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箱にしまって、開けないで
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キシリアの言葉の後で沈黙が続く。
家庭内の話でさらも踏み込めずに黙ってお茶を飲んだ。
どれほどかの後で、キシリアが話し出した。
「城では誰もが知る事実よ。間違ってあなたのお耳に入るのも困るからお話ししておくわね。ダリアは五歳の時にガラハッド家に養子に来たの。あの子のお祖母様が先先代の陛下とごきょうだいになるから、血筋は我が家よりずっと上ね」
幼くして城にやって来た彼とキシリアは出会い、木登りをするほどきょうだいらしくなっていく。事実が彼女の先の話に繋がった。
そこで『セレヴィア点』で耳にした噂を思い出す。リリ、ココ、スー辺りからのもので、ダリアを「悪く言う人もいる」とのことだった。あれは、実子でない彼が公爵家を継いだことに反感を持つ人のことを指すのかもしれない。
それ以外の可能性など考えらないほど、サラにはダリアは絶対的なセレヴィアの当主として映る。
「ダリアの出自からクリーヴァー王子とのご縁ができたのよ。お母様がその縁を大層誇りに思っているわ。ああ見えて王都への劣等感があるのね。ここセレヴィアは辺境の要として重要な地ではあるけれど、僻地には違いないもの」
「初めて見た時は城の大きさに驚きました」
「「城」とは名ばかりで、優雅さとはかけ離れた厳しい要塞が本当のところね。当主はその指揮官でもあるからダリアも普通の青年貴族のようにはいかないわ。戦時はもちろん、平時だって兵備の充実に悩まされる。お父様もそれで苦労なさったとお母様にうかがったわ」
「ダリア様はご立派に努められているのでは?」
「ええ。でも頑なに思い込んでしまわないかが心配。片手間に負える責任ではないのはわかるけれど、もう少し力を抜いてほしいとも思うの。戦時の今は確かに無理でしょうけれど。……帰ってきて、久しぶりに顔を見て、疲れているように見えたわ」
さすがに姉で、弟の変化に気づき心配し気遣っている。さらは『セレヴィア点』の彼を知るが、あまり変化も感じなかったのに。
「これもお話ししてしまうわ。尾鰭がついた噂を知られるのは嫌だから」
そう前置きしてキシリアは話し出した。内容を少し聞いたところでさらは驚きに瞬きも忘れた。
(ダリア様が婚約!?)
「お話も進み、相手の令嬢はこちらの風土に慣れる為にと、婚儀の前から城に住まわれてもいたのよ。ここは普通の貴族の邸とは違うことも多いから。そこまでして下さったのに、お母様の手紙によれば、一方的にダリアが婚約を白紙に戻してしまったというの」
「それはどういう……?」
「ガラハッドは武張った家で華やかな催しも少ないの。若い令嬢には物足りないわね。何度か園遊会や夜会を開いたらしいの。それがダリアには気に入らなかったというのよ。「家風に合わない」と破談にしてしまったわ。会はどれも大掛かりなものだったそうだけれど、婚約のお披露目もあるから、そこまで目くじらを立てるのは相手の方に可哀そうだったわ。あれから四年経つけど、彼女がどなたかとご結婚したとは聞かないの」
キシリアはそう言い目を伏せた。
相槌に困り、さらは同じく目を伏せて間をもたせた。『セレヴィア点』ではダリアのこの話を聞かなかったのは、四年の過去にプラス三年して、七年も前にことだからだろう。
こんな経緯があるからこそ、キシリアがダリアの頑なさをより感じてしまうのは頷けた。
婚約が整い、いわゆる花嫁修行に来た相手に婚約の破棄を突きつける。当世の結婚は家同士の結びつきの感が強い中、敢えてそれを辞さなかったダリアは相当な拒否感を持ったに違いない。
さらの知る彼とは違った側面を見た思いだ。
彼の婚約破談の過去は衝撃だったが、婚約者の令嬢にちょっと同情心も起こる。
城での優雅な結婚を夢見てやって来た。相手はとびきり素敵な紳士だ。頭にお花畑が広がり、現実の城の雰囲気も空気も読めなくなってしまうことだってありそうだ。
