剣聖の使徒

一条二豆

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闇――弐

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「うわっ、これうんまっ!」

 暗い部屋の中に、男の声が響く。
 片手に持っているのは美味しそうなプリンだった。

 玄関のドアがバタンと開く。

「おっ、お帰りって……どうしたの、なんか顔赤いけど……」
「――――! ――――――――――――!」

 入ってきた者の声には少々苛立ちが混ざっていた。
 そんなことは気にもせず、男はカラコロと笑った。

「いいじゃんか、そんな冷たいこと言わなくってもさあ」

 入ってきた者は男の正面に座り、恥ずかしそうに喋った。

「――……――――、――――――――――……」
「へえ、なかなか積極的だね。良かったじゃん」

 男はプリンを頬張りつつ、楽しそうに話を聞いていた。

「――――……――、――――――――!」
「まじか、そんなに進んでんの?」
「――!」

 入ってきた者は照れと喜びが混ざった声を上げた。
 男は心底面白そうに聞く。

「で、どこ行くの? もう決めてあるの?」
「――、――――――……」

 先ほどの元気さとは打って変わって、沈んだ声へとなってしまった。

「じゃあ、今から決めちゃおうよ!」
「――――……?」
「もちろんだよ! 面白そうだからね!」

 そう言って、二人は暗闇の中で何かを始めた。
 男は部屋の奥から何やら雑誌の様なものを持ってきた。
 と、入ってきた者は眉根を顰める。

「――――――……―――?」
「え? ああ、プリン? おいしかったよ、ごちそうさま……ってごぶるあっ」
「――、―――――――――!」

 時間は、過ぎていく……。
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