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第三章
凛音のターン
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「じゃあ、次は私の番!」
場所は少し移り、別のUFOキャッチャーの前……綺麗に輝く宝石の指輪がたくさん並んだ台に来ていた。
恐らくは安物だろうが、どれもこれも見た感じはしっかりしていて、見ていて飽きない。
凛音は鞄の中から財布を取り出し、なぜかそのまま俺に渡してきた。
「日向が取ってくれない?」
「え? 俺が取るのか? ……別にいいけど、プレイしてこそのUFOキャッチャーじゃないか」
「別にいいでしょ、日向に取って減るもんじゃないし……だいたい、これくらいで私の意図に気づいてくれたっていいのに……」
後半の方にぶつぶつ何かを言っていたが、よく聞こえなかったのでスルーした。
「じゃあとりあえず……どれが欲しいんだ?」
「えーっと……あれ、ルビーのやつ」
凛音が指差したのは、小ぶりのルビーの模造品がついた、シンプルな指輪だった。
そういえば昔から凛音は赤色の物が好きだったな、となつかしく思いながら俺は』凛音の財布から小銭を抜き取った。
この台のお金は一回、二百円と少々値が張っていた。凛音のためにもなるべく早く取ってやりたい。
そう思いつつ、お金を台へと入れた。
操作方法はさっきの台と全く同じようだった。
まずは①ボタン。きれいなところで止まってくれた。
次に②ボタン、成功。我ながら素晴らしいテクニックである。
ゆっくり下ろされたアームはしっかりと指輪を掴み、持ち上げた……が、
「あっ!」
途中でアームがゆるみ、指輪はあえなく落ちてしまった。
……マズイな。
少しだけ俺に焦りが募る。それを感じ取ったのか、凛音が俺の顔を心配そうに覗き込んできた。
「日向、大丈夫?」
「大丈夫だ、問題ない。が、ちょっと嫌なことが起きて……」
「嫌なこと?」
凛音が不思議そうに首を傾げた。
そんな様子の凛音に俺ははっきりと言った。
「ああ、この台のアーム……力が、弱い」
UFOキャッチャーあるある、アームが弱い。多くの若者たちが何度このトラップに苦しめられたか分からない。
技術は完璧のはずなのに、アームが弱いせいで何度もする羽目になってしまう。本当に嫌な存在だ。
その言葉を聞いた凛音は少し残念そうに俯いた。
「そっか……じゃあ、諦めて別のに――」
「その必要はない」
諦めかけていた凛音に、俺は自らの意思を伝える。
「こんなところで負けていられない……俺は、最後まで戦う! そう決めたんだ……」
「日向……」
ガラス越しに凛音の馬鹿を見るような目が見えた。気にしないよ、うん。
俺は凛音のお金だということも忘れ、UFOキャッチャーに張り付いた。そして……。
場所は少し移り、別のUFOキャッチャーの前……綺麗に輝く宝石の指輪がたくさん並んだ台に来ていた。
恐らくは安物だろうが、どれもこれも見た感じはしっかりしていて、見ていて飽きない。
凛音は鞄の中から財布を取り出し、なぜかそのまま俺に渡してきた。
「日向が取ってくれない?」
「え? 俺が取るのか? ……別にいいけど、プレイしてこそのUFOキャッチャーじゃないか」
「別にいいでしょ、日向に取って減るもんじゃないし……だいたい、これくらいで私の意図に気づいてくれたっていいのに……」
後半の方にぶつぶつ何かを言っていたが、よく聞こえなかったのでスルーした。
「じゃあとりあえず……どれが欲しいんだ?」
「えーっと……あれ、ルビーのやつ」
凛音が指差したのは、小ぶりのルビーの模造品がついた、シンプルな指輪だった。
そういえば昔から凛音は赤色の物が好きだったな、となつかしく思いながら俺は』凛音の財布から小銭を抜き取った。
この台のお金は一回、二百円と少々値が張っていた。凛音のためにもなるべく早く取ってやりたい。
そう思いつつ、お金を台へと入れた。
操作方法はさっきの台と全く同じようだった。
まずは①ボタン。きれいなところで止まってくれた。
次に②ボタン、成功。我ながら素晴らしいテクニックである。
ゆっくり下ろされたアームはしっかりと指輪を掴み、持ち上げた……が、
「あっ!」
途中でアームがゆるみ、指輪はあえなく落ちてしまった。
……マズイな。
少しだけ俺に焦りが募る。それを感じ取ったのか、凛音が俺の顔を心配そうに覗き込んできた。
「日向、大丈夫?」
「大丈夫だ、問題ない。が、ちょっと嫌なことが起きて……」
「嫌なこと?」
凛音が不思議そうに首を傾げた。
そんな様子の凛音に俺ははっきりと言った。
「ああ、この台のアーム……力が、弱い」
UFOキャッチャーあるある、アームが弱い。多くの若者たちが何度このトラップに苦しめられたか分からない。
技術は完璧のはずなのに、アームが弱いせいで何度もする羽目になってしまう。本当に嫌な存在だ。
その言葉を聞いた凛音は少し残念そうに俯いた。
「そっか……じゃあ、諦めて別のに――」
「その必要はない」
諦めかけていた凛音に、俺は自らの意思を伝える。
「こんなところで負けていられない……俺は、最後まで戦う! そう決めたんだ……」
「日向……」
ガラス越しに凛音の馬鹿を見るような目が見えた。気にしないよ、うん。
俺は凛音のお金だということも忘れ、UFOキャッチャーに張り付いた。そして……。
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