたな……何というか、不思議な力を感じるくらいに」

「そう言えば……なんだか動き出しそうなくらいの迫力だったな」

 俺達の評価に、メレクの表情はぱっと明るく切り替わる。

「でしょー? 最初は孔雀を模したアレゴリアだったらしいんだけど、炎からの復活って言ったらフェニックスじゃない? 彼等の不屈の精神も反映出来るし、どうせならと思って衣装の方もアレンジしちゃった♪  材料が足りないから、魔界で本物を少し拝借して来ちゃったけど☆」

「本物……?」

「うん、不死鳥の羽を少々……」

 それを聴いて、マオは顔を手で覆ってしまった。

「サマエルがここに居なくて良かった……」

「ちょーっとだけだって! 大丈夫だよー!」

 なるほど、あの輝きは実際燃え盛る羽を持つ魔界の怪鳥の羽が織り込まれていたのか。

(いや、なるほどじゃねーわ……)
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