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7章 魔導学園 1年生編
71話 衝
しおりを挟む俺とトレインの衣を纏った拳が交錯し、両者の拳を起点に衝撃波が生じ拳が交わった初撃だけで今いる地面にヒビが入り石版がめくれ上がる。
衝撃波が拳周りだけでなく俺たちを中点に放射状に広がって行く。
観客席の境目にある結界にヒビが入り慌ててウタゲちゃん達が慌てて修復し始める。
痛ッてぇええええええ!!!
俺は痛みのあまり涙だが溢れ出しながらもうプライドと根性だけで拳を突き出している。
「ガッハッハ!!いたいいたい!」
本当に痛いのかどうか分からんくらい軽いノリだ。
熱さと砂埃が入り混じり、傷口から血が飛び散り俺の顔に飛来し左目のに入る。片目がぼやけるのは違和感が凄い。
飛び散った俺の血は口内にも侵入する。舌から鉄分を感じつつ、健康状態が良好なことを確認する。
————オレ流血液診断だ。
勢いよく衝突した拳はその反動で弾かれお互いに大きく仰け反る。だが、最初のように一発で今回は終わらない。そのまま2発目を放つべくお互い体勢を立て直す。仰け反った反動を利用し、利き手とは逆、左手で拳を作り衣を膨張させる。
トレインも同様に左手拳を準備し、お互い同時に放つ。今度は左下からトレインの鳩尾を狙うと同時にトレインが俺の顔面を狙ってくる。
先に反応していた俺の拳がトレインの鳩尾を深くえぐる。徐々に鳩尾にめり込み筋肉をかき分けるようにねじ込んでいく。下から上の振り抜きはただ直線的にめり込ませるよりも角度がつくのでより効果的だ。
「ぐっは!!!」
トレインが口から血反吐を吐き軽く白目を向くがすぐに我を取り戻す。だが、俺の攻撃はここで終わらない!!
「おらぁああああ!!」
鳩尾にめり込んでいる拳を纏っている火の衣が発熱し温度が上昇する。土属性の衣があるのであまり効果は薄そうだが俺は思いっきり振り抜く————
地面を滑るようにトレインは後方へ飛ばされるが腕を地面に突き刺し無理やり静止する。
「ガッハ!!今のは効いたぜバルトオォ!!」
利き腕ではないのでダメージが薄かったのか直撃させたのにまだ悠々と立っている。
そして、トレインが纏っている人型の衣が地面に潜って行く。
「粘土スキル<粘土束縛/クレイヴォンデイジ>」
トレインがスキルを放った刹那——
「なっ!!」
俺の足元にあった砂が水で練り込まれたかように粘り気のある土に変わり、足を奪われる。そしてそのままズルズルと引きずり込まれ膝のあたりまで飲み込まれてしまう。まるで、誰かに足を引っ張られている感覚だ。
そして膝上あたりまで埋まった時土質がまた変わる。今度は水気のない完全な粘土質の土になりガッチリと固定されてしまう。
無理やり抜け出そうとすれば皮膚まで持っていかれそうなほどビッタリと密着し、吸い付いてくるようだ。
「クッソ!!」
俺が脚を囚われている間にトレインが近づいてくる。
「ガッハッハ!!それに捕まれば容易に抜け出すことは不可能だ!!」
だが、まだ腕は使えるし魔法やスキルは別に手足を使わなくても発動できる。
「ふん!!!」
そう思った直後、トレインが俺の腹直筋下部辺りに掌底を打ち込む。トレインの巨大な手のひらと豪腕が相俟ってまるで腹全体を同時に殴られているような感覚に陥る。
「かっはぁ!!」
全身に衝撃が走り、一瞬失神しかける。衝撃が俺の許容範囲を超えさらに後方——俺の後ろ一直線に観客席まで地面を抉った跡が残るほどの威力だ。だが、俺は脚を固定されているので上半身だけが後ろに反れるが場所は動かない。
そして、トレインは俺が意識を飛ばしかけたその瞬間に追撃の準備をしていた。
「ガッハッハ!!これで最後だバルト!粘土スキル<粘性蝕撃/ヴィスコシティインパクト>」
今度は俺の顔を巨大な手で掴まれ、その手から出る粘土質の土が俺の顔を覆う。顔をうまく円形に覆い終わり、そのままトレインの手のひらから衝撃波が放たれる。
硬く覆われた俺の顔に逃げ場のない衝撃波が荒れ狂い視覚と聴覚を吹き飛ばされ地面はその衝撃でクレーターを作り、その反動で俺の足は自由になる。ある程度足に粘土質の土は付いているがそのまま飛ばされ俺は観客席と闘技場の境目の壁に0.5秒で衝突する。観客席は揺れ壁は一部崩壊し、連鎖するように周りの壁も崩れ落ちる。
砕け散る瓦礫の中最後に残った搾りかすをさらに濾過した意識の中俺は気力を振り絞り立ち上がろうとする。
脳がまだ復帰していないのか立ち上がるのにもかなりの時間を有し、歩き出そうとしてみたがうまく伝達されないのか足が震え制御できない。
「こ……こりゃやべぇ……な」
中央に立っている男を睨みつけるよう見据える。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
まさか、ここまでやるとはな——
「ガッハッハ!!バルトよどうだ俺の粘土属性は!!」
「聞こえてねえよトレイン」
「お?先生。どうするんだ止めるのか」
確かにバルトは立ちはしたがあそこから動くことはできないだろうし、かなりの重症だ。
「どうするシェル?」
「う~ん。私はまだいいと思うけど……最終決定はうたげちゃんに委ねるよー」
シェルはあまり興味なさそうだ。こういう私に委ねる場合は基本シェルは無関心な時が多い。
私はバルトの前まで移動しバルトの目を見るが多分見えていないし、声もかけているがやはり聞こえていなさそうだ。
「%&*@*^%$」
そう思っていると、バルトが口をもごもごと動かし何かを言っていた。
なんと言っていたかまでは聞き取れなかったが、目は死んでいなかったので試合を続行させようとしたその時——
辺りの温度が急激に上昇する。私はさっきバルトが開けた穴からとんでもない熱量が送られているのを瞬時に判断し、上を向いたその時にはもうドーム状の天井が焼け溶けていた。
「何なんだ……これは」
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