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俺が…キングメーカー(予定)!?
6.ジョン・ネヴィル
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1434年4月29日
リッキーだヨ!!
今日は(というか数日かけて)ビーシャム・アベィ(俺の家)から遠く離れた父上の実家、レビィ城に向かっている。いやー、でも5歳のおチビに旅はキツイよー。ビーシャム・アベィがロンドン近郊、バークシャーにあるのに対し、レビィ城はヨークシャーの北、ダラムに位置する。ほぼスコットランドって感じの場所だ。遠いよー。
でもまぁ、シスさんに会えると思えば!美人は正義!
「何を騒いでいるんだ、リッキー。シスに会えるだとか、美人は正義だとか」
父上に話しかける。あ、俺、口に出してた?
「あー、いやー、あはは…」
適当に誤魔化しておいた。
「ねーねー、とーしゃまー、にーしゃまー、アリーちゅかれた!つまんない!」
アリーが口を尖らせて話しかけてきた。3歳児だから無理もないだろう。
「僕もー」
「ジョニーも!」
俺の両隣に座るトムとジョニーも不満を垂れる。転生した時は小さかった弟妹たちもお喋りができるほどには大きくなっている。ちなみにジョウン姉上とセシリー姉上、母上、そして1432年に生まれた弟のジョージ・ネヴィル、愛称ジョーは別の馬車に乗っている。
「そうかー。じゃあ兄様がお話をしてあげよう。まずは父上の黒歴史、ブルーベルの妖精さんのお話から」
「リッキー」
父上がこちらに圧をかけてくる。すみません、やめます。父上怖ー。
「じゃ、じゃあみんな。やっぱりガウェイン卿のお話にしようか」
三人に語っている間に父上のため息と「やっぱりアリスに似てきたな…」という呟きが聞こえたけど、俺、母上に似てるかな?
◯●◯
てけてけ。てけてけ。
Q.これは何の音でしょーか?
A.(迷子になった)俺の足音
へへへ。トイレの帰り道で迷子になっちゃいました。だって城って広いんだもん(言い訳)。まぁ、その辺に誰かいるだろうしまーいっか。
と思っていると背後に人の気配を感じた。振り返ると、そこには20歳ほどの男がいた。
「ん、お前どこのガキ?」
「ソールズベリー伯が嫡男、リチャード・ネヴィルです」
丁寧に挨拶をすると男はバカにしたふうに笑った。
「ふーん、後妻の家のガキか、俺は男爵サマだよ、未来の伯爵サマ」
後妻、と言うのはおそらく父上の母、俺の祖母のことだ。そしてバカにした風に言ってくるあたり、祖父の先妻の家系のようだ。
先妻の家系、20歳、男、男爵…。
「…ジョン、…ネヴィル…?」
俺の従兄で、そして史実で『ヨークを裏切り、父上とトムを殺した』とも言える男だ。
「正解だよ。分家で年下、目下の分際で俺を呼び捨てにしたこと以外はな。お詫びにお前が跡を継いだら、本来なら俺たちのものなシェリフハットンとミドラムでも返してもらおうか?」
どうやら、俺の一家が後妻の子のくせに伯爵になり、祖父から相続された土地を持っているのが不満のようだ。いや、俺のせいじゃないんだけど。ってかガキに当たるなよ。
マジでこいつ嫌いだわー。敬語使わなくていいよね、もう。
「残念だけど無理」
「あ゛?さっきも言ったけど目上には敬語を使えよ、敬語」
「へー、気に入らないことがあれば幼子に当たり散らすのが本家の習わしなんですね。よーく覚えておきます」
「お前…」
空気が悪くなってきたが、そこに救世主(?)が現れた。
「あら、なんの騒ぎかしら?本家だとか分家だとか聞こえてきたのだけど」
怒りを含んだ笑みを浮かべる女性、母上が現れた。いつもの柔らかな声が少し固くなっている。
「母上…」
おれはほっとして息をつく。
「あら、リッキーとネヴィル男爵じゃない。こんな所でどうしたの?」
