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夏は休み
そのとき、精悍
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「ヤダ~~!」
まったく柚月、うるさいなぁ、小学生じゃないんだから、博物館では、静かにってのが、分からないのかね。
あ、優子に取り押さえられて、口にガムテープ貼られてる。誰だ? ガムテなんか持って来てたのは。
「このR30って、前期じゃないの? 前に見たサイトには、そう書いてあったよ」
結衣が不意に、ポールニューマンバージョンを指差して言った。
いや、違うんだよ。これは後期の標準車だよ。
標準車ってのは、RSじゃない、TIやGTの事ね。RSはさ、鉄仮面か半魚人かで分かりやすいけど、標準車の差異はそこまで大幅じゃないから、興味ないと見間違えるんだよね。
この間、雑誌系のサイトで『前期と後期、どっちが好み?』みたいな記事で堂々と間違えてたのを兄貴が見て、車で飯を食っていて、このレベルだと嘆かわしいって、言ってた。
ポイントはいくつかあるんだけど、分かりやすい点は3つね。
1つ目は、フロントグリルが、前期型は一面がハニカムグリルって言って、ハチの巣状の形が最前面まで張り出していて、助手席側に大きなSをもじったマークが付いてるの。
後期型は、グリルの中央部に上下の仕切りがあって、仕切りが最前面に来て、ハニカムが仕切りの奥に行ってるの。更に助手席側のエンブレムが小型化されて、仕切りの下に収まる四角い縁取りのエンブレムに変更になってる。
2つ目は、ライトとグリルの下にメッキのモールが付いていて、バンパーに繋がってるのが前期、後期は、ライトとグリルの下にボディと同じ色のパネルが入っているから、真正面から見た時に、ライト下に、ボディ色が入っていると後期って分かる。
3つ目は、サイドに回って、フロンフェンダーにウインカーがついてるんだけど、バンパー下に、正方形の形のウインカーがついてるのは前期、後期はバンパーサイドが回り込むから、ウインカーがバンパーの上に、横長のタイプがついてるんだ。
それで見てみて。
「あぁ~、ホントだ。眉間にしわ、鼻の下にボディカラー、目尻に横長ウインカー……こうすると、後期型って分かるね」
結衣、分かりやすさを意図したんだろうけど、その表現方法もどうかと思うよ。
そして、ぐっと近代的になって、遂に7代目のR31だね。
先代が、高級感が無いって言われて、マークIIや、クレスタに顧客が流出して販売台数が激減したことを受けて、それらの車に影響を受けたのがR31なんだって。
5代目から6代目になって、販売台数が12万台くらい減ってるから、結構大きな落ち幅だよね。
それと、トヨタと日産のシェアの中で、スカイラインがある、アッパーミドルサルーンのカテゴリは、唯一、日産の独壇場ってくらいぶっちぎりのトップシェアだったんだけど、6代目の頃に陥落したってのも、大きかったんだって話だよ。
スタートは、4ドアセダンと、新たに4ドアハードトップが加わって、5ドアハッチバックに加えて、2ドアハードトップが廃止されたのも、ショッキングな出来事だったんだって。
そうだね、売り上げの数量的には比率の高くない2ドアだけど、イメージリーダーとしては、3代目以降の顔みたいになってたからね。これは結構、凄いことなんだね。
そして、2代目から開発に携わっていた責任者が、病気で倒れたために、この7代目をもってスカイラインの開発からは引退したっていうのもトピックなんだって。
一応、発表会の時の責任者は、R32の人なんだけど、社内上の話であって、実質的な開発責任者は、R30までの人らしいよ。
技術的な面では、新開発の6気筒エンジンであるRB20型が搭載されて、それにはGT-R以来の6気筒の4バルブDOHC版があった事、そして、この間、2年生が作業してた、世界初の4輪操舵システムであるハイキャスが搭載された事が、大きなトピックなんだって。
当初のRBエンジンは、シングルカム、シングルカムターボ、DOHCで、後からDOHCターボが追加されるんだって。
そして、エンジンといえば、先代で登場したRSに搭載された4気筒のFJ型エンジンは、廃止されたそうだよ。どうも、結構高コストだったみたいで、随分短命に終わったエンジンだったそうだよ。
