せめて1話だけでも。orz

RaRi/daruma

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1章 終末(週末)は君と。

1話 始まり終わりを君と。

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月曜日の朝。それは不思議と人々を不快にさせる。

 いつもどおりの朝だが、故に繰り返されると思っていた毎日は、突如として終わりを迎える。



「今日、自身の孫を銃殺した事件で捜索されていた、海部村あまむら容疑」



 ぷちぃ



 刀祢とうやは、リモコンを手に取ると慣れた手つきで学生服のボタンを留めながらテレビを消す。



 ガチャガチャ



 刀祢は、家を出て鍵を閉めると最寄駅に向かった。



 刀祢が電車に乗ると見知った顔があった。



「よぉ、刀祢。おはよう」



「おはよう、青山どうしたんだよ浮かない顔して」



「いやぁ今日からテストだと思うとなぁ」



 そう、刀祢たちが通ってる学校は今日からテストなのである。



「あーそういえば今日からだったな」



 刀祢がそう言いながら青山の隣に座ると、青山は自分を皮肉りながら、刀祢を言葉で責める。



「いいよな、刀祢は勉強しなくてもいい点が取れて。俺なんて、勉強しなかったら赤点どころか最下位だぜ」



 青山は成績は下の下、小さい頃からサッカー一筋らしく勉強はできないが運動神経は抜群のいわゆるサッカーバカというやつだ。



「そんなの、お前が勉強しないのが悪いんだろ第一」



 そう言いかけている途中、刀祢は謎の気持ち悪さとめまいに襲われて息が苦しくなり言葉が失われ、視界が黒で覆われる。

 そして一分とも一時間とも思える時間の末、視界に光が戻る。



 そこは何もないただただ白で埋め尽くされた空間と一人の子供がいた。

 その子供は顔を上げ、その天真爛漫な顔を見せながら綺麗な高い声を響かせる。



「やぁ、刀祢君」



 その子供は、そう言う。



 刀袮はそんな不可思議な眼前の状況と、謎の頭痛に頭に手を当てる。



「くっぅ、、、」



「あ、ごめんね。転送酔いで頭いたいよね。どう、これでよくなった?」



 子供が何かやったわけでわない、だが最後の言葉聞くと、頭痛は、嘘のように消える。

 頭の処理は追いついていなかった。ここは何処か?君は誰なのか?元いた場所は?そんな疑問が頭の中で、展開され、刀袮は子供に言葉をかける。



「え、あっ、あ、あのぉ」



「ん、よくなった?」



 刀袮の言葉に、子供が言葉を返す。



「あ、はいだいぶ。それで、あなたはだれ?」



「あ、そっかまだなにも話してなかったね。僕は、ヤルダバオトだよ」



 ヤルダバオトと、白一色の空間で名乗る子供。刀祢は、そのシュールな光景に少し冷静さを取り戻す。



 そして刀祢は、ヤルダバオトにこの場所のことやそ他数個気になった事を聞く。



 だがヤルダバオトの答えを聞いていると頭が痛くなる。どの答えにも神がどうとか世界、惑星がどうとかまるで何処かの宗教勧誘の様だった。



「貴方は神様を、信じますか?」的なノリで言われれば少しは面白いと感じれたかも知れないが、急に、場所をワープさせられた事や、ただ真っ白な場所を見せられている事を踏まえ、最初はカメラをやマジックミラーを探していた刀袮だが、そろそろ現実的な答えを探していた。



 刀袮が、そんな事を考えていると、少年は、独り言とは思えない独り言を、話す。



「あ、みんなそろった?」

「あーまぁそのくらいいればいっか」



 何なんだ?この子供は、興味がないわけではないが神と一言で言われてもわからないし、今日はテストが有るから学校に早めに着いておきたいのだ、そう思い、刀袮はヤルダバオトに強めに当たる。



「おい、そろそろ帰りたいんだが、俺は帰れるんだよな?」



 正直この質問は賭けだった。ここから一人で帰れるとは思えないしどこかもわからない。少なくとも、何かを知っている可能性のある人間がいるのだ。ご機嫌取りはしたほうがいいだろう。だがこの質問はいいほうに転がった。少なくとも考えうる中でだが。



「帰れるかどうかは君しだいだよ。刀袮くん。さぁ、行くよ。付いてきて」



「は、どこにだよ?」



 刀袮は、少年に急に付いてこいと言われ動揺する。



 すると、少年の隣に、元からいたとでも言いたげに、黒髪長髪でリクルートスーツに身を包んだメガネ美人が現れた。



「うわぁ、な、なんだそいつ?」



 刀祢の驚きを無視しヤルダバオトはゲッケイジュに質問する。



「やぁ、ゲッケイジュ、準備は終わった?」



「はい、完璧に」



「い、いやだからそ、その人は?てか何処から、、、いつからいたんだよ」



 二回目の質問にヤルダバオトは満足げに答える。



「この人は、ゲッケイジュ、僕の、、、秘書見たいな感じだよ」



 刀袮は、驚きや恐怖と多少の好奇心などの感情を、同じ瓶に容れてぐちゃぐちゃにしたような感情だったが無理やり納得させる。



「まぁ、後でもっと詳しく説明するから、取り敢えず付いてきて」



 そう言うと半ば強制的に歩かされる。



 刀袮は、取り敢えず色々めんどくさくなって付いていってから、考える事にした。

 そうして色々なことを考えながら歩いていると、あることにきずいた。

 それは、この空間のことだ。この真っ白な空間は歩いていても足音がせず、影すらない。

 少しずつ、だが確実にヤルダバオトの言っていた事が現実味をおびてくる。



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「なぁ、ヤルダバオトさんよぉ、どこに行くんだ?」



 刀祢は、危機感もなくあきていた。それもしょうがないだろう、なにせ代わり映えしない、真っ白な空間を、歩いているのか歩いていないのかも分からず、ただ足を前に動かす事を、一時間も二時間もさせられれば誰だって疲れるだろう、むしろよく持ったほうだ。



「もぉ、しょうがないなぁ。でも転送はいやだろ?」



 ヤルダバオトは、そう答える。



「うっ」



 正直それを言われると弱い。確かに、あの頭痛と気持ち悪さはドMでもなければごめんだし、刀祢にそんな趣味はない。



「でもそんなことをはなしてたらついたよ」



 ヤルダバオトは、そう言って前を指さす。



「なんだよ、、、これ」



 刀袮は、思わず感嘆の声をあげる

 そこには、見上げて見ないと上まで見えないような大きな、そして豪華に装飾された、一枚の扉が異彩を放って存在した。

 まぁ刀祢から言はせれば、この場所自体が異常に見えるのだが



「ようこそ僕のお家に」



 と見た目小学生の子供が自慢げにその変声期前の高い声を響かせた
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