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2章『二人で探る幸せの場所』
19:不安な雲を取り払う彼【微R】
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****♡Side・副社長(皇)
自分に覆いかぶさり、じっとこちらを見つめている塩田を皇はぼんやりと見上げていた。ゆっくりと二の腕を辿る彼の手のひら。
無表情なことの多い彼の端正な顔。時々瞬きをするその瞳は何を思うのか。
本当の優しさとはなんだろうか?
そんなことを考えていると、彼の唇が鎖骨に触れた。
びくりと肩を揺らし、皇は瞳を閉じる。
彼から与えられる温もりは、いつだって自分を癒し絶頂へ導く。
泣きたい夜を何度も耐えて、一緒に暮らし始めた。いつでも手の届くところにいるというのに、全然足りない。どんなに熱を分け合っても。
『恋人ってのは、愛する権利を持つってことだろ』
違うのか? と彼に問われる。
頬を撫でられ、ぎゅっと彼に抱き着いた。
いつも不安そうにしている自分に彼がいつ愛想を尽かすかわからない。
そんなことはないと言われようが、不安とは消せないものなのだ。
たとえ求められるままに与えたとしても、人は平穏を求めながら平穏に飽きる生き物なのだから。
『じゃあ、塩田にとって愛とはなんだ?』
『愛ねえ……』
人間とは不思議な生き物だ。いつだって目に見えない何かに定義を求める。先人とて議論してきただろうことを、議論し合う。つまり、その答えに納得していないということなのだろうか?
それとも。
『自分同様、相手を大切に想うことかな』
言ってフッと笑った彼が、
『俺の愛は伝わってんの?』
と問う。
意地悪ばかりしてきた彼に大切にされているのだと思った。
『俺はガキだから、好きな人は苛めたくなるんだよ』
”皇だって、俺のことクソガキだと思ってたんだろ?”と肩を竦める塩田。
『そんなこと、思ったことはないはずだが』
と答えれば、
『ふうん』
と面白そうに笑う彼。
塩田は生意気とは違う。目上の者に対する態度がなっていないだけ。
無口で余計なことも言わない。
一人っ子で友人もおらず、親に色んなものを取り上げられてきたのだ。
仕事は真面目だが、いつでもつまらなそうにしていた彼が感情を表すだけで、心は跳ねた。その感情が自分に向かえば優越感を持つことだってあった。
『俺は、ずっと塩田に惚れてる』
塩田はその言葉に、目を泳がせる。
『塩田?』
何かいけないことを言ってしまっただろうか。不安そうにその腕に手を伸ばすと、優しく抱きしめられた。
「ん……ああッ……」
いつの間にか丁寧に解されていた最奥の蕾に彼自身が挿入される。
胸を仰け反らせた皇を愛おしそうに見つめる塩田。
多くを語らなくても、愛されていると思いたい。
言葉は安心を産む。けれども、それに頼らずとも……。
「愛してるよ」
皇に覆いかぶさる彼が耳元で囁くように愛を告げる。その瞬間、皇の頬を涙が伝う。強く抱きしめられて、彼の背中に腕を回した。
きっと何も言わなくても、自分の不安は彼に伝わっているのだろう。
奥に彼を受け入れて、快感に溺れる。
溺れてしまえば、一時でもこの恐怖と不安から解放されるだろう。
潤んだ瞳を向ければ、唇を塞がれた。
いつまでも縋っているだけじゃダメなのだ。そんなこと分かっている。
『皇だって、俺のことクソガキだと思ってたんだろ?』
不意に蘇る言葉。
『これ以上、俺とどうなりたいの』
塩田の全てが欲しい。
この先の未来が。
塩田のことは大人だと思ったことはあっても、ガキだと感じたことはない。
確かに愛情表現は子供ぽいところもあるとは思う。でも、自分は彼の全てが好きなのだ。
自分は彼と対等なのだろうか?
もし、別れるなんて言われたら生きていけない。
一人で立てない自分でも、愛してくれるだろうか?