「でもって、前期型って置いてないのな~」
仕方ないよ結衣、R31の初期型は、かなり黒歴史だったらしいからね。
お父さんが言ってたよ。昔は、R31の初期型なんて、中古で誰も欲しがらないから、よく捨ててあったって。
結衣の家のある集落の方に向かう坂の途中に、祠がある広場があるでしょ? お父さんが言ってたけど、あそこに2005年くらいまで、R31の初期型の白が捨ててあったらしいよ。
4ドアハードトップで、横の窓が前後とも全開になった状態で、捨ててあったんだって。
この7代目はキャッチコピーが、そのままズバリ『7thスカイライン』だったらしいよ。初期のCMでは『都市工学です』なんて言ってたけど、定着しなかったしね。
初期の初期のR31の売りは、ハイキャスやエンジンの他には、豪華な室内と広さとか、オプションで5本のカセットテープが入れ替え無しで再生できる『5連カセットテープセレクター』とか、カードエントリーシステムとか、独創的なシステムがついたとか、それって、スカイラインじゃなくても良いじゃん的なものが多かったんだよね。
前期の上級グレードって、室内を選べるんだけど、大半の人が選んだのが、真っ赤な色でソファみたいなモコモコのシートになるタイプの方で、それって、ローレルと何が違うの? って感じになってたからね。
それで、4気筒の普及版は、既にTIとも呼ばれず、1800という呼称になってたし、TIにあった4気筒の2000cc版も廃止になって、もう、完全に4気筒は廉価版というポジションの、あきらめムードだったみたい。
そうだ、4気筒で思い出したけど、R30まであった、2ドアのTI系も、R30のマイナーチェンジで消えているし、どうも、R30の途中あたりから、4気筒に対する情熱は失せていたように感じるよね。
なので、R31の4気筒版は、セダン比率が、当時から非常に高かったのが特徴なんだって。これは、同時期のローレルも同様なんだけど、大きなボディと、豪華な外観を安い値段でって、需要層に受けたんだって。
登場して半年弱で、ワゴンが追加されてる。
このワゴンは、1800ccが2グレードと、共通ホイールベースになった事を活かして、トップグレードには遂に、2000ccの6気筒ターボ車であるGTパサージュが設定されたんだって。ただし、このワゴンの2000ccはATのみで、一部の層からは疑問が呈されていたらしいよ。
でも、物凄く速かったことは間違いないよ。子供の頃、家でこのR31ワゴンのターボに乗ってた人が、兄貴に言ってたらしいけど、ダッシュボードにある小物入れに入れていた物が、加速の遠心力で、荷室の端まで飛んでいったそうだよ。
あと、R30で登場したバンは、モデルチェンジしないで、このまま継続生産されて、R32の途中まで生産された後、このR31のワゴンと共にアベニールに統合されて消滅したため、今のところ、スカイラインバンはR30、ワゴンはR31が最後と言われているよ。
そして、モデルチェンジから9ヶ月おいて、ようやく7代目にも2ドアモデルが登場して、ここから、2ドアはハードトップから、センターピラー付きのクーペになるんだって。この2ドアの目玉としてオプションで用意されたのが、結衣の車にもついてるGTオートスポイラーなんだって。
CMでも、このオートスポイラーが強調されていたのと、このクーペ登場時から、『エリーゼのために』のバージョンをロック調に変えたものが流されていたのが、R31の中盤からのプロモーションの特徴だったんだって。
同時に2ドアは6気筒のみで、グレードをGTSシリーズに統一して、ここからスポーツへの回帰が始まるんだって。
数ヶ月後には、4ドアハードトップにもGTSシリーズを追加したのも、その一環だね。でもハードトップで、セダンでないところが、R31らしいと言えばそうだね。
登場2年後にはマイナーチェンジが行われて、主に4ドアシリーズの顔面が2ドアのイメージに準じるものに変更されたのと同時に、2ドアに、レース参戦用としてGTS-Rが800台の限定で登場。
このGTS-Rは、タービンや、インタークーラーを大型化、専用のエキゾーストマニホールドを採用して20馬力アップ。
