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第三章
お、鬼が…
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周りを少し見回してみると、すぐに待っているはずの少女――凛音の姿は見つかった。
駅のシンボル的存在で、待ち合わせ場所に人気なスポットである金色の時計台。その下に凛音はいた。
俺は少し駆け足で彼女に近づく。
「おーい、凛音」
凛音も俺に気が付くと、笑顔になってこちらを向いた。
「あ、日向」
「すまん、ちょっと遅れたか?」
時刻は待ち合わせじかんである十時を少し回っていた。少々ゆっくり奇すぎてしまったようだ。
しかし、凛音はけろっとしていて、俺に微笑みかけてくれた。
「大丈夫だよ、ちょっとくらい。別にそんな気にすることじゃないし」
「すまんな、本当にすまん……でも、すごいな……」
「え? 何が?」
無意識に俺からこぼれた言葉を凛音が拾った。
言うのは少し恥ずかしかったが……勇気を出して言ってみた。
「その、綺麗、だな……見違えたよ……」
凛音と出かけるのは本当に何年かぶりだったから、久しぶりに凛音のちゃんとした服を見たのだが……すごく大人っぽくなっていた。
その凛々しい顔は薄く化粧がされていて、いつもより大人っぽくなっていた。肩耳に小さなピアスなんかもはめて、花柄の白いレースの服を着ていて、ハイウエストと言うのだろうか? その濃いめのデニムに薄ピンク色のパンプスを履いていた。かかとにはかわいらしい花の飾りも付いていて、手には小さな若草色のバッグを持っていた。改めて成長したのだなあと思う。正直、見とれてしまった。
俺の言葉を受けて、凛音は顔を真っ赤にした。
「そ、そそそそそんな、綺麗とか言われても全然うれしく……いや、やっぱりうれしい、かな……」
恥ずかしそうにはにかんだ笑顔に、不覚にもときめいてしまった。
何だ今日の凛音は……優しいというか、しおらしいというか……。
だいだい日向、お前、妹にときめくとか……いやまあ、妹では無いんだけど……しっかりしろ!
自分にそう喝を入れて煩悩を振り払った。
「そろそろ行こうよ、日向。あ、何をするかは私が決めてきたから――」
「日向さーん! どこですかー?」
凛音が何かを言おうとしたところで、シーナの俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
しまった……シーナのことを置いてきちまったな……悪いことをした。
そう思って、俺も自分の居場所を声で伝える。
「おーい! ここだ、ここ!」
シーナは俺の声を聞いて、こちらまで走ってきた。
今日は日曜日で、結構人が多いからいつの間にかはぐれてしまったのだろう。次から気をつけなければな。
シーナは俺の前まで来ると、少し頬を膨らませた。
「もう、日向さん。置いて行くなんてひどいです!」
「ごめんごめん……次からは気をつけるから。あ、そうだ凛音――ぅ……」
シーナのことを説明しようとして振り向くと……そこには鬼がいた。
凛音は、笑っていた。しかし、先ほどのかわいらしい笑顔ではなく……怒りに満ちた笑顔だ。
このときの凛音は、はっきり言ってやばい。
もしかしたら、シーナのことがお気に召さなかったのだろうが……まだ話しても無いのに。
俺は目の前にそびえる鬼に説得を試みた。
「え、えーと……この娘は俺の友達で、姫川椎名って言うんだ」
姫川椎名と言うのは、昨日俺たちが考えたシーナの偽名である。
シーナも鬼人の迫力に押されているのか、おどおどとした声で言う。
「姫川椎名です……よろしくお願いします。……あの、何か怒らせてしまうようなことをしてしまったでしょうか?」
「ううん、君には……椎名ちゃんには何の罪もないから、大丈夫だ――よっ!」
「うごばっ!」
凛音は片手で俺の頭をしっかりとホールドしてきた。と言うかだんだん力が入ってきて……痛い痛い痛い! メリメリって鳴ってるってbああああああ!
