フェイサーガ

むねじゅ

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第01話 その村

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 遥か昔、まだ機械や電気が無く自給自足で暮らしている時代の話である。
 木が生茂った森の奥にその村があった。
 村の人数は約100人程度である。
その村は他の村とは一切関わりが無かった。
いや、関わりを絶っているのではなく、誰もその村には近づかないのである。
  なぜ、近づく者がいないのか。
それは、この村で1年に一度行われる、ある行事が関係している。

  その村ではある事が起こると、家族の代表がクジを引き、村の代表を決める。
クジで当たった家族はその家から女を一人巫女として村の代表にする。
 女が居ない家族は、初めからクジはしない。
 女と言ったが誰でも良い訳ではない。
 子供や年寄りでは駄目、生理がある女ではないといけないのである。
ようは妊娠できる女であればよいのだ。

  なぜこの様な事を行うのか。それは、奴らが来るからである。
 奴らとは、村から離れた洞窟に住んでいる。
 数はおよそ数十匹、容姿は醜く、2足で歩く。
 耳が大きく、肌は緑色で、背は人より少し大きいぐらい。
お互いに会話もしてコミュニケーションも取る。
とても人間には見えないが、容姿を区別しなければ知能が低い人間というべきか。

  性別は全てオスである。
なぜメスがいないのか、それはクジで決める巫女が関係している。
 奴らにはメスがいない。
ゆえに、人間の女に子供を生ませるのである。
 巫女とは、奴らの子供を生ませる器として選ばれた女の事である。

なぜ奴らにはメスがいないのか、それは、
 人間の女が産んだ奴らの子供は全てオスしか生まれないからである。
その事から毎年、村人は奴らに女を捧げているのである。
なぜ毎年捧げるのか、それは、巫女がすぐ死ぬからである。
 人間の子供を生むのと違い、
 奴らの精子を取り込んだ女はすぐに受精し、
 残酷にも女のおなかを破り奴らの子供が何匹か出てくる。
 巫女に選ばれる=死なのである。

ここで、一つの疑問が出る。
 村人が奴らを討伐すれば良いではないか。と言う考え。
 銃や戦車が無い時代にその考えは無意味である。
 奴らは熊を一撃で殺してしまうほどの力、矢などは弾いてしまう強靭な肉体を持つ。
 下手に手を出し、奴らを怒らせたら村など一瞬で廃墟になってしまうからだ。

なぜか、年に一度女を捧げれば村には何もしてこない。
ゆえ、村人は昔からこの行事を行っていた。
また、何故、この村が他の人間と関わらないのか、
それはとても簡単な事で、この村の森に奴らが居るからである。
他に村があるなんて知られる訳にいかない。
そんな怪物が関係してる村と関わりたくないからである。

 森から聞こえる奴らの叫び声により、年に一度の巫女を決める行事が始まる。。。
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