外観では、オートスポイラーを廃止して大型の固定式のフロントスポイラーとリアスポイラーを装備したんだって。
やっぱり、オートスポイラーは重くなるって、認めてたんだね。結衣に言うのはアレだけどさ……。
そしてボディ色は、専用のブルーブラックなんだけど、この専用色、モデル末期に通常のクーペでも特別仕様車として登場しちゃうんだよね。
GTS-Rのカタログには『ファミリー仕様としては決してお使いならないで欲しい』って、書かれてたほど、ハードな仕様だったらしいよ。
ここまでスポーツイメージを上げたのに、同じマイナーチェンジでは、セダンからDOHCエンジンと、ターボエンジン搭載車が廃止されてしまうんだよね。
これは、日産に限った事じゃないんだけど、当時のメーカーは、価格の高い4ドアハードトップを売りたいために、セダンの同一グレードの装備の質をわざと落としたり、最上級グレードをハードトップのみにしてみたり、スカイラインみたいに、上級エンジンを積まないようにしてみたりしたんだよね。
でもって、ハードトップは、ボディの剛性も低ければ、耐久性も低く、横転時や、横衝突の安全性もなくて、良いとこなしだったんだよ。
単にボディを僅かながら低くできるっていう、デザイン上の見栄を満足させるためだけの4ドアハードトップは、2000年頃になって、側面衝突の基準が見直されると、国内から一気に姿を消すことになるんだよね。
どうだい、結衣、この私の博識ぶり、ちょっとしたスカイライン通並みでしょ。
「おぉ~、マジで凄いよ~。今日は、私らだけだからアレだけど、満員の日とかに、マイが講釈はじめたら、きっと人だかりが出来ちゃうよ~!」
やっぱりそうかな? 私も、こっちの世界に目覚めちゃおうかな? 『あの』沢渡遊馬の妹っていう、威光を利用して、ちょっとした有名人になれちゃうかな?
どうしたの悠梨、なんで、ちょっと離れた位置から、バイ菌を見るような目でこっちを見てるの?
「マイ、さっきから痛い人にしか見えないよ。早く目を覚ましなよ~」
な、なによ、目を覚ませって?
私が、そんなにおかしいって言うの?
え? 病気が移るから近寄るな? なんなんだよ、それ~。
「マイ、悠梨なんて放っといて行こうぜ~」
そうだね、遂に次はR32系だもんね。
まったく柚月、うるさいなぁ、小学生じゃないんだから、博物館では、静かにってのが、分からないのかね。
あ、優子に取り押さえられて、口にガムテープ貼られてる。誰だ? ガムテなんか持って来てたのは。
「このR30って、前期じゃないの? 前に見たサイトには、そう書いてあったよ」
結衣が不意に、ポールニューマンバージョンを指差して言った。
いや、違うんだよ。これは後期の標準車だよ。
標準車ってのは、RSじゃない、TIやGTの事ね。RSはさ、鉄仮面か半魚人かで分かりやすいけど、標準車の差異はそこまで大幅じゃないから、興味ないと見間違えるんだよね。
この間、雑誌系のサイトで『前期と後期、どっちが好み?』みたいな記事で堂々と間違えてたのを兄貴が見て、車で飯を食っていて、このレベルだと嘆かわしいって、言ってた。
ポイントはいくつかあるんだけど、分かりやすい点は3つね。
1つ目は、フロントグリルが、前期型は一面がハニカムグリルって言って、ハチの巣状の形が最前面まで張り出していて、助手席側に大きなSをもじったマークが付いてるの。
後期型は、グリルの中央部に上下の仕切りがあって、仕切りが最前面に来て、ハニカムが仕切りの奥に行ってるの。更に助手席側のエンブレムが小型化されて、仕切りの下に収まる四角い縁取りのエンブレムに変更になってる。
2つ目は、ライトとグリルの下にメッキのモールが付いていて、バンパーに繋がってるのが前期、後期は、ライトとグリルの下にボディと同じ色のパネルが入っているから、真正面から見た時に、ライト下に、ボディ色が入っていると後期って分かる。
3つ目は、サイドに回って、フロンフェンダーにウインカーがついてるんだけど、バンパー下に、正方形の形のウインカーがついてるのは前期、後期はバンパーサイドが回り込むから、ウインカーがバンパーの上に、横長のタイプがついてるんだ。
それで見てみて。
「あぁ~、ホントだ。眉間にしわ、鼻の下にボディカラー、目尻に横長ウインカー……こうすると、後期型って分かるね」