大きく膨らんだ夢の風船を当のダリア本人から割られてしまった痛みはいかばかりだろう。キシリアは「四年経つ」と言うが、まだ四年前とも言える。
このキシリアの話から数日して、乳母とイアと三人の時だ。
幼児を挟んで二人のことが多く、更にさらは客分であっても主人一家ではない。乳母にとっては気安い相手のようだ。領主一家の前では出ない話が飛び出ることもあった。
「ご実家に出戻られてもイア様がいらっしゃれば、キシリア様はご再婚もままならないでしょう。ご姉弟が揃ってご結婚に失敗だなんて、外聞も悪いことですよ。ダリア様は「味見公爵」だなんて下卑た噂が立ってしまって……」
「え、「味見」?」
「噂ですよ。噂ですけど、城に入られてご一緒に住まわれたのですから、ご寝室も一緒だったのではないかと……、ねえ。そちらの具合がよろしくなかったので、お気に召さずに破談になったのだと」
「味見」の意味がわかり、さらは思わず首を振った。そんな無礼な噂が立てば、ダリアももちろんこと婚約者令嬢には特に気の毒で不憫ですらある。
「ご令嬢のお家が怒って、ガラハッド家に不利な噂を流しているという話もありますわ」
「そんなことをしたら、令嬢にだって傷がつくのに」
「そこに頭が回らないのは、怒りで前が見えなくなっているからでしょうかね。カッとなったら手が出る酔っぱらいの喧嘩と同じ道理じゃないでしょうかね。そうそう、村で今……」
乳母は雑談程度のつもりらしく、けろりと話題を変えた。
キシリアに話を聞いた後だけに、乳母の噂話がもやもやと尾を引いた。
イアが祖母のバラの部屋に招かれて行き、さらは手が空いた。乳母もいそいそと休憩に入ったし、彼女も子供部屋を出た。
イアにお絵描きをさせていて、その為に腕にべっとりと墨がついている。洗いたくて浴室に向かった。まだ日が早く、婦人用のその一つは掃除の途中だった。中にはリリ、ココ、スーがいた。
会うたびに手を振ったり笑いかけたりして、彼女達とは身分差がありながらも距離が縮まっている。
「お邪魔じゃない? 手を洗いたいのだけれど」
「どうぞ。もう窓だけですから」
とココ。
さらが袖をまくるとリリが水差しの水をかけてくれた。
「ありがとう。イア様にべっとりつけられちゃったの」
「これは石鹸で擦った方がよいみたいですよ」
とスーだ。
ふと思いつく。さらにはダリアが命じた監視が付くが、婦人用浴室までは兵士は入れない。
腕を洗いながら、切り出した。
「ねえ、皆んなは四年前にはお城にお勤めに上がっていたの?」
「そりゃ、とっくにですよ」
「ね」
「そう」
と三人は頷く。領内では十五歳で奉公に上がる娘が多いらしい。
なら、ダリアの破談騒動も彼女達は見聞きしているはずだ。渡してもらった布で手を拭き何気ない風で切り出す。「噂を聞いたの」と前置きをした。
「……ダリア様が、その頃ご婚約を破談になさったって。あなたたち知っている?」
「ああ! ありましたね。そんなこと」
リリが小刻みに頷きながら答えた。ココ、スーも同調する。
「嫌な噂だったから、気になってしまって。キシリア様は今もお気にかけていらっしゃるみたいでね」
「ひどい噂ですよね。「一口公爵」だなんて。無理を言って押しかけてきたのは元婚約者様の方だって言いますよ」
「そう。ダリア様について回っているところを何度も見ました。表区まで奥方様然とお出ましだったそうで、兵士たちも驚いたって聞きましたよ。あんな元婚約者様なら一時「吐き出し公爵」と陰で笑われようが、ご破談になさってよろしかったと皆が言います」
「「吐き出し」……そんなのもあるのね」
「味見」「一口」「吐き出し」。いずれも一度は口に入れたことを意味する。花嫁修行であれ結婚前から同居していたのなら、既成事実を匂わせる噂が流れてもおかしくはない。
「村に行った人がお城に持ち帰って広まった話だけど、長引かずに消えちゃいましたよ」
「ダリア様はもうご立派に当主を努められていますもの。皆あんまり真剣に取り合わなかった記憶がありますよ。いまだに口にする人もたまにいますけどね」
「サラ様にこの噂話をしたの、もしかして乳母さんじゃありませんか? あの人あちこちで噂話を仕入れて楽しんでるんですよ」
