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6話 この男、慎重につき
4・世界が変わっても
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「最近海外のドラマを視ていて気になることがあってね」
「うん?」
ベッドに転がり頭の後ろで手を組みチラリと悠に視線を向けた蓮。
彼女は隣でうつぶせになりノートPCのモニターを眺めている。
「ほら、ラブコメとかだとしょっちゅう恋人が変わったりするじゃない?」
「そうだね」
彼女が海外のラブコメを好むことは知っていた。部屋には静かに洋楽が流れている。
「海外の恋愛事情をいろいろと調べていたのだけれど、日本で起きていることもでてきたの」
蓮は身体を横に向けると頬杖をつき、もう片方の手を彼女の髪に伸ばす。
「ちょっとそれが衝撃でね」
彼女はベッドの上でマウスを動かしクリックした。
「何が書いてあったの?」
と蓮。
滑らかな髪の触り心地にうっとりしながら。
「日本では、性行為を含まないセカンドパートナーを作る人が増えているらしいのね」
「へえ」
相槌を返す蓮に”どう思う?”と彼女。
「俺は日本の結婚については、以前から疑問しかないよ」
蓮の言葉に彼女が不思議そうにこちらを見る。
「よく、既婚者の愚痴をSNSで見かけるでしょ。なんで結婚したの? って不思議に思う」
結婚への経緯は人それぞれだろうが、婚前に一緒に暮らしてみるということはしないのだろうか? と。相手を見極めたり、家事や育児などについて話し合わない結果なのではないかとも思う。
「セカンドパートナーについても、相手の本質は知らなくていいってことなんでしょ?」
「うーん、それはどういう意味合いで?」
「見える部分のみで疑似的な恋愛関係を楽しみたいだけ。つまりいつまでも女性として周りから見られたい。それって自己愛じゃないのかなって」
それが良いとか悪いとかを別として、不倫も浮気もパートナーと向き合うことをせずに手軽に自己愛を満たす行為なのではないか。蓮はそう感じた。
「俺だったら、ダメなところは言って欲しいし。なるべく一緒の時間を楽しみたいなと思う」
「そっか」
悠が目を細める。
ちゅっと口づけられ、彼女の腰に腕を回し引き寄せた。
「悠はどう思うの?」
「そうねえ」
悠の手が背中に回り、腰からシャツの中に侵入する。
「人間って言うのは自然界の摂理に逆らって理性を貫くからオカシイことになるんじゃないかなと思うのね」
「うん?」
全ての動物がそうとは限らないが、動物というのは一定の相手と子を作り続けているわけではないのではないか? と言う。
「生物とか詳しくないからただの推定だけどね。毎年求愛の季節があるということは番《つがい》ってのは永遠の契約ではない気がするのよ。クモなんかはオスを食べてしまうわけでしょ?」
「ああ、虫はそういう生態を持つ種類がいるね」
「動物は、食べないにしても毎年同じ相手と子作りしているとは限らないんじゃないかなって。母親だけで子を育てる種類もいるわけだし」
人間には心がある。感情がある。
だから『恋』という概念があり、育ち方によって『愛』を知る。
世の中には『恋愛』をしない人はたくさんいるだろう。
していると思っていても、それは相手を好きなわけではなく『恋に恋している』状態だったり、『自己愛』だったりすることは多い。それを本人が『恋』や『愛』と勘違いしているだけに過ぎない。
「もちろん人間だって一人の人だけを愛し続ける人はいると思うのよ。でもそれは互いの努力の上に成り立っていると思うの。愛され続けるために自分を磨き続けるから愛され続ける」
「うん」
「結婚したからと言って、愛されて当たり前なんてことはないわ」
「そうだね」
「人間の言う好きっていうのは『愛かリスペクト』だと思うのね。でもその愛する相手には少なくとも『リスペクト』もあると思うの。つき合ったら怠惰になるなら、それがその人の本質なのよ」
夫婦であろうが他人。リスペクトできる相手であり、価値観が合わなければずっと好きでいることは難しいのかもしれない。
「わたしは努力するわ。蓮が大好きだから」
