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6章 入学試験 2次試験編
52話 重み
しおりを挟むPvP……OOPARTSオンラインでも別に珍しいものではなくよく起きていた。相手を倒したからといってその相手のアイテムがドロップするわけでもなくただ倒された相手がその場所から消えるだけで、あまり意味のある行為というわけでもなかった。
ただ、ゲームをやっていればそういう輩は絶対いるもので、たまにそういうPKだけを専門に行なっている奴もいた。だが、無意味なPKをすると世界チャット(ログ)に表示され誰が誰を殺したか分かるようになっていた。なので、すぐにそう言う奴らは淘汰されていった。
当然、決闘スタイルで力比べする者やランキング上位者に挑戦している者も多数存在し、相手が了承していれば全く問題無かった。
正直俺達3人はよくそう言う奴らに絡まれたり、決闘などのPvPを求められることが多かった。もちろん俺達が高額課金者なのは周知のことだからだ。ただまぁ最初の内は慣れなかったり、課金したてなのでよく負けていた。結構な回数PvPをこなしそれに比例して課金額も増えていくと徐々に挑んでくる奴は減少していた。
それからは身内でけんとジグさんの3人でよく戦っていた。彼ら2人共規格外に強いのではっきり言ってかなり良質なトレーニング方法だ。その経験もあってこのレベルでもなんとかなっていた。
そして、今目の前にいるこいつーーハヤト・ゾルディはさっきの感じから察するに全く全開で戦っていない。
こう、相手が全力で来ない戦いはOOPARTSオンラインでは中盤以降全く無かったのでこういうのは初心に戻った感じでなんか変なワクワク感が心を弾ませていた。
ハヤトは俺の拳の打撃に合わせて自分の拳を合わせる。骨と骨が擦れるような鈍い音を両者の拳が奏でる。
「いくよ!!超天気魔法<高速の梅雨前線/ベインフロント>」
その瞬間、ここまで雲ひとつ無かったが徐々に雲が集まり曇天になり雨が降り出す。魔法陣が10個上空に出現し俺目掛け巨大な水の柱が飛んでくる。俺は咄嗟に一発目をバク宙で躱し後方へ跳ぶ、着地したまま跼みその反動で二発目をバク転でさらに後方へ跳ぶ。バク転で翻っている瞬間さっき水の柱が着弾する所を見ると1m四方のクレーターができていた。この硬い会場の石版を水の水圧だけでぶち壊したのだ。
「うぉっと!!」
「なんという量の水柱だぁああああ!!アキト選手大ピンチだぁああ!!」
その威力に感想を思う間もなく3発目と4発目が同時に飛来する。正面と後方から飛んで来たので思いっきり体を捻り右に跳ぶそこには待ち受けていたと言わんばかりの顔をしたハヤトの蹴りをもろに左脇腹に受けてしまう。
だが、その瞬間に俺は重力スキル<重力圧縮波/グラヴィティウェブ>を攻撃受ける箇所に発動しその蹴りをそらす。
蹴りをそらされたハヤトは即座に後方へ戻る。再び5、6発目が左右を塞ぐように軌道を変え襲いかかり曲がった水柱はうねりながら約時速70kmで俺を確実に捉える。
俺は直撃する直前、自分に重力魔法<重力の強制/グラビティフォース>をかける。すると俺は一瞬で地面に張り付くような匍匐前進体制になる。
「痛っつ!!」
この魔法は対象を2つ選びその2つの対象物を引力によって強制的に引き寄せる。今俺は自分と地面を設定することによって地面側に俺が引き寄せられギリギリで水柱を回避したってわけだ。
その代わりとんでもない速度で引き寄せられたので顔面を強く打ち付け鼻血がだらだらと流れ落ちる。
だが、そんな鼻血のことなんて御構い無しに7、8発目が迫る。
俺はすぐに魔法を解き、頭の方と足の方から地面を抉りながら迫る水柱2本を腕の力を使いプッシュアップの要領で高くジャンプする。これは水柱を躱す程度の跳躍力しかでないので躱した瞬間その勢いで立ち上がり次の水柱の様子を確認する。
9発目が上空からもう迫っていた、残り10mといった所だ。
クッソこれもギリギリか……
俺は躱そうと足を動かした刹那、
地面が揺れ俺は体勢を崩す。そして、その地面の揺れの原因となる水柱が俺を今度こそ確実に捉え上空に吹き飛ばされそのまま上から迫る水柱をもろに受け、そのまま地面に全身が押しつぶされそうなくらいの水圧とともに激突する。そのまま地面を二転三転さらに四転する。
そう、1発は地面の中に隠していたのだ。
ハヤトの奴、やるじゃないの……
雨と今くらった水柱のせいで俺の体は全身濡れていた。そのせいで服が重くなりかえって邪魔なので脱ぎ捨てる。(もちろん上半身だけですよ)
「すごいね、今の攻撃をそれだけのダメージで躱し切るなんて。次はどうやってやろうかな~」
ハヤトは相変わらず楽しんでいるようだ。
クッソやられてばかりじゃ性に合わん!今度は俺の番だ!
俺は駆け出す、ハヤトに一直線で向かい途中濡れた靴が重かったので脱ぎ捨てる。
ちょうどハヤトとの距離20mといったところか……いくぜーー俺は突然急停止し地面に両手触れさせる。
重量スキル<地に伏す者/グラビィテオングラウンド>
スキルを放った瞬間ハヤトの動きが止まる。そして上空にあった雲が会場まで降りてきて濃霧状態となり視界が悪くなる。
徐々にハヤトの視線が下がっていく。重さに耐えられないのかついに地面に膝を付ける。
「こ…これ…は……」
そのまま両手のひらを地面につけなんとかギリギリで耐えている。
重力スキル<地に伏す者/グラビィテオングラウンド>は対象物を2つまで選び、その対象物に加重をかけるスキルで選択したのはハヤトと上空にある雲だ。このスキル範囲は俺を中心として20m、高さが2000mになる。その中の対象物ならばなんでも選べる。
この加重量は物体の重さ×10^2xである。xの部分は1時間ごとに1加算されていくが今回のの戦いでは殆ど意味をなさないだろう。そして今ハヤトには100kgの負荷が全身に均等にかかっている。100kgを持っている感覚という生易しいものではない。
「その状態では動けまい……」
そんな状況でも笑顔を壊さないハヤト。
俺はそのまま動かないハヤトに向かっていく。
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