結衣、分かりやすさを意図したんだろうけど、その表現方法もどうかと思うよ。
そして、ぐっと近代的になって、遂に7代目のR31だね。
先代が、高級感が無いって言われて、マークIIや、クレスタに顧客が流出して販売台数が激減したことを受けて、それらの車に影響を受けたのがR31なんだって。
5代目から6代目になって、販売台数が12万台くらい減ってるから、結構大きな落ち幅だよね。
それと、トヨタと日産のシェアの中で、スカイラインがある、アッパーミドルサルーンのカテゴリは、唯一、日産の独壇場ってくらいぶっちぎりのトップシェアだったんだけど、6代目の頃に陥落したってのも、大きかったんだって話だよ。
スタートは、4ドアセダンと、新たに4ドアハードトップが加わって、5ドアハッチバックに加えて、2ドアハードトップが廃止されたのも、ショッキングな出来事だったんだって。
そうだね、売り上げの数量的には比率の高くない2ドアだけど、イメージリーダーとしては、3代目以降の顔みたいになってたからね。これは結構、凄いことなんだね。
そして、2代目から開発に携わっていた責任者が、病気で倒れたために、この7代目をもってスカイラインの開発からは引退したっていうのもトピックなんだって。
一応、発表会の時の責任者は、R32の人なんだけど、社内上の話であって、実質的な開発責任者は、R30までの人らしいよ。
技術的な面では、新開発の6気筒エンジンであるRB20型が搭載されて、それにはGT-R以来の6気筒の4バルブDOHC版があった事、そして、この間、2年生が作業してた、世界初の4輪操舵システムであるハイキャスが搭載された事が、大きなトピックなんだって。
当初のRBエンジンは、シングルカム、シングルカムターボ、DOHCで、後からDOHCターボが追加されるんだって。
そして、エンジンといえば、先代で登場したRSに搭載された4気筒のFJ型エンジンは、廃止されたそうだよ。どうも、結構高コストだったみたいで、随分短命に終わったエンジンだったそうだよ。
「でもって、前期型って置いてないのな~」
仕方ないよ結衣、R31の初期型は、かなり黒歴史だったらしいからね。
お父さんが言ってたよ。昔は、R31の初期型なんて、中古で誰も欲しがらないから、よく捨ててあったって。
結衣の家のある集落の方に向かう坂の途中に、祠がある広場があるでしょ? お父さんが言ってたけど、あそこに2005年くらいまで、R31の初期型の白が捨ててあったらしいよ。
4ドアハードトップで、横の窓が前後とも全開になった状態で、捨ててあったんだって。
この7代目はキャッチコピーが、そのままズバリ『7thスカイライン』だったらしいよ。初期のCMでは『都市工学です』なんて言ってたけど、定着しなかったしね。
初期の初期のR31の売りは、ハイキャスやエンジンの他には、豪華な室内と広さとか、オプションで5本のカセットテープが入れ替え無しで再生できる『5連カセットテープセレクター』とか、カードエントリーシステムとか、独創的なシステムがついたとか、それって、スカイラインじゃなくても良いじゃん的なものが多かったんだよね。
前期の上級グレードって、室内を選べるんだけど、大半の人が選んだのが、真っ赤な色でソファみたいなモコモコのシートになるタイプの方で、それって、ローレルと何が違うの? って感じになってたからね。
それで、4気筒の普及版は、既にTIとも呼ばれず、1800という呼称になってたし、TIにあった4気筒の2000cc版も廃止になって、もう、完全に4気筒は廉価版というポジションの、あきらめムードだったみたい。
そうだ、4気筒で思い出したけど、R30まであった、2ドアのTI系も、R30のマイナーチェンジで消えているし、どうも、R30の途中あたりから、4気筒に対する情熱は失せていたように感じるよね。
なので、R31の4気筒版は、セダン比率が、当時から非常に高かったのが特徴なんだって。これは、同時期のローレルも同様なんだけど、大きなボディと、豪華な外観を安い値段でって、需要層に受けたんだって。
登場して半年弱で、ワゴンが追加されてる。
このワゴンは、1800ccが2グレードと、共通ホイールベースになった事を活かして、トップグレードには遂に、2000ccの6気筒ターボ車であるGTパサージュが設定されたんだって。ただし、このワゴンの2000ccはATのみで、一部の層からは疑問が呈されていたらしいよ。
