好きな人の好きな人

ぽぽ

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「どういたしまして」
 

蒴の腕に抱きつくと、恭弥が訝し気な表情をして菫を見る。
菫はその視線に気づいて、蒴を挟んで恭弥と目を合わせた。


「…何?」

「いえ、何でもないでーす
今日も平常運転ですね」


3人で乾杯をするために、菫はペットボトルの蓋を開けようとすると、蓋が固くてなかなか開かない。


「貸して」


苦戦していると、恭弥が横からペットボトルを取り上げて、簡単に蓋をあけて菫へとペットボトルを渡す。


「ありがとう!」

「か弱い女の子の手伝いしてあげるのが俺の仕事だから」


無事に乾杯を終えて、3人で鍋をつつく。
鍋の中には菫の好きな、鱈や牡蠣などの魚介類がふんだんに入っていて、自然と笑みが溢れた。
蒴も菫の表情に釣られて笑みを浮かべる。
 

「菫、いっぱい食べな」


蒴は器の中に、菫の好きな具材をたくさん入れて、菫へと手渡した。


「ありがとう!蒴ちゃん」

「蒴、俺には?」

「はい、勝手によそって食べな」


蒴は恭弥に器を渡すだけで、菫のようによそってあげようとはしない。


「はいはい、わかってましたよ」

「じゃあ恭弥くんには私がよそってあげようか?」

「マジ?菫ちゃんいい女だね」


恭弥に褒められて鼻の下が伸びそうになるのを抑えながら、恭弥の器をもっておたまでよそおうとすると、横から蒴におたまと器を奪われてしまう。


「危ないよ、汁がこぼれて火傷したらどうするの?」

「このくらい私だってできるよ!」

「蒴さすがに過保護すぎだろ
そのくらい菫にもできるよなあ?」

「そうだよ、できるよ!」

「恭弥はなんかあったら責任取れんの?」

「わかった、好きにしてください」


恭弥は両手をあげて、お手上げというポーズを取る。結局、蒴が恭弥の分までよそうことになった。


「なんかさ、菫の具と全然違くない?
俺の扱い酷くない?」


恭弥の器の中には、白菜や豆腐ばかりが入っていて、肝心な魚介類が鱈一切れだけだ。
一方、菫の器の中には沢山の魚介類が大盛りになっている。


「そんなことないよ
美味しく食べて」

「じゃあ、恭弥くんに私の牡蠣あげる~」 


菫は自分の器から、恭弥の器の中に牡蠣を入れた。他の具材も入れようとすると恭弥が器を遠ざける。


「いいよ、菫が食べな
俺は菫がうまいもん食べてる時、幸せそうな顔するの可愛くて好きよ」


恭弥が器の中の牡蠣を箸で摘んで、菫の口元に持っていくが、菫を挟んで睨みつけてくる蒴の姿に気づいて、箸で摘んでいた牡蠣を自分の口の中に入れる。

雛鳥のように口を開けて待っていた菫は揶揄われたのかと思い頬を少し膨らませる。
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