「あ、いえ、大丈夫です叔母上…」
ジョン・ネヴィルが『叔母上』と言った所で母上が嫌そうな顔をする。二人は同年代(ジョン・ネヴィルは25歳くらい、母上27歳くらい)なので、叔母よばわりされるのが嫌なのだろう。
「あら、アリスで結構よ。私は『分家』の嫁で貴方の『目下』なのでしょう?『目上』のネヴィル卿にそう呼ばれる筋合いはありませんわ」
因みに、身分制度的には女伯爵である母上の方が上である。それをわかっていて母上は珍しく嫌味を言った。
「そ、それは…」
「先ほどは息子にご高説をどうもありがとうございます。自分がどれだけ偉いか教えてくださったのですよね?私はネヴィル卿をネヴィル男爵だと認識していましたけど、実は我がソールズベリー伯より強大な男爵様のようね。一体どちらの領地を賜ったのかしら…」
「え、えっと…」
「で、お話はもうこれでいいかしら?行きましょう、リッキー」
母上に引きずられるようにして、俺は呆然とするジョン・ネヴィルから離れて行った。ヤツが視界に入らなくなってからしばらくして、母上が話しかけてきた。
「大丈夫だった、リッキー?」
「…母上。俺、あいつ嫌いです」
(史実での)父上とトムの仇だ。好きにはなれない。厳しくも見えるが家族思いな父上と可愛くて素直なトムを、史実の俺から奪って行ったのだから。
「…まぁ、そうよね。私も嫌よ、あの人。当主の弟だからって威張って…。でも偉い人の前だと猫を被っている感じよね…。今までもなんとなく察していたけど、私、あの人は嫌いよ。リチャードはシェリフハットンを彼に渡すことを考えているけど…。あの人にだけは、渡したくないわ。…なんだか悪いことをしそうな人だから」
していましたよ、悪いこと。裏切ってます。前科(?)アリです。
「…さて、嫌な話はこのくらいにして。お義母さま…、ジョウン様とシスがお待ちよ。早く行きましょ」
シスとたくさんお話ししなきゃ、というシスさんを揶揄う気まんまんの母上と共に、俺はレビィ城の廊下を歩いて行った。
──────────────────────────────────────
これで第一章は終了です。次から第二章(ウォリック6歳~8歳)になります。
リッキーだヨ!!
今日は(というか数日かけて)ビーシャム・アベィ(俺の家)から遠く離れた父上の実家、レビィ城に向かっている。いやー、でも5歳のおチビに旅はキツイよー。ビーシャム・アベィがロンドン近郊、バークシャーにあるのに対し、レビィ城はヨークシャーの北、ダラムに位置する。ほぼスコットランドって感じの場所だ。遠いよー。
でもまぁ、シスさんに会えると思えば!美人は正義!
「何を騒いでいるんだ、リッキー。シスに会えるだとか、美人は正義だとか」
父上に話しかける。あ、俺、口に出してた?
「あー、いやー、あはは…」
適当に誤魔化しておいた。
「ねーねー、とーしゃまー、にーしゃまー、アリーちゅかれた!つまんない!」
アリーが口を尖らせて話しかけてきた。3歳児だから無理もないだろう。
「僕もー」
「ジョニーも!」
俺の両隣に座るトムとジョニーも不満を垂れる。転生した時は小さかった弟妹たちもお喋りができるほどには大きくなっている。ちなみにジョウン姉上とセシリー姉上、母上、そして1432年に生まれた弟のジョージ・ネヴィル、愛称ジョーは別の馬車に乗っている。
「そうかー。じゃあ兄様がお話をしてあげよう。まずは父上の黒歴史、ブルーベルの妖精さんのお話から」
「リッキー」
父上がこちらに圧をかけてくる。すみません、やめます。父上怖ー。
「じゃ、じゃあみんな。やっぱりガウェイン卿のお話にしようか」
三人に語っている間に父上のため息と「やっぱりアリスに似てきたな…」という呟きが聞こえたけど、俺、母上に似てるかな?
◯●◯
てけてけ。てけてけ。
Q.これは何の音でしょーか?