でも、物凄く速かったことは間違いないよ。子供の頃、家でこのR31ワゴンのターボに乗ってた人が、兄貴に言ってたらしいけど、ダッシュボードにある小物入れに入れていた物が、加速の遠心力で、荷室の端まで飛んでいったそうだよ。
あと、R30で登場したバンは、モデルチェンジしないで、このまま継続生産されて、R32の途中まで生産された後、このR31のワゴンと共にアベニールに統合されて消滅したため、今のところ、スカイラインバンはR30、ワゴンはR31が最後と言われているよ。
そして、モデルチェンジから9ヶ月おいて、ようやく7代目にも2ドアモデルが登場して、ここから、2ドアはハードトップから、センターピラー付きのクーペになるんだって。この2ドアの目玉としてオプションで用意されたのが、結衣の車にもついてるGTオートスポイラーなんだって。
CMでも、このオートスポイラーが強調されていたのと、このクーペ登場時から、『エリーゼのために』のバージョンをロック調に変えたものが流されていたのが、R31の中盤からのプロモーションの特徴だったんだって。
同時に2ドアは6気筒のみで、グレードをGTSシリーズに統一して、ここからスポーツへの回帰が始まるんだって。
数ヶ月後には、4ドアハードトップにもGTSシリーズを追加したのも、その一環だね。でもハードトップで、セダンでないところが、R31らしいと言えばそうだね。
登場2年後にはマイナーチェンジが行われて、主に4ドアシリーズの顔面が2ドアのイメージに準じるものに変更されたのと同時に、2ドアに、レース参戦用としてGTS-Rが800台の限定で登場。
このGTS-Rは、タービンや、インタークーラーを大型化、専用のエキゾーストマニホールドを採用して20馬力アップ。
外観では、オートスポイラーを廃止して大型の固定式のフロントスポイラーとリアスポイラーを装備したんだって。
やっぱり、オートスポイラーは重くなるって、認めてたんだね。結衣に言うのはアレだけどさ……。
そしてボディ色は、専用のブルーブラックなんだけど、この専用色、モデル末期に通常のクーペでも特別仕様車として登場しちゃうんだよね。
GTS-Rのカタログには『ファミリー仕様としては決してお使いならないで欲しい』って、書かれてたほど、ハードな仕様だったらしいよ。
ここまでスポーツイメージを上げたのに、同じマイナーチェンジでは、セダンからDOHCエンジンと、ターボエンジン搭載車が廃止されてしまうんだよね。
これは、日産に限った事じゃないんだけど、当時のメーカーは、価格の高い4ドアハードトップを売りたいために、セダンの同一グレードの装備の質をわざと落としたり、最上級グレードをハードトップのみにしてみたり、スカイラインみたいに、上級エンジンを積まないようにしてみたりしたんだよね。
でもって、ハードトップは、ボディの剛性も低ければ、耐久性も低く、横転時や、横衝突の安全性もなくて、良いとこなしだったんだよ。
単にボディを僅かながら低くできるっていう、デザイン上の見栄を満足させるためだけの4ドアハードトップは、2000年頃になって、側面衝突の基準が見直されると、国内から一気に姿を消すことになるんだよね。
どうだい、結衣、この私の博識ぶり、ちょっとしたスカイライン通並みでしょ。
「おぉ~、マジで凄いよ~。今日は、私らだけだからアレだけど、満員の日とかに、マイが講釈はじめたら、きっと人だかりが出来ちゃうよ~!」
やっぱりそうかな? 私も、こっちの世界に目覚めちゃおうかな? 『あの』沢渡遊馬の妹っていう、威光を利用して、ちょっとした有名人になれちゃうかな?
どうしたの悠梨、なんで、ちょっと離れた位置から、バイ菌を見るような目でこっちを見てるの?
「マイ、さっきから痛い人にしか見えないよ。早く目を覚ましなよ~」
な、なによ、目を覚ませって?
私が、そんなにおかしいって言うの?
え? 病気が移るから近寄るな? なんなんだよ、それ~。
「マイ、悠梨なんて放っといて行こうぜ~」
そうだね、遂に次はR32系だもんね。
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