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第一章
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シーナはそんな俺の様子を見ながら微笑んだ。
「これで日向さんは、須佐之男命の使徒となりました! 偉大なる神の代行者として、我々〝天界〟の危機を救って下さい!」
「え? どういう……」
俺がシーナに何を言ったのかを聞こうとしたところで、周りを覆っていた桜の花びらが散り始めた。
「今の日向さんになら、この程度の敵、簡単に倒せます! 頑張ってください!」
そう言うと、シーナは扇を広げ、舞い始めた。
「『桜舞双扇』五の舞! 去れ、『散り桜』!」
「え」
そして、シーナの体は桜の花びらとなり、どこかへ消えた。
俺がその現象に呆けているのも待たずに、散り始めた桜の壁から先ほどの化け物が姿を現し始めた。とにかく、今は目の前の敵だ!
「キシャ――――――――――――――――――!」
さっきまでは恐怖でしかなかった叫び声も、今では全く怖くない。
それだけ今の俺には自身が溢れていた。
「かかってこいや、化け物!」
「キシャ――――――――――――――――――――!」
化け物はもう見慣れたモーションをとる。足を大きく振りかぶり、そして俺めがけて振り下ろしてきた。
それを俺は軽く避けた。
まずは身体能力がどう変化したのか試してみたが……どうやら、力が宿ったというのは本当なようだ。
今までよりもずっと化け物の動きが遅く見える。
化け物はもう一度同じように足を振るってきた。
次に俺はその足を受けとめようと考えたが、
「うっ……おおっ……!」
ブレーキは全く効かず、俺は軽くぶっ飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「のわっ! ……痛っつつつ……」
「なっ、なにやってるんですか――――!」
そんなことをしていると、脳内にシーナの声が響いてきた。どうなってるんだ?
シーナに声が聞こえるかもしれないと思い、俺は言いたいことを言わせてもらった。
「おい、全然余裕じゃねえぞ! 軽く吹っ飛ばされちまったじゃねえか!」
とは言っても、最初に食らった攻撃に比べると、全くと言っていいほどにダメージを受けていないのだが……。
シーナは心底怒った様子でこちらへまた叫んできた。
「日向さんにはまだ攻撃を受け止めるほどの力はありませんよ! とにかくあの魔獣に攻撃を加えて下さい!」
「わ、分かったよ……」
いろいろ聞きたいことがあったが、今は置いておくことにする。
俺は振り返って化け物を見上げる。
そして、勢いよくジャンプした。
「おおっ」
俺の予想通り、身体能力が格段に上がっているようで、十メートルくらい上にジャンプすることができた。
宙に浮かんだ状態で、俺は拳を作り、化け物の顔面を狙って思いっきり振りおろした。
めごす。
明らかに入った感触で手ごたえを感じた。あんな硬かったこいつの肉体に拳入れることができるなんてな……。
そんなことに関心していたのだが、
「……あれ?」
化け物は倒れずに踏みとどまっていた。
そして、大きく足を振りかぶると、再び俺の方へ足を振るった。
「うおっ」
また壁に叩きつけられ、疑問が生まれる。
「あれ、おっかしいな……?」
「おっかしいな……? じゃないですよ――――!」
シーナの叫びが聞こえてきた。一体どうなってるんだ?
そんな俺の疑問も気にしないで、シーナは俺に怒鳴ってきた。
「誰が素手で戦えっていたんですか! 剣士なんですから、剣を使って下さい!」
「え? 剣士が敵を刀を使わずに倒すのってカッコ良くない?」
「そんなのどうでもいいです――――!」
シーナのイライラとした叫びが響き渡る。なんだ、いじるとかわいいなこの娘……っと。
俺は化け物の攻撃を避けつつ、シーナに尋ねる。
「刀で戦えて言うけど、一体どこに刀なんてあるんだよ? 鉄パイプじゃ無理だぞ」
「どこにでも、です」
「どこにでも?」
どこにでも刀があると言うのはどういうことなのだろうか。
俺の疑問に答えるようにシーナは言った。
「日向さんは今、イメージをするだけで、剣を創造することができる能力を持ってるんです!」
「イメージするだけで?」
「そうです!」
シーナはそう、当然ですよ! みたいな感じで言ってきた。でもさ……。
「それならそうと先に言えよ!」
って思うわけですよ。はい。
シーナはおろおろとした声を出して、慌てていい訳を始めた。
「だ、だって仕方がないじゃないですか! 『垂れ桜』の効果が切れてしまいそうでしたし、話しても聞く耳持ってくれそうになかったですし……」
そう言いながら、シーナの声はどんどん萎んでいった。どうやらシーナはおっちょこちょいな所があるらしい。
今にも泣きそうな声になってきたので、俺は慌てて話しかける。
「と、とにかく! その能力で俺は刀を使えるんだな?」
「はい、そうです!」
そう言ったシーナの声には元気が戻っていた。
あれ……立ち直り早くね? もしかして、俺騙された?
