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第三章
謝罪
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「そ、そうだったんですか……」
シーナが目覚めた後、俺が事情を説明すると、彼女は恥ずかしそうに俯いた。
まあ、悪いのは確実に俺なわけでして……何か申し訳ない気持ちになった。
シーナは軽く喉を鳴らして、顔をキリッとさせた。……君がドジっ娘なのはもう分かっているから……いろいろ手遅れなんだけどなあ……。
「どうやら申し訳ないことをしてしまったようですね……では、また今度案内させてもらいます」
「いやいや、そんなことしなくてもいいよ。別に一人や二人くらい増えた所で凛音は嫌な思いしないさ」
約束してしまったことだし、俺は凛手との約束にシーナも連れていくことにした。
まあ、あいつはかわいい娘好きだし、嫌な顔はしないだろう。
シーナは少し渋りはしたが、俺が念を押すと承諾してくれた。
「そういえば、凛音さんという人に、私の説明はどういう風になさるのですか?」
「ん? ……あー、それもそうだな……」
そうだった。凛音にシーナのことは言えないんだったな。全く考えていなかった。
しかし、どうしたものか……親族が全くいない以上従妹(いとこ)とかは無理だし、突然妹ができたと言っても納得はしてくれないだろう。
そうなってくると……どうするか……。
「あ、でも無難に友達とかでいいんじゃないか?」
「それもそうですね」
なんとなく案を言ってみたが、意外とすんなり通った。話し合う必要があったのだろうか……。
シーナは「また後で細かいことを決めましょう」と言って、この話に区切りをつけた。ってか細かいことと書決めんのかよ。こりゃ、今日も勉強時間は無しだな。
「あと日向さん。もう一つだけ懸念があるんですけど……」
「ああ、何だ?」
「バアルが言っていた、最後の言葉です」
きっと、また俺がおかしくなるんじゃないかと不安なのだろう。その声は少しだけ警戒のニュアンスが含まれていた。
でもいろいろあって、何とか気持ちの軌道修正はできたので大丈夫だ。
ともかく、バアルの最後の言葉か。確か……。
「『ボクの方から、キミたちを招待しよう』だったっけか」
「はい、そうです」
つまり近くて明日……何か仕掛けてくるかもしれないということだろう。
冷静に考えて、今のところあいつに勝てる可能性は全く無い。
いつ襲ってくるかは分からないが、もし襲って来た時に近くに守るべき人たちがいるかもしれないのだ。
大切な人が目の前で傷つくのだけは……嫌だな。
「じゃあ明日は周りにも気をつけて行動しよう」
「はい。あ、ではそろそろ夕食にしましょう。何か作りますね」
「あ、悪いな……俺も手伝うよ」
まだ出会って二日しか経ってないというのに、今の状況にすっかり順応してしまっている自分に気づかず、そして、凛音とかわした約束の真意に気づけないまま、俺はその夜、床に着いたのだった。
シーナが目覚めた後、俺が事情を説明すると、彼女は恥ずかしそうに俯いた。
まあ、悪いのは確実に俺なわけでして……何か申し訳ない気持ちになった。
シーナは軽く喉を鳴らして、顔をキリッとさせた。……君がドジっ娘なのはもう分かっているから……いろいろ手遅れなんだけどなあ……。
「どうやら申し訳ないことをしてしまったようですね……では、また今度案内させてもらいます」
「いやいや、そんなことしなくてもいいよ。別に一人や二人くらい増えた所で凛音は嫌な思いしないさ」
約束してしまったことだし、俺は凛手との約束にシーナも連れていくことにした。
まあ、あいつはかわいい娘好きだし、嫌な顔はしないだろう。
シーナは少し渋りはしたが、俺が念を押すと承諾してくれた。
「そういえば、凛音さんという人に、私の説明はどういう風になさるのですか?」
「ん? ……あー、それもそうだな……」
そうだった。凛音にシーナのことは言えないんだったな。全く考えていなかった。
しかし、どうしたものか……親族が全くいない以上従妹(いとこ)とかは無理だし、突然妹ができたと言っても納得はしてくれないだろう。
そうなってくると……どうするか……。
「あ、でも無難に友達とかでいいんじゃないか?」
「それもそうですね」
なんとなく案を言ってみたが、意外とすんなり通った。話し合う必要があったのだろうか……。
シーナは「また後で細かいことを決めましょう」と言って、この話に区切りをつけた。ってか細かいことと書決めんのかよ。こりゃ、今日も勉強時間は無しだな。
「あと日向さん。もう一つだけ懸念があるんですけど……」
「ああ、何だ?」
「バアルが言っていた、最後の言葉です」
きっと、また俺がおかしくなるんじゃないかと不安なのだろう。その声は少しだけ警戒のニュアンスが含まれていた。
でもいろいろあって、何とか気持ちの軌道修正はできたので大丈夫だ。
ともかく、バアルの最後の言葉か。確か……。
「『ボクの方から、キミたちを招待しよう』だったっけか」
「はい、そうです」
つまり近くて明日……何か仕掛けてくるかもしれないということだろう。
冷静に考えて、今のところあいつに勝てる可能性は全く無い。
いつ襲ってくるかは分からないが、もし襲って来た時に近くに守るべき人たちがいるかもしれないのだ。
大切な人が目の前で傷つくのだけは……嫌だな。
「じゃあ明日は周りにも気をつけて行動しよう」
「はい。あ、ではそろそろ夕食にしましょう。何か作りますね」
「あ、悪いな……俺も手伝うよ」
まだ出会って二日しか経ってないというのに、今の状況にすっかり順応してしまっている自分に気づかず、そして、凛音とかわした約束の真意に気づけないまま、俺はその夜、床に着いたのだった。
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