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2話【魔王と魔王と塩と天然】

3 暗闇の中で【R】

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****♡side・塩田

「やっぱり真っ暗だと、やり辛いね」
 耳元で囁く電車でんまの声。
「変なところに指れちゃったら、ごめんね」
と続けて。
「待て、男には穴は一つ。他にどこにれようとしているんだ? 鼻とか耳に入れる気か?」
 塩田の言葉に彼は、
「そうだねえ」
と間延びした声を漏らす。 

「あ……ちょっ……」
「ん? 冷たい?」
 ジェルと共に塩田の最奥の蕾を開こうとする彼の指。散々焦らされたせいか、塩田のそこは期待に熱を帯びていた。
「そんなに閉めないの」
と彼に言われ、なんだか恥ずかしくなってしまう。
紀夫のりおが焦らすからだろ。早くアンアン言わせろよ」
「言わないくせに。ほら、力抜いてよ。入らないじゃない」
 温度差が生まれ、冷たさにキュッとそこに力を入れてしまった塩田。何とか身体から力を抜こうとするが。
「しょうがないなあ」
 うまくできない塩田の鎖骨に口づける彼。気を逸らしてそこの力を抜けさせようという作戦に出たらしい。

「一回出しちゃえば、力抜けるけど。それは嫌なんでしょ?」
と優しく問う電車でんま
「一緒にきたい」
「もう、わがままだなあ」
と彼は嬉しそうに言う。
 わがままだと言う割には、そのわがままが好きなのだ。いつでも甘えているように見えて、甘やかしてくれているのは電車の方だと塩田は思っていた。確かに仕事ができるのは塩田の方ではあるが、彼はいつだって優しい。
「でもこっちもしてあげるね」
 段々と彼の唇が下がっていく。胸の飾りを舐めあげ、へその横にキスを落とし、わき腹を撫でる。
「んんッ……」
「あ、濡れてる」
 形を持った塩田自身の鈴口はすでに濡れていた。そこを潤すように舌を這わせる電車。塩田は彼のくれる愛撫に夢中になっており、気づけば最奥の蕾に彼の指を受け入れていた。

「入ったよ」
と彼。
 報告しなくても、と塩田は思った。しかしそれは羞恥を煽るためなのだとすぐに気づく。
「ヤラシイ音してるね。暗いから響くでしょ?」
 塩田自身から唇を離した彼は、塩田の耳元で、
「ねえ? 聞こえる?」
と問う。

──なんだ? 今日は。

「塩田は言葉攻めとか好き?」
「わ、わからん」
 副社長にちょろっと突っ込まれたことはあるが、塩田にとって恋人は電車でんまが初めての相手であり、そういう意味でも彼が全て塩田の初めてなのだ。そんなプレイ、彼がしてこない限り体験できない。
 もちろん浮気などするつもりは毛頭ない。そんなことができるくらいなら、課長の指示を蹴ったりはしないだろう。
「全部、紀夫が初めてだし」
と言えば、
「そっか。一緒にいろいろ試していこうね」
と口づけをくれる。
 優しくて大好きな彼。一刻も早く結婚したいと塩田は思っていた。まさかこの後、魔王……もとい、副社長皇がが攻めてくるとも思わずに。

「なあ、早く繋がりたい」
と塩田が言うと、彼は鼻を抑えた。
 最も、暗いので塩田には彼が顔のどこかを抑えたように感じただけなのだが。
「塩田はストレートすぎて、時々破壊力が半端ないよね」
 ゆっくりと蕾をほぐしていた彼の指が抜かれ、不思議そうにしていた塩田の両ももの裏側に彼の手が添えられる。正常位でさせられるこのかっこは、非常に恥ずかしい。あまり恥ずかしさを感じない塩田でさえ、冷静に考えると恥ずかしいカッコだなと感じてしまうくらいだ。
「痛かったら言ってね」
 滑りが悪ければ、蕾を無理やりこじ開けられるのは痛いのかもしれないが、ジェルを塗り込められたそこは膜で保護された状態であり滑りは良かった。
「んんッ……」
 彼自身が塩田の蕾に宛がわれ、ゆっくりと呑まれていく。それでも慣れるまでは圧迫感もあるので辛い。痛いわけではないが。
 ゆっくりと全てを潜り込ませた彼は、安堵のため息をつく。塩田はそんな彼の首に腕を絡ませ、
「好き」
と囁いたのだった。
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