【R18】平凡な男子が女好きのモテ男に告白したら…

関係性（高校時代）

河田くんとキスをしてから数日が経ったけど、河田くんがよく話しかけてくれるようになった気がする。

廊下ですれ違う時も今までのように無視するのではなく、すれ違いざまに頭にポンと手を置くようになった。
そこで、僕が戸惑いつつ撫でられた頭を両手で抑えると河田くんが後ろを振り返って綺麗な顔に悪戯な笑みを浮かべる。その姿に毎回見惚れるのもそろそろやめたいけど、心臓が高鳴るのを抑えられない。

今日もこんなことがあった。僕が食堂で1人でご飯を食べていたところ、河田くんがトレーを持って僕の目の前に座った。その信じられない光景に目を丸くしていると、河田くんがふっと笑みを浮かべた。


「先輩、1人で飯食べてるんですか？」


その言葉を聞いて、もしかしたらこの席を使いたいのかもしれないという考えが巡る。
河田くんたちが使っている中央の席は周りの視線を浴びやすい。顔面国宝というだけで普段から視線をかき集めているから、あんな席じゃ食べにくいはずだ。僕が座っているすみっこの席を譲ってほしいと交渉にきたのだということで合点がいく。


「そうそう、友達いないから1人で食べてた
河田くんは友達と食べてたの？」

「そう、でも寂しそうな先輩が見えたから声かけにきた。だから」

「そうだよね、1人だからね
あと、僕もうちょっとで食べ終わるからこの席よかったら使って！ここ人目につきにくいところだからいいと思う！」


僕は少し残っていたご飯を口の中に頬張って、口をもぐもぐしながらトレーを持って席を立ち上がる。


「え、ちょっと先輩？？」


河田くんは何故か驚いた顔をしているけど、口の中にまだ物が入っているため、手のひらを向けてどうぞというようなジェスチャーをしてその場を去ろうとすると、制服の裾をぐいっと引かれた。

後ろを振り返ると、河田くんは不機嫌そうな僕の顔を見上げている。


「なんでさっさと食べて行こうとするんですか」

「え？だってこの席を使いたいんじゃ…」

「クソ鈍感」


河田くんは僕から顔を背けると小さくつぶやいて、制服の裾から手を離す。
早く行けということだろうか。
クソ鈍感と言われたのは何故だろうかと思いながら食堂を去った。