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しおりを挟む「ねえ、千秋そのケーキ持って」
「え?こう?」
ケーキの皿を胸のあたりまで持ち上げると、舞さんが体を後ろに引き、写真を撮り始める。
ケーキだけを撮るなら体を引く必要をなく、僕が持ち上げる必要もないはずだ。
「ねえ、その写真僕も映ってなかった?」
「映ってるけどなに?」
「いや、僕はいらないでしょ!」
「別に良いでしょ!記念なんだから!
ちなみに女の子とこういうところ来たことある…??」
上目遣いで聞いてくる舞さんに僕は勢いよく首を振った。
その返事になぜかホッとしたような顔をして、口元に笑みを浮かべる。
「舞さんも写真撮るよ」
「じゃあ1枚だけ」
舞さんは1枚だけと話したはずだけど、結局何枚も取り直した。舞さんがいうには写真が盛れてないし、他撮りをする時は普通のカメラなんて絶対使うなということだった。
やっぱり女の子のルールはよくわからないものが多い。
写真を撮り終えた僕たちはそれぞれの小皿にパンケーキを分けて頬張る。
パンケーキの合間にフライドポテトをつまみ、絶え間ない話をしている間に、河田くんともこんなことをしたかったなという思いが浮かんでしまった。
すぐ近くにいるというのに、話しかけることもできない。
話していると、舞さんは鞄から花柄のポーチを取り出して席を立った。
「ちょっとトイレ行ってくる~」
「うん、わかった~」
ヒラヒラと舞さんに向かって手を振り、話し相手がいなくなってしまった僕は、生クリームの味しかしなかったケーキに飽きてしまい、フライドポテトをつまみながら店内を見渡した。
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