「優一」
気づけば、彼がじっとこちらを見ていた。
「余計なことを考えるのはやめろ。それとも、俺が信じられない?」
皇は何か言おうとしたが、言葉にならずに唇を噛みしめる。
そんな皇の髪を撫でると、左手を取り指輪に口づけた。
そして顔をあげると、
「結婚しようか」
と塩田は微笑んだのだった。
自分に覆いかぶさり、じっとこちらを見つめている塩田を皇はぼんやりと見上げていた。ゆっくりと二の腕を辿る彼の手のひら。
無表情なことの多い彼の端正な顔。時々瞬きをするその瞳は何を思うのか。
本当の優しさとはなんだろうか?
そんなことを考えていると、彼の唇が鎖骨に触れた。
びくりと肩を揺らし、皇は瞳を閉じる。
彼から与えられる温もりは、いつだって自分を癒し絶頂へ導く。
泣きたい夜を何度も耐えて、一緒に暮らし始めた。いつでも手の届くところにいるというのに、全然足りない。どんなに熱を分け合っても。
『恋人ってのは、愛する権利を持つってことだろ』
違うのか? と彼に問われる。
頬を撫でられ、ぎゅっと彼に抱き着いた。
いつも不安そうにしている自分に彼がいつ愛想を尽かすかわからない。
そんなことはないと言われようが、不安とは消せないものなのだ。
たとえ求められるままに与えたとしても、人は平穏を求めながら平穏に飽きる生き物なのだから。
『じゃあ、塩田にとって愛とはなんだ?』
『愛ねえ……』
人間とは不思議な生き物だ。いつだって目に見えない何かに定義を求める。先人とて議論してきただろうことを、議論し合う。つまり、その答えに納得していないということなのだろうか?
それとも。
『自分同様、相手を大切に想うことかな』
言ってフッと笑った彼が、
『俺の愛は伝わってんの?』
と問う。
意地悪ばかりしてきた彼に大切にされているのだと思った。
『俺はガキだから、好きな人は苛めたくなるんだよ』
”皇だって、俺のことクソガキだと思ってたんだろ?”と肩を竦める塩田。
『そんなこと、思ったことはないはずだが』
と答えれば、
『ふうん』
と面白そうに笑う彼。
塩田は生意気とは違う。目上の者に対する態度がなっていないだけ。
無口で余計なことも言わない。
一人っ子で友人もおらず、親に色んなものを取り上げられてきたのだ。
仕事は真面目だが、いつでもつまらなそうにしていた彼が感情を表すだけで、心は跳ねた。その感情が自分に向かえば優越感を持つことだってあった。
『俺は、ずっと塩田に惚れてる』
塩田はその言葉に、目を泳がせる。
『塩田?』
何かいけないことを言ってしまっただろうか。不安そうにその腕に手を伸ばすと、優しく抱きしめられた。
「ん……ああッ……」
いつの間にか丁寧に解されていた最奥の蕾に彼自身が挿入される。
胸を仰け反らせた皇を愛おしそうに見つめる塩田。
多くを語らなくても、愛されていると思いたい。
言葉は安心を産む。けれども、それに頼らずとも……。
「愛してるよ」
皇に覆いかぶさる彼が耳元で囁くように愛を告げる。その瞬間、皇の頬を涙が伝う。強く抱きしめられて、彼の背中に腕を回した。
きっと何も言わなくても、自分の不安は彼に伝わっているのだろう。
奥に彼を受け入れて、快感に溺れる。
溺れてしまえば、一時でもこの恐怖と不安から解放されるだろう。
潤んだ瞳を向ければ、唇を塞がれた。
いつまでも縋っているだけじゃダメなのだ。そんなこと分かっている。
『皇だって、俺のことクソガキだと思ってたんだろ?』
不意に蘇る言葉。
『これ以上、俺とどうなりたいの』
塩田の全てが欲しい。
この先の未来が。
塩田のことは大人だと思ったことはあっても、ガキだと感じたことはない。
確かに愛情表現は子供ぽいところもあるとは思う。でも、自分は彼の全てが好きなのだ。
自分は彼と対等なのだろうか?
もし、別れるなんて言われたら生きていけない。
一人で立てない自分でも、愛してくれるだろうか?
「優一」
気づけば、彼がじっとこちらを見ていた。
「余計なことを考えるのはやめろ。それとも、俺が信じられない?」
皇は何か言おうとしたが、言葉にならずに唇を噛みしめる。
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「結婚しようか」
と塩田は微笑んだのだった。
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