剣聖の使徒

一条二豆

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第二章

シーナが…

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 時刻は午後の七時。辺りも暗くなってきたこの時間に、俺は自分の家へと着いた。
 俺の家は、少し寂れたアパートの一階、左奥の部屋にある。一見、住みにくそうなイメージがあるが、住み心地は悪くない。家賃も安く、一人暮らしの高校生である俺にはありがたい物件だ。

 にしても、今日はいろいろあったな、と俺はしみじみ思った。

 あの戦いの後、化け物は黒い粒子のようになって消えたし、シーナの声は聞こえなくなるわ姿は見えないわで大変だった。
 あの謎の壁も消えてしまっていたし、俺の身体能力も元に戻ってしまっていた。

 ……俺は夢でも見ていたのだろうか。

 そんなことを思いつつ、俺はズボンのポケットから家のカギを取り出し、ドアを開けた。

「あ、お帰りなさい日向さん! あの、勝手にお邪魔させて頂いて――」

 バタンっと俺は勢い良くドアを閉め、鍵をかけた。

 何か不思議なものを見た気がするけど、疲れて夢でも見てるんだろうな。
 なんて考えてはみるものの、ドアはあっけなく開かれ、俺を現実へと引き戻した。

「日向さん、なんで閉めちゃうんですか!」
「帰って来て家に上げた覚えのない人間がいたらびっくりするだろうが!」

 そこにいたのは、ほんの数時間前まで一緒にいた少女、シーナだった。
 シーナはなぜかプリプリと怒りながら言った。

「そもそも私は人間じゃないです!」
「知らねえよそんなこと! ……まあ、俺も聞きたいことがたくさんあったからいいけどよ……いろいろ聞かせてもらうからな」

 人間じゃない時点でおかしいと思わない俺は、何か間違っているのだろう。

「では、中に入って話しましょう」
「断る」
「とりあえず夕食に――って、ええ! なんでですか!」

 ちょっとからかってみると、かわいい反応が返ってきた。やっぱりこいつ面白いな。
 まあでも、家に入る前に聞きたかったことがあったから、冗談ではないのだが。

「俺からの最初の質問だ。なんで俺の家にいる。そして、どうやってここに入った」
「前者は私が日向さんの聖霊だからで、後者は『解錠』という術を使ったからです」

 質問したのはいいものの、何を言っているのか全く分からなかった。聖霊ってなんやねん。術ってなんやねん。

 俺の思考の整理が付かないうちに、シーナは俺の服を引っ張ってきた。

「とにかく、お話は夕食の後にしましょう! でうから日向さん、早く中へ入ってください!」
「え、ちょっと、待っ――」

 シーナは俺に有無も言わせず、強引に家の中へと引っ張っていった。

 本当になんなんだよ一体。
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