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1章『いじめてあげる』
18:温かい君の腕の中
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****♡Side・副社長(皇)
「はい、あーん」
「ちょ! なんで、そんな色気のないものを」
「ん?」
塩田は強引だった。きゅうりの漬物を無理やり、あーんしてくる。
「うん、可愛い」
ブツクサ言いながら口に含み、ポリポリしていると満面の笑み。
「色気のないモノしか出さないからだぞ」
と、しっかり皇の文句に返事も添えて。
「しょうがないだろ、塩田の好きなモノは色気がないんだから」
「ほーう」
こんなことを言っては失礼かもしれないが、年寄りの好みそうなさっぱりしたものばかり好む塩田が悪いんだ、と思っていると、
「俺の好きなモノしか出さない優一が悪いんだろ」
と言われてしまう。
「どんなモノをあーんして欲しいんだよ。アイスクリームか?」
可愛いものを指しているのかと思って聞いていたら、
「バナナか? きゅうりだって切らなきゃ充分色気あるぞ」
と塩田が続けるので、下ネタだったことに気づいた皇はお茶を吹く。
「何やってんだよ」
と、眉を顰める塩田。
「ナニ言ってるんだよ、塩田は」
と、濡れたシャツをタオルで拭こうとする皇。
「なんだよ、そんなとこ透けさせて。誘ってるのか?」
「な!」
皇は白いTシャツを着ていたので、しっかりと胸の突起が透けてしまっている。
「もう、着替えてくる」
「なんだ、可愛かったのに」
立ち上がる皇。塩田はくくくと笑っていた。
──もう! 塩田は冗談ばっかり。
からかってるのかな?
大好きだけどさ……。
「ふあッ⁈」
皇がシャツを脱いでいると、肌をすべる手。電気をつけなかった為、廊下の明かりだけだったので飛び上がるほど驚いた。
「あ、塩田」
「ん? 誰だとおも……お化けかと思った?」
脅かしたことを悪いと思ったのか、後ろから優しく抱きしめてくれる。
「うん」
「なんだよ、お化け信じてんのか」
「違う」
「……ああ。そうか」
塩田は何かに気づき抱きしめる腕に力を入れた。
「大丈夫だ。俺が、守ってやるよ」
「塩田」
「なんだ」
いつまでも二年前のことを思い出してしまう自分が嫌だ。何でもないことが、怖いと思う。そのせいで、塩田に気を遣わせたくない。
「ごめん……いつまでも引きづってて」
「何言ってんだよ」
温かい彼の腕の中。
「優一が悪いわけじゃないだろ」
「あ……」
ちゅっと首筋に口づけをくれる彼。
「んッ……」
「ずっと側にいて、いつか忘れさせてやるから」
「塩田……んんッ……好きッ」
皇は肌をすべる彼の手に夢中になった。
──温かくて、優しくて、でも意地悪で。
「おっと」
「はあッ……」
身体に力が入らなくなった皇の腰に手を回し、支えてくれる彼に抱きつくと、そのままベッドに座らされる。
「塩田……」
「ここにいるよ」
「はい、あーん」
「ちょ! なんで、そんな色気のないものを」
「ん?」
塩田は強引だった。きゅうりの漬物を無理やり、あーんしてくる。
「うん、可愛い」
ブツクサ言いながら口に含み、ポリポリしていると満面の笑み。
「色気のないモノしか出さないからだぞ」
と、しっかり皇の文句に返事も添えて。
「しょうがないだろ、塩田の好きなモノは色気がないんだから」
「ほーう」
こんなことを言っては失礼かもしれないが、年寄りの好みそうなさっぱりしたものばかり好む塩田が悪いんだ、と思っていると、
「俺の好きなモノしか出さない優一が悪いんだろ」
と言われてしまう。
「どんなモノをあーんして欲しいんだよ。アイスクリームか?」
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と塩田が続けるので、下ネタだったことに気づいた皇はお茶を吹く。
「何やってんだよ」
と、眉を顰める塩田。
「ナニ言ってるんだよ、塩田は」
と、濡れたシャツをタオルで拭こうとする皇。
「なんだよ、そんなとこ透けさせて。誘ってるのか?」
「な!」
皇は白いTシャツを着ていたので、しっかりと胸の突起が透けてしまっている。
「もう、着替えてくる」
「なんだ、可愛かったのに」
立ち上がる皇。塩田はくくくと笑っていた。
──もう! 塩田は冗談ばっかり。
からかってるのかな?
大好きだけどさ……。
「ふあッ⁈」
皇がシャツを脱いでいると、肌をすべる手。電気をつけなかった為、廊下の明かりだけだったので飛び上がるほど驚いた。
「あ、塩田」
「ん? 誰だとおも……お化けかと思った?」
脅かしたことを悪いと思ったのか、後ろから優しく抱きしめてくれる。
「うん」
「なんだよ、お化け信じてんのか」
「違う」
「……ああ。そうか」
塩田は何かに気づき抱きしめる腕に力を入れた。
「大丈夫だ。俺が、守ってやるよ」
「塩田」
「なんだ」
いつまでも二年前のことを思い出してしまう自分が嫌だ。何でもないことが、怖いと思う。そのせいで、塩田に気を遣わせたくない。
「ごめん……いつまでも引きづってて」
「何言ってんだよ」
温かい彼の腕の中。
「優一が悪いわけじゃないだろ」
「あ……」
ちゅっと首筋に口づけをくれる彼。
「んッ……」
「ずっと側にいて、いつか忘れさせてやるから」
「塩田……んんッ……好きッ」
皇は肌をすべる彼の手に夢中になった。
──温かくて、優しくて、でも意地悪で。
「おっと」
「はあッ……」
身体に力が入らなくなった皇の腰に手を回し、支えてくれる彼に抱きつくと、そのままベッドに座らされる。
「塩田……」
「ここにいるよ」
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