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その要求に応えてはいないけど、気になる子にそれをバラすとなったら、流石の雅也も反応するはずだ。


「ねえ、雅也ってば」


振り返ってみると、広い背中で視界が埋め尽くされる。雅也の背中はこんなにひろかったっけ。
少しは気になったが、この場から連れて行くためにさらに裾を強く引く。


「バラすのはやめてあげるからいくよ」

「あんたマジで何?」


聞き覚えのあるイケメンボイスが僕の耳を通過していく。これはなにかの間違いのはずだ。
そんな偶然があっていいものか。

恐る恐る振り返ると、僕を冷たい目で見下ろした河田くんの姿があった。

なぜ河田くんがいるのか。
それは皆んなが使う食堂だから、河田くんがいるのは当たり前なんだけど、ここまで偶然が重なると運命的なものを疑いたくなってしまう。

混乱しているため、裾を強く引き、雅也の助けを求めたと同時に河田くんの眉間の皺がさらに深まった。


「やめてもらえます?」


目の前に現れるのをやめろと言われているのか。
その瞬間、胸がギュッと締め付けられるように痛くなる。

俺に姿を見せるなと言われるほど、嫌われてしまったのであれば、それに従うしかない。
裾を引いたまま、その場を後にすると、雅也は断固としてその場を動かない。


「雅也!いい加減にしてよ」

「あんたがいい加減にしろよ」

「え?」

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