幼馴染を追って異世界へ〜『¥300,000,000』廃課金した最強アカウントをLv1からやり直し、「超重力」属性を使って〜

甲殻類

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7章 魔導学園 1年生編

75話 図書

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 俺の目の前にいるその少女は、物凄く眠たそうなトロッとした今にも溶けそうな目つきをしていて、髪色は桜蘭のような白とピンクが綺麗に混ざり合った色合いなのだがボサボサの髪型で原型がよく分からない恐らくツインテールを作れるくらいは毛量がある。シロネより少し大きいくらいで身長はそれほど高くないむしろ低いくらいだ。黒が際立つ目をしていて、寝ていたのかよだれのあとが口元に残っている。

 一瞬、幽霊かと思ったが冷静になって見るとこの学園の制服を着ているので一安心だ。制服もダボダボで袖のサイズが合っていないのか手のひらが見えない。

 俺は呆気にとられて脳内では色々思考を巡らせているが体が言うことを聞かない。驚きすぎて一種の硬直状態になっている。
 その少女は俺に気づいていないのかそのまま眠気まなこを擦りながら片手には熊みたいな魔物のぬいぐるみを持ちながら直進してきて、俺の腹部に顔を衝突させる。


「ふぐっ!」

 少女は俺にぶつかりそのまま後ろになすがまま倒れていく。俺は咄嗟にその少女を抱きかかえる。さっきまで硬直していたのにこんなに素早く動けるとは自分でも驚きだ。



「だ……大丈夫か?」



「すぅ……ぅ……」



 寝息を立ててもう寝ていた。



 いやいや、あのまま頭ぶつけてたらえらいことになってたのに呑気な奴だなぁ……

 俺はその少女を抱きかかえたまま奥の部屋を覗く。そう、この少女は間違いなくここの本棚の奥から出てきた一体何者なのか……
 本棚の奥は、下へ続く階段が続いており明かりが所々に設置してある松明だけで、視界はお世辞にも良いとは言えない。

 寝ている少女を図書館にある読書スペースのソファの上に寝かせてあげて、俺だけで下の階へ続く階段を降りる。

 途中崩れ掛けの階段や湿った天井など色々な意味で怖い面が浮き出ていてプレッシャーが半端ではなかったがどうにか辿り着く。階段を終え、扉を抜けるとそこには……
 
 地上階の5倍以上の広さはあるとんでもなく広い部屋に辿り着く。さらに、本棚が所狭しと並んでいて上ほど綺麗ではないが汚いなりに何とか整えているって感じだ。

 そのまま本棚の間をざっと歩いて見る。

 本棚には綺麗な新品みたいな本から触れるだけで破けそうな本まで所狭しと本棚からこぼれ落ちそうなくらいの量が置いてある。

 上ほど薄暗さはなくむしろシャンデリアや松明で外と変わらぬ明るさがある。だが別に目がチカチカするほどの強さという訳でもなくとても心地よく読書ができなおかつ目に優しい明かり加減だ。

 それに、上と変わらぬ赤い絨毯が本棚との間に敷かれていて、踏み心地は地下の方がしっとりしている。



 俺はその絨毯を踏みしめ少し進むとソファとテーブルそれに紙とペンが置いてあるちょっとした空間を見つける。そこは、綺麗に円状に直径約35mほどのスペースでソファなどもまだ生暖かい。

 恐らくあの少女はここで今の今ままで本を読んでいたのだろう。



 最初はここを見つけた驚きに持っていかれていたがここでの雰囲気を見た時、俺は何となく近しいものを感じた。

 寮があるのにも関わらずここでずっと1人で黙々と読んでいたんだろう……



 すると、上の方で床と何かが擦れる音がして最後に大きい木の何かがちょうどいい大きさのところに収まる音が響いた後、辺りが一層静かになる。



「おい、待て待て待て!!」



 俺は嫌な予感がしたので、急いで元来た道を辿り上への階段を全速力で登る。

 やってしまったのか……その思いで一杯の俺は階段登りの過去最高記録を樹立してしまう。



「はぁーはぁー……くっそ!」



 嫌な予感は的中というかもう途中から何となく察していた。



 そう、入って来るときに開いていた本棚が今はきっちりと閉まっていたのだ。恐らく一定時間が経つと自動で閉じるようになっていると推測する。

 それに、さっきの少女は中から出て来たのできっとどこかにこの本棚を開くスイッチかなにかがある……



 俺は本棚の辺りを探り、どっか押せたりしないか色々物色してはみたがどこにそれらしいものは無かった。



「うーんどうしようか……」



 幸いなことに今日はこれから用事がない最悪明日誰かに見つけてもらえばいいし、和衷協同でシロネに助けを呼ぶことも可能だしまぁ焦ることはないだろう。

 これらは最後の手段として取っておいて俺は第二の策に出る。



 それは、



「おーい!!開けてけれー!!」



 助けを呼ぶだ。



 そう、最初にやることはどこの世界でもこれだろう。もしかしたら向こうで寝ているさっきの少女が起きて開けてくれるかもしれないし、他の人がたまたま入って来るかもしれない。その可能性がある限りやってみる価値はある。5分は粘ってみるか——

 ふぅ~


 結局、短い間隔で呼びかけていたが誰も来てくれはくれなかった。今思えば、この図書館自体人が来るのが珍しいのにこんな時に限ってくるわけがなかった。



「さてと、どうするか……」



 もうシロネに助け呼ぼうかなと思い、俺はちょうど本棚の裏側に当たる面に手を付き、和衷協同を発動しようとした瞬間。



「うわっ!!」



 本棚が動き扉のように開く。どうやら、スイッチを探すのではなく扉自体を押し込めば勝手に開くようになっているようだ。開け方も多分同じだろう。



 やっとの事で、俺は地上階へ戻りさっきソファに寝かせて置いた少女の様子を見に行くが、あの少女の姿は既に消えていた。

 さっき下で感じたようにまだ生暖かくさっきまで寝ていたのは間違いない。てか、俺の声絶対聞こえてただろうに……



 まぁ、別に怪我をしていた訳ではないので追求する必要はないしな。俺は下の階で面白そうな本がいくつかあったのでそれを借り、図書館を出る。



 空を見ると日が落ちる寸前で辺りを真っ赤に染め、草木が風によってなびいている。



「さてと、寮に帰りますかね」



 俺は若干の空腹感と喉の渇きによって寮に向かう足が速くなる。

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