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温めの風
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「伊達眼鏡みたいじゃないか。フレームが大きすぎる。これを選ぶやつって、相当センスがずれてるぜ」
突然の抗議に、創一は思わず吹き出した。以前の物とどう違うのか、判別できなかったからだ。
「遠矢にすごく似合ってるよ。度数が合っていれば問題ないくらい」
「創一って、案外目が悪いんだな。だからノートが曖昧になるのさ」
遠矢は腕を組んで悪態をつきながらも、何が可笑しいのか一緒に笑いだす。
帰り際、創一は玄関先で、週明けに学校へ来れるかどうかを尋ねた。遠矢は大丈夫だというふうに頷いて、創一のために玄関ドアを開ける。
「今日は付き合わせて悪かったな」
「お大事に」
「……怒ってない?」
「ノートは今度からちゃんととるよ」
「そうじゃないんだけど、……怒ってないならいいや」
どちらともなく互いに二、三度手を振り、創一はマンションを後にした。
湿度を含んだ外気は温く、雲が多いというのに仄明るい夜空が広がっている。創一はマンションへ振り返る。照明の点いた一室を見上げるうちに、今頃になって触れた部分が熱くなるのを自覚した。
突然の抗議に、創一は思わず吹き出した。以前の物とどう違うのか、判別できなかったからだ。
「遠矢にすごく似合ってるよ。度数が合っていれば問題ないくらい」
「創一って、案外目が悪いんだな。だからノートが曖昧になるのさ」
遠矢は腕を組んで悪態をつきながらも、何が可笑しいのか一緒に笑いだす。
帰り際、創一は玄関先で、週明けに学校へ来れるかどうかを尋ねた。遠矢は大丈夫だというふうに頷いて、創一のために玄関ドアを開ける。
「今日は付き合わせて悪かったな」
「お大事に」
「……怒ってない?」
「ノートは今度からちゃんととるよ」
「そうじゃないんだけど、……怒ってないならいいや」
どちらともなく互いに二、三度手を振り、創一はマンションを後にした。
湿度を含んだ外気は温く、雲が多いというのに仄明るい夜空が広がっている。創一はマンションへ振り返る。照明の点いた一室を見上げるうちに、今頃になって触れた部分が熱くなるのを自覚した。
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