A.(迷子になった)俺の足音
へへへ。トイレの帰り道で迷子になっちゃいました。だって城って広いんだもん(言い訳)。まぁ、その辺に誰かいるだろうしまーいっか。
と思っていると背後に人の気配を感じた。振り返ると、そこには20歳ほどの男がいた。
「ん、お前どこのガキ?」
「ソールズベリー伯が嫡男、リチャード・ネヴィルです」
丁寧に挨拶をすると男はバカにしたふうに笑った。
「ふーん、後妻の家のガキか、俺は男爵サマだよ、未来の伯爵サマ」
後妻、と言うのはおそらく父上の母、俺の祖母のことだ。そしてバカにした風に言ってくるあたり、祖父の先妻の家系のようだ。
先妻の家系、20歳、男、男爵…。
「…ジョン、…ネヴィル…?」
俺の従兄で、そして史実で『ヨークを裏切り、父上とトムを殺した』とも言える男だ。
「正解だよ。分家で年下、目下の分際で俺を呼び捨てにしたこと以外はな。お詫びにお前が跡を継いだら、本来なら俺たちのものなシェリフハットンとミドラムでも返してもらおうか?」
どうやら、俺の一家が後妻の子のくせに伯爵になり、祖父から相続された土地を持っているのが不満のようだ。いや、俺のせいじゃないんだけど。ってかガキに当たるなよ。
マジでこいつ嫌いだわー。敬語使わなくていいよね、もう。
「残念だけど無理」
「あ゛?さっきも言ったけど目上には敬語を使えよ、敬語」
「へー、気に入らないことがあれば幼子に当たり散らすのが本家の習わしなんですね。よーく覚えておきます」
「お前…」
空気が悪くなってきたが、そこに救世主(?)が現れた。
「あら、なんの騒ぎかしら?本家だとか分家だとか聞こえてきたのだけど」
怒りを含んだ笑みを浮かべる女性、母上が現れた。いつもの柔らかな声が少し固くなっている。
「母上…」
おれはほっとして息をつく。
「あら、リッキーとネヴィル男爵じゃない。こんな所でどうしたの?」
「あ、いえ、大丈夫です叔母上…」
ジョン・ネヴィルが『叔母上』と言った所で母上が嫌そうな顔をする。二人は同年代(ジョン・ネヴィルは25歳くらい、母上27歳くらい)なので、叔母よばわりされるのが嫌なのだろう。
「あら、アリスで結構よ。私は『分家』の嫁で貴方の『目下』なのでしょう?『目上』のネヴィル卿にそう呼ばれる筋合いはありませんわ」
因みに、身分制度的には女伯爵である母上の方が上である。それをわかっていて母上は珍しく嫌味を言った。
「そ、それは…」
「先ほどは息子にご高説をどうもありがとうございます。自分がどれだけ偉いか教えてくださったのですよね?私はネヴィル卿をネヴィル男爵だと認識していましたけど、実は我がソールズベリー伯より強大な男爵様のようね。一体どちらの領地を賜ったのかしら…」
「え、えっと…」
「で、お話はもうこれでいいかしら?行きましょう、リッキー」
母上に引きずられるようにして、俺は呆然とするジョン・ネヴィルから離れて行った。ヤツが視界に入らなくなってからしばらくして、母上が話しかけてきた。
「大丈夫だった、リッキー?」
「…母上。俺、あいつ嫌いです」
(史実での)父上とトムの仇だ。好きにはなれない。厳しくも見えるが家族思いな父上と可愛くて素直なトムを、史実の俺から奪って行ったのだから。
「…まぁ、そうよね。私も嫌よ、あの人。当主の弟だからって威張って…。でも偉い人の前だと猫を被っている感じよね…。今までもなんとなく察していたけど、私、あの人は嫌いよ。リチャードはシェリフハットンを彼に渡すことを考えているけど…。あの人にだけは、渡したくないわ。…なんだか悪いことをしそうな人だから」
していましたよ、悪いこと。裏切ってます。前科(?)アリです。
「…さて、嫌な話はこのくらいにして。お義母さま…、ジョウン様とシスがお待ちよ。早く行きましょ」
シスとたくさんお話ししなきゃ、というシスさんを揶揄う気まんまんの母上と共に、俺はレビィ城の廊下を歩いて行った。
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これで第一章は終了です。次から第二章(ウォリック6歳~8歳)になります。
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