女子高生が、納屋から発掘したR32に乗る話

エクシモ爺

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秋は変化……

次期役員とクラッチ

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 遂に2学期だね。
 クラスをパッと見で見たところ、夏をエンジョイしてたかどうかは、4輪免許の有無で、ハッキリ分かれちゃった感じだよね。
 私らは言うまでもなくだけどさ、他に取れてるクラスメイトを見ると、やっぱり日焼けしてスッキリした顔してるのが多いよね。

 まぁ、でも、悪いんだけどさ、私らほど、今年の夏を充実して過ごした生徒って、他にいなくない?
 海行って、博物館行って、毎週部活やって、燈梨を案内して、合宿して、温泉旅行行って……って、控えめに言っても、こんなにあるんだよ。
 私さ、3年間の中で、一番、色々出かけた夏だったんだよね。

 柚月と優子、悠梨が他のグループの偵察に行って帰ってきたよ。

 「やっぱり~、みんなは、そこまで出かけてないみたいだよ~」

 だろうね柚月、みんな受験生ってのもあるしね。
 
 「あっちのグループは、この夏で3回東京に行ったらしいよ。2回は渋谷で、1回は原宿だってさ」

 そうなの悠梨? まぁ、去年までなら、私も羨ましいかも……って、思っちゃったかも、だけどさ、今年は車があるしさ、しかも、海も、花火も堪能したし、向こうの県にも何回も行っちゃったしね、満足度が違うよね。
 ホラ、渋谷とかって、電車の乗り換えめんどいけど、いつでもいける訳じゃん。だけど、高3の夏休みの海ってのは、一生の思い出に残る訳だしさ、やっぱり重みってのかな? そういうもんが違う訳だよね。

◇◆◇◆◇

 新学期早々、部活ってのも、どうかと思うけど、まぁ1、2年生から強く開催を期待されてるからね。
 ウチの学校ってのは、どうして、こうも部活動に意欲的な生徒が多いんだろうね? 私なんてさ、もっと涼しくなってからでもよくない? とか言っちゃう方なんだけどさ。
 あ、そうか、夏休み中にガレージにエアコンが付いたんだっけか。

 でもって、耐久レースの車の準備も終わっちゃってるしね、あとは残りの部車の基本整備かな? って、七海ちゃんは意欲的だね、いつも積極的な発言が良いよ、次の部長は七海ちゃんで決まりだよね……え? お断りしますだって? なんで?

 「練習車のクラッチが、結構ヤバいので、交換した方が良いと思います」

 なるほど、彼女たちの練習車ってのは、教習車だからね。
 そっか、このところ私と柚月は、部のお遣いやらなんやらで、教習車の同乗してなかったから、分からなかったのかぁ……。

 それにしても、七海ちゃん、よく気がついたね。
 なに? 休み中は、畑で爺ちゃんの軽トラ使って練習してたから、クラッチの感覚はバッチリなんです。だって?
 あのね、七海ちゃん。そういう事は、大っぴらに言っちゃダメだよ。下手に生徒指導に知れると、停学になっちゃうし、部活も停止になっちゃうからね。

 どれどれ、ちょっと教習車に乗ってみよう。
 あぁっ、ホントだ。随分高い位置でクラッチが繋がるよ……こりゃぁ、滑る寸前だねぇ。

 ちょっと確認してみよう。
 まずは車を停止させて、ブレーキとクラッチを踏んで、最高ギアに入れる。この車の場合は5速だね。
 そして、ゆっくりとクラッチを緩めていく……そぉっと、足を離していくんだけど……あ、エンストしないで、スルスルと進み始めちゃったよ。こりゃダメだ! クラッチが滑ってるわ。

 「うん、ダメだね!」

 私は車を降りると、言った。
 でもってさ、練習場に移動させるのは、3年生の仕事でしょ? みんな、気がつかなかったの?

 「いつも乗ってると、気がつかないんだよねー」

 悠梨が言って、あとの2人も頷いていた。
 そうか、これが慣れの恐ろしいところなんだよね。
 なんの部位でもそうなんだけど、毎日乗って慣れているがゆえに、感覚が慣らされちゃって、異常になっていても気がつかない……ある意味、災害時の正常性バイアスにも似た感覚だよね。

 でもって、部品を今日注文して間に合うかな? とりま、リストアップしよう。
 まずはクラッチディスク、カバー、それからミッションマウントも、この機会だから交換で良くね?

