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最終章:佳奈と哉太編
2 佳奈の向かう先
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「そう言えば、佳奈は行きたいところがあるんだっけ?」
「うん、一人で行くのもあれだし。迷惑でなかったら一緒についてきて欲しいの」
───海に想いを捨て、過去にサヨナラしたい。
どうして人は海が好きなのだろう。
きっと人間は海から派生し、海へと返るものなのだろうと佳奈は思っていた。
母なる海、父なる大地。そんな表現をする人さえいる。
きっと過去にとらわれた自分も、海に行けばちっぽけな自分の悩みなど波が攫ってくれるだろうと。
「もちろんいいわよ。夕飯は、海辺のカフェで新鮮な魚介でもいただきましょう?」
彼女は立ち上がると、レジカウンターに向かう。
「やだ、自分の分ちゃんと払うわよ」
と佳奈も慌てて後を追った。
電子マネー化、キャッシュレス化されずいぶん経つが、現金の時と比べ支払いや割り勘などが楽になった。
割り勘だと割に合わない、などと言う時にはとても便利だ。
自分の分のみを簡単に端数まで送金することが一瞬で可能であるし、溜まったポイントで支払うこともできる。
人と食事をする時、割り勘だからと遠慮せずに頼めるのも、レジで簡単に別払いが可能というメリットがあるからとも言えるだろう。
駅に向かった二人はスマホをあて改札を潜る。
切符を買っていた時代、定期を挿入していた時代、suicaなどをあてていた時代。
人は進化を止《や》めない生き物なのだと改めて感じた。便利と時間短縮は共にあり、正確性というものがプラスされている。
確かに、記念と言う意味では手元に残る切符は風情があるかもしれない。
失われたものと、手に入れたもの。
人は目に見える記録と言う名の思い出を捨て、時間と言う目に見えないものを手に入れた。
それなのに人は、過去と言う時間にも囚われる。不思議な生き物だ。
「わたし、電車って好き」
彼女は都心ではなかなかお目にかかれない対面式の座席に腰かけ、外を眺めている。車内はとても空いていた。
「仕事以外で乗るのはいいわよね」
最近ではリモートという形でデスクワークを行っている会社もあることから、以前に比べればホンの少し車内は窮屈ではなくなったが、それでも日本の電車の通勤時の乗車率は多い方だと思われる。
佳奈は人ごみが苦手なことから、会社へは自転車で通っていたが。
「あ、海が見えてきた」
日の光を感謝し、キラキラと照り返す水面はとても神秘的だ。
水は、命の源。水自体には色はないが、滝や海や湖、そして温泉など。
水のあるところには人が集まりやすく、そして魅了して止まない。
「綺麗ね、やっぱり海って素敵」
佳奈はニコニコしながら外を眺める彼女を、安らかな気持ちで見ていたのだった。
「うん、一人で行くのもあれだし。迷惑でなかったら一緒についてきて欲しいの」
───海に想いを捨て、過去にサヨナラしたい。
どうして人は海が好きなのだろう。
きっと人間は海から派生し、海へと返るものなのだろうと佳奈は思っていた。
母なる海、父なる大地。そんな表現をする人さえいる。
きっと過去にとらわれた自分も、海に行けばちっぽけな自分の悩みなど波が攫ってくれるだろうと。
「もちろんいいわよ。夕飯は、海辺のカフェで新鮮な魚介でもいただきましょう?」
彼女は立ち上がると、レジカウンターに向かう。
「やだ、自分の分ちゃんと払うわよ」
と佳奈も慌てて後を追った。
電子マネー化、キャッシュレス化されずいぶん経つが、現金の時と比べ支払いや割り勘などが楽になった。
割り勘だと割に合わない、などと言う時にはとても便利だ。
自分の分のみを簡単に端数まで送金することが一瞬で可能であるし、溜まったポイントで支払うこともできる。
人と食事をする時、割り勘だからと遠慮せずに頼めるのも、レジで簡単に別払いが可能というメリットがあるからとも言えるだろう。
駅に向かった二人はスマホをあて改札を潜る。
切符を買っていた時代、定期を挿入していた時代、suicaなどをあてていた時代。
人は進化を止《や》めない生き物なのだと改めて感じた。便利と時間短縮は共にあり、正確性というものがプラスされている。
確かに、記念と言う意味では手元に残る切符は風情があるかもしれない。
失われたものと、手に入れたもの。
人は目に見える記録と言う名の思い出を捨て、時間と言う目に見えないものを手に入れた。
それなのに人は、過去と言う時間にも囚われる。不思議な生き物だ。
「わたし、電車って好き」
彼女は都心ではなかなかお目にかかれない対面式の座席に腰かけ、外を眺めている。車内はとても空いていた。
「仕事以外で乗るのはいいわよね」
最近ではリモートという形でデスクワークを行っている会社もあることから、以前に比べればホンの少し車内は窮屈ではなくなったが、それでも日本の電車の通勤時の乗車率は多い方だと思われる。
佳奈は人ごみが苦手なことから、会社へは自転車で通っていたが。
「あ、海が見えてきた」
日の光を感謝し、キラキラと照り返す水面はとても神秘的だ。
水は、命の源。水自体には色はないが、滝や海や湖、そして温泉など。
水のあるところには人が集まりやすく、そして魅了して止まない。
「綺麗ね、やっぱり海って素敵」
佳奈はニコニコしながら外を眺める彼女を、安らかな気持ちで見ていたのだった。
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