幼馴染を追って異世界へ〜『¥300,000,000』廃課金した最強アカウントをLv1からやり直し、「超重力」属性を使って〜

甲殻類

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7章 魔導学園 1年生編

78話 覚悟

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 魔物の爪が目の前を横切り、風圧で顔の頬辺りを掠めて血が滴る。当たっていなくてもこの威力……当たれば確実に持っていかれる。



チッ!



 さっきから残りの攻撃系の魔法やスキルを放ち全て命中させてるはずなのに全く効いている様子がない。



 魔物は振り抜いた爪の逆の爪ですぐさま攻撃に転じてくる。

 俺は木や茂みなど自然を生かして何とか回避していたがとうとう辺りの木々は全て倒され、さらに俺の放った火属性の魔法で茂みなどの葉は燃え尽きてしまっている。



 使う属性を誤ったかとも思ったが一番威力に自信がある火属性が効かないのならもうお手上げ状態に近いんだがなぁ!



 それに……



 その瞬間、魔物に一瞬で距離を詰められる。



 嘘だろ!クソッさっきまでこんな速さじゃなかっただろうが!



 俺は攻撃が来ると予想した両爪に意識を持っていかれ過ぎて上から迫る魔物の顔面に気づけなかった。

 魔物は口を縦に大きく開き、その鋭い牙を俺の右肩それも関節により近い部分に食い込む。

 誰かの歯が食い込む感触は最悪で痛みよりも先ず皮膚が裂かれその後血管ごと筋肉に食い込む感触が直に脳によりダイレクトに伝わり、体が一瞬硬直してしまう。幸いなことに骨までは届いておらず日頃の鍛錬の現れだろう。

 その後、火山が噴火するように痛みが一気に溢れ出し、さっきまであった感触など痛みで吹き飛び一瞬意識が飛び倒れそうになるが、深く食い込んでいる牙が支えとなり倒れるまでは至らなかったがそのお陰か飛んでいた意識が再び戻って来る。



「兄ちゃん!!」



 後ろからバルトの声がして俺は振り向こうとしたがそれは行動にまでは移さずそのまま、膝を限界まで一気に曲げ腰を落としその反動で左側へ回避する、痛みを考えず気合いだけで牙を自分の力で引きちぎり見えてはいないが恐らく肩の肉は持っていかれたに違いない。

 もう痛みしか感じないのでこれ以上傷つき痛みがあろうと全く感じない状態までおかしくなっている自分を心配する余地なくただひたすらに回避することだけを考え実行する。



「グヴァdがyがう!!」



 バルトが放った魔法が魔物の顔面に直撃し、魔物は一歩二歩と後ずさり顔を片手で抑え、まるで人間が顔を殴られたような仕草をする。



 魔物もより高位になると人間同様喋って意思疎通したりとより人間に近くなるって父さんから聞いたな。



 それに、バルトの魔法がここまで強力だとは思いもしなかった……見ない内にここまで強くなってるなんて……クッソ!

 自分の不甲斐なさと弟に抜かされる嫉妬心で戦闘の最中なのに気を散漫させてしまう。



「くっそがぁあああ!!」



 怯んだ魔物にさらに追い討ちをかけて今度はスキルをぶち込む。



 だが——



 バルトの時みたいに効果があるようには全く見えず、魔物はバルトの方へ攻撃しに向かう。魔物の中での優先順位は俺よりバルトの方が上みたいだな……



 さっきバルトを飛ばした際に落としていた斧を拾い上げバルトの方へ向かっていく魔物の後ろをとる。



 バルトも向かって来る魔物に向けてありったけの魔法やスキルをぶっ放つ。俺への警戒ゼロの魔物の背中からちょうど30度の方向に位置を取り、斧を両手で持ち低姿勢に構える。

 走りながらなので何度か斧が地面に触れてバウンドするがなんとか制御する。



 クッソ!重いなこれ……



 バルトの魔法とスキルの殴打で魔物は後ろに大きく仰け反り後ずさる。俺はそのまま魔物の足首目掛けて斧を思いっきり全身の力を振り絞り振り上げる。



「クソがぁああああ!!!」



 勿論、さっき受けた傷は開く一方で痛みは増すばかりだが、今は一種の興奮状態で痛みを忘れている俺は傷は御構い無しに力を入れる。



 そのせいで血流が速くなり肩から血を吹き上げるがそんなことには気付かない。



 振り上げた斧は上手く魔物の左足首に突き刺さる。



 っ!!



 そのまま斧を振り抜こうとしたが足首の筋肉が硬いのか斧が微動打にしない。

さらに魔物も全く痛みが無いのか叫び声1つ上げない。



 一旦斧を手放し退避する。



 魔物はこちらを一瞥もせずに斧を抜き取り捨てる。そして、バルトへの攻撃も止め後ろに下がる。



 バルトはその隙に俺の横まで移動する。俺達2人に魔物は向き直りこちらを見据える。

 だが、俺はその魔物の全身を見て絶句した。



 魔物はバルトの魔法とスキルを受け頑丈な一番外側の体毛を焼き切られ内部の皮膚が露わになっていたのだがそれはまだいい、問題はその魔物の身体には至る所に切り刻まれたような傷跡が所狭しと全身に渡って残っていることだ。

 そして、1番は胸の辺りにある傷だ……ただ切られただけでなく、ちょうど胸筋の境目を中心にして放射状に抉れた痕ある。



 魔物というのは傷を受けても2、3日たったら勝手に傷が回復するように出来ている。なので冒険者など魔物を討伐する者は逃さないように注意を払って戦闘を行う。

 例え腕や足が捥げようとも絶命さえしていなければ隠れて身を潜め活動するのを控えるだけで元に戻る。流石にそこまでの傷となると2、3日ではなく1週間くらいかかったりもするが……



 それにより高位の魔物になるほどその回復速度は早くなり、その戦闘中に回復するようになりより厄介になる。



 なぜこの魔物はその特性があるはずなのに受けた傷は全く治らずそのまま傷跡として残っているのだろうか……



「兄ちゃんどうするんだ?」



「バルトお前が魔法、スキルを放てその隙に俺がこの斧でやつの首を切りとばす」



「分かった」



 バルトは素直に従う。



 さて、ここからが正念場だよなぁ!!

 さっきの疑問はどうでもいい——ともかくこいつを殺すことに注力しなきゃなんねぇ!

 自分に気合いを入れるように頬を叩き気合いを入れる。



 その時、魔物は両手を地面に付き四足歩行になり首を下に向け何かをし始める。



「行くぞ!バルト!!」



「ああ!」



 俺とバルトは2手に別れその隙だらけの魔物に向け強襲を開始する。

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