駅のシンボル的存在で、待ち合わせ場所に人気なスポットである金色の時計台。その下に凛音はいた。
俺は少し駆け足で彼女に近づく。
「おーい、凛音」
凛音も俺に気が付くと、笑顔になってこちらを向いた。
「あ、日向」
「すまん、ちょっと遅れたか?」
時刻は待ち合わせじかんである十時を少し回っていた。少々ゆっくり奇すぎてしまったようだ。
しかし、凛音はけろっとしていて、俺に微笑みかけてくれた。
「大丈夫だよ、ちょっとくらい。別にそんな気にすることじゃないし」
「すまんな、本当にすまん……でも、すごいな……」
「え? 何が?」
無意識に俺からこぼれた言葉を凛音が拾った。
言うのは少し恥ずかしかったが……勇気を出して言ってみた。
「その、綺麗、だな……見違えたよ……」
凛音と出かけるのは本当に何年かぶりだったから、久しぶりに凛音のちゃんとした服を見たのだが……すごく大人っぽくなっていた。
その凛々しい顔は薄く化粧がされていて、いつもより大人っぽくなっていた。肩耳に小さなピアスなんかもはめて、花柄の白いレースの服を着ていて、ハイウエストと言うのだろうか? その濃いめのデニムに薄ピンク色のパンプスを履いていた。かかとにはかわいらしい花の飾りも付いていて、手には小さな若草色のバッグを持っていた。改めて成長したのだなあと思う。正直、見とれてしまった。
俺の言葉を受けて、凛音は顔を真っ赤にした。
「そ、そそそそそんな、綺麗とか言われても全然うれしく……いや、やっぱりうれしい、かな……」
恥ずかしそうにはにかんだ笑顔に、不覚にもときめいてしまった。
何だ今日の凛音は……優しいというか、しおらしいというか……。
だいだい日向、お前、妹にときめくとか……いやまあ、妹では無いんだけど……しっかりしろ!
自分にそう喝を入れて煩悩を振り払った。
「そろそろ行こうよ、日向。あ、何をするかは私が決めてきたから――」
「日向さーん! どこですかー?」
凛音が何かを言おうとしたところで、シーナの俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
しまった……シーナのことを置いてきちまったな……悪いことをした。
そう思って、俺も自分の居場所を声で伝える。
「おーい! ここだ、ここ!」
シーナは俺の声を聞いて、こちらまで走ってきた。
今日は日曜日で、結構人が多いからいつの間にかはぐれてしまったのだろう。次から気をつけなければな。
シーナは俺の前まで来ると、少し頬を膨らませた。
「もう、日向さん。置いて行くなんてひどいです!」
「ごめんごめん……次からは気をつけるから。あ、そうだ凛音――ぅ……」
シーナのことを説明しようとして振り向くと……そこには鬼がいた。
凛音は、笑っていた。しかし、先ほどのかわいらしい笑顔ではなく……怒りに満ちた笑顔だ。
このときの凛音は、はっきり言ってやばい。
もしかしたら、シーナのことがお気に召さなかったのだろうが……まだ話しても無いのに。
俺は目の前にそびえる鬼に説得を試みた。
「え、えーと……この娘は俺の友達で、姫川椎名って言うんだ」
姫川椎名と言うのは、昨日俺たちが考えたシーナの偽名である。
シーナも鬼人の迫力に押されているのか、おどおどとした声で言う。
「姫川椎名です……よろしくお願いします。……あの、何か怒らせてしまうようなことをしてしまったでしょうか?」
「ううん、君には……椎名ちゃんには何の罪もないから、大丈夫だ――よっ!」
「うごばっ!」
凛音は片手で俺の頭をしっかりとホールドしてきた。と言うかだんだん力が入ってきて……痛い痛い痛い! メリメリって鳴ってるってbああああああ!
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