転生したら芋でした。

むねじゅ

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第03話 芋よ永遠に

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どうやら俺を拾った少女が家に帰宅したようだ。
「おねーちゃん!おねーちゃん!」
女性の声が聞こえる。
「どうしたのマリー。」
この子はマリーって言うのか。

俺をポケットから取り出す。
やっと見えるようになったな。
おや!ここは、この子の家の中か、
目の前に俺のタイプに度ストライクの美人さんがいるではないか。
ほう…この子のお姉さんか!年齢は俺と同じそうだが…
挨拶しないとな!
「お姉さん!はっ初めまして!芋田芋太いもだいもたです!」
「いもいもと呼んでください!」
って…そうだ…話しかけても聞こえないんだった。…しょんぼり…

俺の言葉に重ねるように少女が話す。
「みて!みて!これ森で拾ったの!とっても美味しそうでしょ!」

お姉さんが俺を手にとりマジマジと見る。
…照れるなぁ、こんな美人に見つめられるなんて初めてっす。
俺はとっても美味しそうだそうだからどんな反応か楽しみだぜ!
「え…ただの芋だよ?綺麗なお芋さんかな?」
・・・
はい?
ちょっと待てただの芋?ガーン
綺麗なお芋さんで少し救われたが…
・・・
マリーが姉の手から俺をつかんで発言する。
「とっても美味しそうだと思ったのに…」
俺はとっても美味しそうだったのか?ただの芋ではないって事だな!
よし、芋(仮)に格上げとしておこう!
姉が答える。
「とっても?確かにツルツルで綺麗なお芋だけど…ただの洗った芋じゃないかしら?」
少女がほっぺたを膨らませて不機嫌そうな顔になる。
子供って怒った顔も可愛いなぁと思った。
「えーでも…絶対美味しいもん…」
姉が困った顔で発言する。
「ごめん!ごめん!確かにピカピカで美味しそうな芋だねっ、
ちょっと私今、夕食作るので忙しいから夕方までもう少し外で遊んでてね?」

マリーは、また顔をほっぺたを膨らませて、
家の真ん中にあるテーブルに俺を置いて家の外に出ていった。

俺は家の中をグルグルと見た。近代的ではなく、
まさにファンタジー世界の村の家の中みたいだった。
この家に親は居ないのか?姉と二人暮らしなのかな?
家の外はどうなっているんだろ…どんな村なのかも気になる…
しかし、俺はROM専の為、身動きが出来ないので、
自分で確認する事はほぼ不可能である!エッヘン
※ROM専…オンラインゲームなどで発言も動きもしないプレイヤーの事。

テーブルに置いた所から夕食の支度をするお姉さんの後ろ姿が見える。
鼻歌交じりで料理をしている。
お姉さんの名前なんて言うんだろう…まぁいつか分かるか…
美人さんをこうやって眺めているのも悪くないな。
いっそずーとここに居てもいいかなぁ。
お姉さんが俺の方をいきなり振り向いて発言する。
「これも鍋に入れちゃおうかしら?」
「…」
え?俺、食われるのか。
ってかもう、お姉さんに食われるなら本望か?
マリーのお姉さんは、俺を掴むとナイフで俺の皮をむき始めた。

「あのお姉さん!皮むかれるのってなんか恥ずかしいです。」

皮を向き終わると、俺を四つに切る。
俺を掴みそのまま今日の夕食であろう鍋に入れた・・・。

**********************************************************

芋じゃなくてよかったね!

「転生したら石でした!」も見てね!
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