蜜葉

夏蜜

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真夏の誘惑

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 篠崎の返事を後ろ姿に聞いた栗原は、顔を振り向かせるとにっこりと笑う。去り際、もう一度篠崎の方へ振り返った栗原は、少し怪訝な表情をすると、何事もなかったように無言で講義室を出ていった。
 夕暮が迫る頃、その日の講義をやっと受け終えた篠崎は、栗原が待つであろう喫茶店の前に帰りの足を止めていた。
 もしかしたら栗原は、わざと変なことを言ってからかっているのかもしれない。篠崎の頭にはそんな考えがよぎっていたが、いざ店内を見渡してみると、他の客たちから離れたいちばん奥テーブルの窓席に、独りぼんやりと外を眺める彼の姿があった。
 栗原は篠崎と顔を合わせるなり、すっかり待ちくたびれた、コーヒー代に2千円分も使ってしまったと悪態を吐きだしが、すぐにけろりとした表情に戻り、事の詳細を話し始めた。
 スカウト、というのは、いわばこういうことであった。栗原が趣味で写真を撮っているので、新しくカメラを買った記念に何か特別なものを写したいというのだ。そのためにヌードを撮ってみたいのだが、その役をぜひ買ってくれないか、ということであった。 
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