その言葉に嬉しくなった蓮は彼女をぎゅっと抱きしめる。
「俺も頑張るよ」
「ふふ」
世界の価値観はこれからも変わり続けるに違いない。それでも、悠となら変わらずにいられる気がしたのだった。
「うん?」
ベッドに転がり頭の後ろで手を組みチラリと悠に視線を向けた蓮。
彼女は隣でうつぶせになりノートPCのモニターを眺めている。
「ほら、ラブコメとかだとしょっちゅう恋人が変わったりするじゃない?」
「そうだね」
彼女が海外のラブコメを好むことは知っていた。部屋には静かに洋楽が流れている。
「海外の恋愛事情をいろいろと調べていたのだけれど、日本で起きていることもでてきたの」
蓮は身体を横に向けると頬杖をつき、もう片方の手を彼女の髪に伸ばす。
「ちょっとそれが衝撃でね」
彼女はベッドの上でマウスを動かしクリックした。
「何が書いてあったの?」
と蓮。
滑らかな髪の触り心地にうっとりしながら。
「日本では、性行為を含まないセカンドパートナーを作る人が増えているらしいのね」
「へえ」
相槌を返す蓮に”どう思う?”と彼女。
「俺は日本の結婚については、以前から疑問しかないよ」
蓮の言葉に彼女が不思議そうにこちらを見る。
「よく、既婚者の愚痴をSNSで見かけるでしょ。なんで結婚したの? って不思議に思う」
結婚への経緯は人それぞれだろうが、婚前に一緒に暮らしてみるということはしないのだろうか? と。相手を見極めたり、家事や育児などについて話し合わない結果なのではないかとも思う。
「セカンドパートナーについても、相手の本質は知らなくていいってことなんでしょ?」
「うーん、それはどういう意味合いで?」
「見える部分のみで疑似的な恋愛関係を楽しみたいだけ。つまりいつまでも女性として周りから見られたい。それって自己愛じゃないのかなって」
それが良いとか悪いとかを別として、不倫も浮気もパートナーと向き合うことをせずに手軽に自己愛を満たす行為なのではないか。蓮はそう感じた。
「俺だったら、ダメなところは言って欲しいし。なるべく一緒の時間を楽しみたいなと思う」
「そっか」
悠が目を細める。
ちゅっと口づけられ、彼女の腰に腕を回し引き寄せた。
「悠はどう思うの?」
「そうねえ」
悠の手が背中に回り、腰からシャツの中に侵入する。
「人間って言うのは自然界の摂理に逆らって理性を貫くからオカシイことになるんじゃないかなと思うのね」
「うん?」
全ての動物がそうとは限らないが、動物というのは一定の相手と子を作り続けているわけではないのではないか? と言う。
「生物とか詳しくないからただの推定だけどね。毎年求愛の季節があるということは番《つがい》ってのは永遠の契約ではない気がするのよ。クモなんかはオスを食べてしまうわけでしょ?」
「ああ、虫はそういう生態を持つ種類がいるね」
「動物は、食べないにしても毎年同じ相手と子作りしているとは限らないんじゃないかなって。母親だけで子を育てる種類もいるわけだし」
人間には心がある。感情がある。
だから『恋』という概念があり、育ち方によって『愛』を知る。
世の中には『恋愛』をしない人はたくさんいるだろう。
していると思っていても、それは相手を好きなわけではなく『恋に恋している』状態だったり、『自己愛』だったりすることは多い。それを本人が『恋』や『愛』と勘違いしているだけに過ぎない。
「もちろん人間だって一人の人だけを愛し続ける人はいると思うのよ。でもそれは互いの努力の上に成り立っていると思うの。愛され続けるために自分を磨き続けるから愛され続ける」
「うん」
「結婚したからと言って、愛されて当たり前なんてことはないわ」
「そうだね」
「人間の言う好きっていうのは『愛かリスペクト』だと思うのね。でもその愛する相手には少なくとも『リスペクト』もあると思うの。つき合ったら怠惰になるなら、それがその人の本質なのよ」
夫婦であろうが他人。リスペクトできる相手であり、価値観が合わなければずっと好きでいることは難しいのかもしれない。
「わたしは努力するわ。蓮が大好きだから」
その言葉に嬉しくなった蓮は彼女をぎゅっと抱きしめる。
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