ココに情報源を言い当てられた。しかし、客分のさらに噂話を持ちかけるのは乳母ぐらいしかいないのは、ちょっと考えれば見当がつく。
家庭内の話でさらも踏み込めずに黙ってお茶を飲んだ。
どれほどかの後で、キシリアが話し出した。
「城では誰もが知る事実よ。間違ってあなたのお耳に入るのも困るからお話ししておくわね。ダリアは五歳の時にガラハッド家に養子に来たの。あの子のお祖母様が先先代の陛下とごきょうだいになるから、血筋は我が家よりずっと上ね」
幼くして城にやって来た彼とキシリアは出会い、木登りをするほどきょうだいらしくなっていく。事実が彼女の先の話に繋がった。
そこで『セレヴィア点』で耳にした噂を思い出す。リリ、ココ、スー辺りからのもので、ダリアを「悪く言う人もいる」とのことだった。あれは、実子でない彼が公爵家を継いだことに反感を持つ人のことを指すのかもしれない。
それ以外の可能性など考えらないほど、サラにはダリアは絶対的なセレヴィアの当主として映る。
「ダリアの出自からクリーヴァー王子とのご縁ができたのよ。お母様がその縁を大層誇りに思っているわ。ああ見えて王都への劣等感があるのね。ここセレヴィアは辺境の要として重要な地ではあるけれど、僻地には違いないもの」
「初めて見た時は城の大きさに驚きました」
「「城」とは名ばかりで、優雅さとはかけ離れた厳しい要塞が本当のところね。当主はその指揮官でもあるからダリアも普通の青年貴族のようにはいかないわ。戦時はもちろん、平時だって兵備の充実に悩まされる。お父様もそれで苦労なさったとお母様にうかがったわ」
「ダリア様はご立派に努められているのでは?」
「ええ。でも頑なに思い込んでしまわないかが心配。片手間に負える責任ではないのはわかるけれど、もう少し力を抜いてほしいとも思うの。戦時の今は確かに無理でしょうけれど。……帰ってきて、久しぶりに顔を見て、疲れているように見えたわ」
さすがに姉で、弟の変化に気づき心配し気遣っている。さらは『セレヴィア点』の彼を知るが、あまり変化も感じなかったのに。
「これもお話ししてしまうわ。尾鰭がついた噂を知られるのは嫌だから」
そう前置きしてキシリアは話し出した。内容を少し聞いたところでさらは驚きに瞬きも忘れた。
(ダリア様が婚約!?)
「お話も進み、相手の令嬢はこちらの風土に慣れる為にと、婚儀の前から城に住まわれてもいたのよ。ここは普通の貴族の邸とは違うことも多いから。そこまでして下さったのに、お母様の手紙によれば、一方的にダリアが婚約を白紙に戻してしまったというの」
「それはどういう……?」
「ガラハッドは武張った家で華やかな催しも少ないの。若い令嬢には物足りないわね。何度か園遊会や夜会を開いたらしいの。それがダリアには気に入らなかったというのよ。「家風に合わない」と破談にしてしまったわ。会はどれも大掛かりなものだったそうだけれど、婚約のお披露目もあるから、そこまで目くじらを立てるのは相手の方に可哀そうだったわ。あれから四年経つけど、彼女がどなたかとご結婚したとは聞かないの」
キシリアはそう言い目を伏せた。
相槌に困り、さらは同じく目を伏せて間をもたせた。『セレヴィア点』ではダリアのこの話を聞かなかったのは、四年の過去にプラス三年して、七年も前にことだからだろう。
こんな経緯があるからこそ、キシリアがダリアの頑なさをより感じてしまうのは頷けた。
婚約が整い、いわゆる花嫁修行に来た相手に婚約の破棄を突きつける。当世の結婚は家同士の結びつきの感が強い中、敢えてそれを辞さなかったダリアは相当な拒否感を持ったに違いない。
さらの知る彼とは違った側面を見た思いだ。
彼の婚約破談の過去は衝撃だったが、婚約者の令嬢にちょっと同情心も起こる。
城での優雅な結婚を夢見てやって来た。相手はとびきり素敵な紳士だ。頭にお花畑が広がり、現実の城の雰囲気も空気も読めなくなってしまうことだってありそうだ。
大きく膨らんだ夢の風船を当のダリア本人から割られてしまった痛みはいかばかりだろう。キシリアは「四年経つ」と言うが、まだ四年前とも言える。
