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職質
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「助けてくれませんか?」
彼女は俺の勤務する交番に訪れた。
20代後半くらいのキレイな女性。
以前付き合っていた恋人が執拗に付きまとっていて、最近この近所に引っ越してきたにもかかわらず、既に彼の姿を見たそうだ。
スマホで遠目に撮影した彼の写真を俺に見せ「彼を捕まえてください。お願いします」と、泣きながら俺の手を握ってきた。
彼女の手の温もりに胸が激しくはねた。
俺は冷静に努め、彼女を見つめ「その彼が何か問題を起こしたんですか?」と質問をすると、彼女は黙ったまま首を横に振って、両手で顔を覆った。
「……捕まえることはできません。でも、パトロールを強化するようにします」
彼女は何か言いたそうに俺を見ていたが、深い吐息を漏らしうつむいてしまった。
「彼を見付けたら連絡をください」と言って、彼女は連絡先の書かれている名刺を渡してきた。
俺が名刺を無言で受け取ると彼女は交番を後にした。
もちろん正義感からではあったが、多少の下心も否定できない。
パトロールを開始して数日、彼女に付きまとっている彼を見付けた。
彼女の話を信じていなかったわけではなかったが、本当にこんな近くにいたなんて……
俺は彼女に知らせるため電話をかけた。
電話はすぐにつながった。
居場所を聞いてきたので「交番近くの公園前に」と伝えると、電話は切れた。
「なんだよ」と、悪態が口から洩れる。
既に切れている電話をポケットにしまいながら、俺は彼に近付き話しかけた。
「道に迷いましたか?」
彼は警察官の俺を見て少し驚いていたが、「いえ、ウチここですから」と言って、マンションを指さした。
「最近引っ越されてきたんですか?」
俺の質問に彼は首を傾げ「もう2年はいますよ」と、笑いながら言った。
しばらく形式的な質問をしていたとき、通りに彼女の姿を見付けた。
彼女は俺の勤務する交番に訪れた。
20代後半くらいのキレイな女性。
以前付き合っていた恋人が執拗に付きまとっていて、最近この近所に引っ越してきたにもかかわらず、既に彼の姿を見たそうだ。
スマホで遠目に撮影した彼の写真を俺に見せ「彼を捕まえてください。お願いします」と、泣きながら俺の手を握ってきた。
彼女の手の温もりに胸が激しくはねた。
俺は冷静に努め、彼女を見つめ「その彼が何か問題を起こしたんですか?」と質問をすると、彼女は黙ったまま首を横に振って、両手で顔を覆った。
「……捕まえることはできません。でも、パトロールを強化するようにします」
彼女は何か言いたそうに俺を見ていたが、深い吐息を漏らしうつむいてしまった。
「彼を見付けたら連絡をください」と言って、彼女は連絡先の書かれている名刺を渡してきた。
俺が名刺を無言で受け取ると彼女は交番を後にした。
もちろん正義感からではあったが、多少の下心も否定できない。
パトロールを開始して数日、彼女に付きまとっている彼を見付けた。
彼女の話を信じていなかったわけではなかったが、本当にこんな近くにいたなんて……
俺は彼女に知らせるため電話をかけた。
電話はすぐにつながった。
居場所を聞いてきたので「交番近くの公園前に」と伝えると、電話は切れた。
「なんだよ」と、悪態が口から洩れる。
既に切れている電話をポケットにしまいながら、俺は彼に近付き話しかけた。
「道に迷いましたか?」
彼は警察官の俺を見て少し驚いていたが、「いえ、ウチここですから」と言って、マンションを指さした。
「最近引っ越されてきたんですか?」
俺の質問に彼は首を傾げ「もう2年はいますよ」と、笑いながら言った。
しばらく形式的な質問をしていたとき、通りに彼女の姿を見付けた。
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