「労働」のないこの世界

Nozomu Nanami

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100年前は...

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時は2122年。AIは人間の脳の8192倍にまで知能が進化し、全ての仕事はロボットが行うようになった。
サハラ砂漠全体は機械専用区域(労働監督監視区域)として立ち入り禁止となり、その外には人間が住むことのできる居住区画と自然区域が作られた。
海、川の水質は超小型のゼノボットにより完全に管理され、自動的に分裂した後、役目を終えると自滅する。
空はドローンによって常時監視されている。上空100メートルを超えると警報が鳴る仕組みだ。
人々は安全で快適な暮らしを手に入れた。
だがそれは同時に「自由」を失ったという事でもある。
私の名前はノエル・テイラー。この退屈な世界で20年間も過ごしている。
何代も前の先祖から聞かされている、
「働くことは素晴らしい」
と。私はそれがなぜなのかわからない。
ただ私がわかるのは、100年前の方が素晴らしかった、ということである。今の時代を生きる人たちは皆、
「働かなくても生きていけるなら、働きたくない!」
と言っているらしい。そんなことを考える人がいることに驚いたものだ。
私はまだ生きているが、おそらくあと200年もすれば死んでしまうだろう。寿命とはそういうものだ。
私の母はよく言っていた。「寿命は昔より何十年も、下手したら何百年も伸びた。ただ、長くなったからとはいえ、やりたいことをやらずに死を迎えるのは嫌よねぇ」と。
そして、こう続けた。「もし死ぬ前にもう一度だけ過去に戻ることができたら、私は絶対に戻ってやるわ。100年前に...」と。
あの頃、母の言葉の意味はよくわからなかったけど、今になってついに理解した。
私も、あのころに生きていれば...
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