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「ば、なにやって!!」


臣はお構いなしに、もう一度顔を近づけてくるため臣の口を両手で塞いで押し返そうとすると、柔らかい唇が手のひらに当たって気持ちいいなんて思ってしまう僕も十分変態だ

そんなことに意識を取られていると、手に生暖かい感触を感じて指を這う
それが臣の舌だと気づいて、塞いでいた両手をばんざいするように上にあげた

その姿をみて臣が楽しげに笑いだす


「千秋先輩、そんな驚く?」

「だってこんなところでするから…
馬鹿野郎…」


馬鹿野郎なんて人生の中で初めて言った言葉かもしれない
その言葉に臣はさらに笑うからつられて笑いそうになってしまう


「馬鹿野郎なんて言葉、いつのまにそんな男らしくなったの?
可愛いばっかりじゃなくて、ワイルドな一面もあるんだね」


恥ずかしがる僕の手を手のひらで掬い上げると、口元に手を持って行き手の甲へとキスをした
あまりにも自然すぎて、前世はやっぱり王子だったんじゃないかなんて思ってしまう


「臣のこと、ゆ、許さないから…」

「じゃあ今日俺の家にいって、ゆっくり話そう」


耳元に唇がくっつきそうな距離で話しかけられて背筋がピンと伸びる
さっきまで人の目を気にしていたのにいつのまにか臣のペースに飲まれてしまう


「今日予定は?」


口角を上げ僕の顔を覗き込みながら、僕の手の甲を親指でゆっくりと撫でる


「な、何にもない」


はっきりと言い切る僕に臣がふっと笑って額同士を擦り合わせる
僕が少しでも顔を上げれば唇が当たってしまいそうだ
すでに臣の高い鼻が僕の鼻と合わさっている


「じゃあ、明日の予定は?」


臣が美形ということは周知の事実ではあるけれど未だにこんな近くで見ることに慣れない

目を逸らしつつも、チラチラと臣の顔を見ると艶かしい表情を浮かべながら、明日の予定なんて聞かれる
なんとなく何が行われるのか頭で想像してしまい、頰が熱くなるのが感じた

「な…にも…ない…」

「じゃあ、ゆっくり話せるね」


僕の頬にキスをして、ニッコリと微笑む僕はこの男から一生捕らえられたままだと感じた



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