 どしたの七海ちゃん? 
 え? さすが私だって? 的確に必要な部品を言い当てて凄いです? いや、そんな、褒められると悪い気分はしないんだけど、私だって、4月までは、車に興味なんかない、タダの素人だからね。
 みんなも、心配しなくても、このくらいにはすぐなれるんだからね。

 じゃぁ、七海ちゃん、悪いんだけど水野の所に行って、急ぎで注文して、いつになるか訊いてきて。
 え? 私が行くんですか、だって? 
 うん、もう活動の中心は私らじゃなくて、1、2年生だからね。本当は夏休み前から、徐々にみんなに移行していこうと思ってたんだけど、延び延びになっちゃってて。

 だから、七海ちゃんにも、徐々に水野へのお遣いとか、任せていくようになるからね。
 それとも、他に1、2年生をまとめてやっていける娘って、いるの? 1年生の部長ってのは、あんまりよろしくないかな、自動車部って、性格上ね。

 見てるとさ、やっぱり、他の2年の娘とか、手を挙げて来ないんだよね。
 それに、初期の頃から、下級生のグループの中で圧倒的な信頼があって、的確な判断力を持ってるのって、彼女だと私は思うんだよね。

 なので、七海ちゃんをお遣いに行かせ、他の1、2年をGTEやタイプMの整備班と、悠梨主導の文化祭車両制作班とに分けて、私は、柚月と部室に移動した。

 「ぶっちゃけ、次期の役員の件、どう思う?」
 「私は~、正直、今のところ、部長は、七海っちしかいないと思うんだよね~」

 柚月が言うには、彼女は元々、空手部にいた娘で、的確な判断力と、リーダーシップはある娘なんだけど、元の性格が引っ込み思案で、あまり表に出ることを良しとしない性格らしい。

 「七海っち曰く~『私は補佐向きなんです』って言っちゃってるからね~」

 柚月は、七海ちゃんを的確に評すると、冷蔵庫から、ファンタを出して飲んだ。
 オイ、柚月! そのファンタ、私のだよ!

 「えっ?」

 え、じゃねぇよ! 冷蔵庫の中の物には、ちゃんと名前が書いてあるだろーが、それを見もしないで勝手に飲んでるって事は、お前だな! いつも勝手に飲み物を飲んでるのは、他の部員から苦情が出てるんだよ。飲み物ドロボーがいるってな!

 「あはは……」

 あはは、じゃねーよ! 
 副部長のくせに、窃盗とは、ふてぇ奴だ。
 よし、柚月のパンツを脱がせて、みんなの前で燃やして償いとしよう。

 「やめろ~!」

 さて、柚月の償いの会は後でやるとして、本題に戻すと、今期はさ、部員が急激に増えたゴタゴタで、部長と副部長を即席で決めたくらいで、なんとかなってるんだけど、次期からは、会計とか、競技担当も必要になってくるんだよ。

 「競技担当って~?」

 平たく言うと、連盟に対しての連絡とか、出場競技の説明会に出てくる……とか、そういうのをやる担当も必要になってくるだろうね。
 そうなると、その競技担当が、必然的に競技車両の責任者にもなってくるわけだよね。まぁ、カッコ良く言うと、監督って訳だよ!

 それに、文化祭の担当だって、今年は悠梨の得意分野だから、なし崩し的に決まったけど、今年の文化祭の反響次第では、来年の文化祭に対する期待も大きくなっていくんだから、当然早いうちからリーダーを決めておきたい。

 なにもかもが、今年と同じって、訳にはいかないんだよね。
 だから、2学期からは、彼女たちの仕切りでやらせたいの。
 七海ちゃんの水野に対する苦手意識も、場数を踏んで克服して貰わないとさ、顧問は水野だっていうところは、変わらないんだからさ。

 分かった、柚月?

 「分かったよ~」

 それから、柚月と次期役員について、真面目に打ち合わせ、ガレージに戻ると、七海ちゃんが戻って、文化祭作業に加わっていたので訊くと、なんと、注文した部品は、明日の午後にはディーラーに到着するとのことだった。

 よし、明日から作業に入れるね。

──────────────────────────────────────
 ■あとがき■
 お読み頂きありがとうございます。

 多数の評価、ブックマーク頂き、大変感謝です。
 この暑さの中でも、創作の励みになります。

 次回は
 遂にパーツが到着し、クラッチ交換に取り掛かる前に、ミッションとレイアウトの講義が始まります。

 お楽しみに。
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