このキシリアの話から数日して、乳母とイアと三人の時だ。
幼児を挟んで二人のことが多く、更にさらは客分であっても主人一家ではない。乳母にとっては気安い相手のようだ。領主一家の前では出ない話が飛び出ることもあった。
「ご実家に出戻られてもイア様がいらっしゃれば、キシリア様はご再婚もままならないでしょう。ご姉弟が揃ってご結婚に失敗だなんて、外聞も悪いことですよ。ダリア様は「味見公爵」だなんて下卑た噂が立ってしまって……」
「え、「味見」?」
「噂ですよ。噂ですけど、城に入られてご一緒に住まわれたのですから、ご寝室も一緒だったのではないかと……、ねえ。そちらの具合がよろしくなかったので、お気に召さずに破談になったのだと」
「味見」の意味がわかり、さらは思わず首を振った。そんな無礼な噂が立てば、ダリアももちろんこと婚約者令嬢には特に気の毒で不憫ですらある。
「ご令嬢のお家が怒って、ガラハッド家に不利な噂を流しているという話もありますわ」
「そんなことをしたら、令嬢にだって傷がつくのに」
「そこに頭が回らないのは、怒りで前が見えなくなっているからでしょうかね。カッとなったら手が出る酔っぱらいの喧嘩と同じ道理じゃないでしょうかね。そうそう、村で今……」
乳母は雑談程度のつもりらしく、けろりと話題を変えた。
キシリアに話を聞いた後だけに、乳母の噂話がもやもやと尾を引いた。
イアが祖母のバラの部屋に招かれて行き、さらは手が空いた。乳母もいそいそと休憩に入ったし、彼女も子供部屋を出た。
イアにお絵描きをさせていて、その為に腕にべっとりと墨がついている。洗いたくて浴室に向かった。まだ日が早く、婦人用のその一つは掃除の途中だった。中にはリリ、ココ、スーがいた。
会うたびに手を振ったり笑いかけたりして、彼女達とは身分差がありながらも距離が縮まっている。
「お邪魔じゃない? 手を洗いたいのだけれど」
「どうぞ。もう窓だけですから」
とココ。
さらが袖をまくるとリリが水差しの水をかけてくれた。
「ありがとう。イア様にべっとりつけられちゃったの」
「これは石鹸で擦った方がよいみたいですよ」
とスーだ。
ふと思いつく。さらにはダリアが命じた監視が付くが、婦人用浴室までは兵士は入れない。
腕を洗いながら、切り出した。
「ねえ、皆んなは四年前にはお城にお勤めに上がっていたの?」
「そりゃ、とっくにですよ」
「ね」
「そう」
と三人は頷く。領内では十五歳で奉公に上がる娘が多いらしい。
なら、ダリアの破談騒動も彼女達は見聞きしているはずだ。渡してもらった布で手を拭き何気ない風で切り出す。「噂を聞いたの」と前置きをした。
「……ダリア様が、その頃ご婚約を破談になさったって。あなたたち知っている?」
「ああ! ありましたね。そんなこと」
リリが小刻みに頷きながら答えた。ココ、スーも同調する。
「嫌な噂だったから、気になってしまって。キシリア様は今もお気にかけていらっしゃるみたいでね」
「ひどい噂ですよね。「一口公爵」だなんて。無理を言って押しかけてきたのは元婚約者様の方だって言いますよ」
「そう。ダリア様について回っているところを何度も見ました。表区まで奥方様然とお出ましだったそうで、兵士たちも驚いたって聞きましたよ。あんな元婚約者様なら一時「吐き出し公爵」と陰で笑われようが、ご破談になさってよろしかったと皆が言います」
「「吐き出し」……そんなのもあるのね」
「味見」「一口」「吐き出し」。いずれも一度は口に入れたことを意味する。花嫁修行であれ結婚前から同居していたのなら、既成事実を匂わせる噂が流れてもおかしくはない。
「村に行った人がお城に持ち帰って広まった話だけど、長引かずに消えちゃいましたよ」
「ダリア様はもうご立派に当主を努められていますもの。皆あんまり真剣に取り合わなかった記憶がありますよ。いまだに口にする人もたまにいますけどね」
「サラ様にこの噂話をしたの、もしかして乳母さんじゃありませんか? あの人あちこちで噂話を仕入れて楽しんでるんですよ」
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