そう思ったのもつかの間、再び化け物の攻撃がくる。
俺は化け物の後ろに回って距離を取った。
とんでもない力を手に入れて調子に乗っていたが……いい加減真面目にやらないとな。
「これで日向さんは、須佐之男命の使徒となりました! 偉大なる神の代行者として、我々〝天界〟の危機を救って下さい!」
「え? どういう……」
俺がシーナに何を言ったのかを聞こうとしたところで、周りを覆っていた桜の花びらが散り始めた。
「今の日向さんになら、この程度の敵、簡単に倒せます! 頑張ってください!」
そう言うと、シーナは扇を広げ、舞い始めた。
「『桜舞双扇』五の舞! 去れ、『散り桜』!」
「え」
そして、シーナの体は桜の花びらとなり、どこかへ消えた。
俺がその現象に呆けているのも待たずに、散り始めた桜の壁から先ほどの化け物が姿を現し始めた。とにかく、今は目の前の敵だ!
「キシャ――――――――――――――――――!」
さっきまでは恐怖でしかなかった叫び声も、今では全く怖くない。
それだけ今の俺には自身が溢れていた。
「かかってこいや、化け物!」
「キシャ――――――――――――――――――――!」
化け物はもう見慣れたモーションをとる。足を大きく振りかぶり、そして俺めがけて振り下ろしてきた。
それを俺は軽く避けた。
まずは身体能力がどう変化したのか試してみたが……どうやら、力が宿ったというのは本当なようだ。
今までよりもずっと化け物の動きが遅く見える。
化け物はもう一度同じように足を振るってきた。
次に俺はその足を受けとめようと考えたが、
「うっ……おおっ……!」
ブレーキは全く効かず、俺は軽くぶっ飛ばされ、壁に叩きつけられた。
「のわっ! ……痛っつつつ……」
「なっ、なにやってるんですか――――!」
そんなことをしていると、脳内にシーナの声が響いてきた。どうなってるんだ?
シーナに声が聞こえるかもしれないと思い、俺は言いたいことを言わせてもらった。
「おい、全然余裕じゃねえぞ! 軽く吹っ飛ばされちまったじゃねえか!」
とは言っても、最初に食らった攻撃に比べると、全くと言っていいほどにダメージを受けていないのだが……。
シーナは心底怒った様子でこちらへまた叫んできた。
「日向さんにはまだ攻撃を受け止めるほどの力はありませんよ! とにかくあの魔獣に攻撃を加えて下さい!」
「わ、分かったよ……」
いろいろ聞きたいことがあったが、今は置いておくことにする。
俺は振り返って化け物を見上げる。
そして、勢いよくジャンプした。
「おおっ」
俺の予想通り、身体能力が格段に上がっているようで、十メートルくらい上にジャンプすることができた。
宙に浮かんだ状態で、俺は拳を作り、化け物の顔面を狙って思いっきり振りおろした。
めごす。
明らかに入った感触で手ごたえを感じた。あんな硬かったこいつの肉体に拳入れることができるなんてな……。
そんなことに関心していたのだが、
「……あれ?」
化け物は倒れずに踏みとどまっていた。
そして、大きく足を振りかぶると、再び俺の方へ足を振るった。
「うおっ」
また壁に叩きつけられ、疑問が生まれる。
「あれ、おっかしいな……?」
「おっかしいな……? じゃないですよ――――!」
シーナの叫びが聞こえてきた。一体どうなってるんだ?
そんな俺の疑問も気にしないで、シーナは俺に怒鳴ってきた。
「誰が素手で戦えっていたんですか! 剣士なんですから、剣を使って下さい!」
「え? 剣士が敵を刀を使わずに倒すのってカッコ良くない?」
「そんなのどうでもいいです――――!」
シーナのイライラとした叫びが響き渡る。なんだ、いじるとかわいいなこの娘……っと。
俺は化け物の攻撃を避けつつ、シーナに尋ねる。
「刀で戦えて言うけど、一体どこに刀なんてあるんだよ? 鉄パイプじゃ無理だぞ」
「どこにでも、です」
「どこにでも?」
どこにでも刀があると言うのはどういうことなのだろうか。
俺の疑問に答えるようにシーナは言った。
「日向さんは今、イメージをするだけで、剣を創造することができる能力を持ってるんです!」
「イメージするだけで?」
「そうです!」
シーナはそう、当然ですよ! みたいな感じで言ってきた。でもさ……。
「それならそうと先に言えよ!」
って思うわけですよ。はい。
シーナはおろおろとした声を出して、慌てていい訳を始めた。
「だ、だって仕方がないじゃないですか! 『垂れ桜』の効果が切れてしまいそうでしたし、話しても聞く耳持ってくれそうになかったですし……」
そう言いながら、シーナの声はどんどん萎んでいった。どうやらシーナはおっちょこちょいな所があるらしい。
今にも泣きそうな声になってきたので、俺は慌てて話しかける。
「と、とにかく! その能力で俺は刀を使えるんだな?」
「はい、そうです!」
そう言ったシーナの声には元気が戻っていた。
あれ……立ち直り早くね? もしかして、俺騙された?
そう思ったのもつかの間、再び化け物の攻撃がくる。
俺は化け物の後ろに回って距離を取った。
とんでもない力を手に入れて調子に乗っていたが……いい加減真面目にやらないとな。
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