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廃墟
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急遽、皆で廃墟に行こうという話になった。
田舎道に一軒だけある大きな一戸建ての家。
一家全員が強盗に殺され、その後放置されているらしい。
夜でなくても人通りはなく、外観からでも気味の悪い雰囲気を感じさせた。
深夜に集合してから、家の中に入っていった。
鍵もかけられておらず、家具はそのまま、電気も水道も通っているようだ。
もちろん、バレることを恐れて電気は点けず懐中電灯で探索することになった。
「皆バラバラに各部屋を捜索してみようぜ」と、連れの一人が突然変なことを言い出した。
本当は怖かったが、そんなこと言い出せずに強がって「OK」と、言ってしまった。
私は一人で居間の捜索に……
20畳ほどの大きな和室。
昔ながらのテーブルの上に数人分の食器が無造作に置かれ、中には黒ずんだ何かが入ったまま。
部屋の角には、開けられたままの仏壇と、その上には遺影が飾ってある。
仏壇の反対側には、電話と当時の新聞が置かれている。
ふいに誰かに見られているような感覚に陥った。
視線を追いかけると、遺影が私をにらんでいるように見えた。
震える手で懐中電灯の光を当てるが、当然ながらその表情は変わることはない。
部屋に誰かいると、変な強迫観念が押し寄せてきた。
息苦しさを覚え、部屋の隅に懐中電灯を向ける。
……誰もいない。
息を殺し、じっと耳を澄ますが何も聞こえない。
廃墟に一人取り残された気分だ。
突然プルルルルと、部屋に設置されている電話が鳴った。
驚きすぎて声も出なかった。
もしかしたら警察? 管理人? 住人? パニック状態の私は、受話器を持ち上げて耳に当てた。
「……もしもし」
「サプラーイズ!!!」
連れの無駄に明るい声が聞こえ、腰から崩れ落ちてしまった。
受話器の向こうからケラケラと笑い声が聞こえる。
その後全員私のいる居間に集合して、家を出ることになった。
帰り道、「幽霊って出ないんだな」とか「ここ、もう何もないな」とか、皆思い思いに話していた。
田舎道に一軒だけある大きな一戸建ての家。
一家全員が強盗に殺され、その後放置されているらしい。
夜でなくても人通りはなく、外観からでも気味の悪い雰囲気を感じさせた。
深夜に集合してから、家の中に入っていった。
鍵もかけられておらず、家具はそのまま、電気も水道も通っているようだ。
もちろん、バレることを恐れて電気は点けず懐中電灯で探索することになった。
「皆バラバラに各部屋を捜索してみようぜ」と、連れの一人が突然変なことを言い出した。
本当は怖かったが、そんなこと言い出せずに強がって「OK」と、言ってしまった。
私は一人で居間の捜索に……
20畳ほどの大きな和室。
昔ながらのテーブルの上に数人分の食器が無造作に置かれ、中には黒ずんだ何かが入ったまま。
部屋の角には、開けられたままの仏壇と、その上には遺影が飾ってある。
仏壇の反対側には、電話と当時の新聞が置かれている。
ふいに誰かに見られているような感覚に陥った。
視線を追いかけると、遺影が私をにらんでいるように見えた。
震える手で懐中電灯の光を当てるが、当然ながらその表情は変わることはない。
部屋に誰かいると、変な強迫観念が押し寄せてきた。
息苦しさを覚え、部屋の隅に懐中電灯を向ける。
……誰もいない。
息を殺し、じっと耳を澄ますが何も聞こえない。
廃墟に一人取り残された気分だ。
突然プルルルルと、部屋に設置されている電話が鳴った。
驚きすぎて声も出なかった。
もしかしたら警察? 管理人? 住人? パニック状態の私は、受話器を持ち上げて耳に当てた。
「……もしもし」
「サプラーイズ!!!」
連れの無駄に明るい声が聞こえ、腰から崩れ落ちてしまった。
受話器の向こうからケラケラと笑い声が聞こえる。
その後全員私のいる居間に集合して、家を出ることになった。
帰り道、「幽霊って出ないんだな」とか「ここ、もう何もないな」とか、皆思い思いに話していた。
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