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7章 魔導学園 1年生編
89話 女子会
しおりを挟む午後の自主練の時間の終わりを知らせる鐘が鳴り響き私達は地べたに倒れこむ。立てないほどに足が痙攣し身体中筋肉痛で今動かせるのは口だけ。
その口には土独特の風味が広がり鼻腔には草独特の匂いが通過して行く。喉奥からは血の味が滲みすでに体はぼろぼろだ。
「エーフ大丈夫かの?」
「だ……だい……じょばない」
シロネちゃんに支えてもらいながらなんとか立ち上がる。前にエルとやっていた特訓とは比べ物にならないくらいハードだった……
あの特訓で基礎体力はそれなりについたもののやっぱりまだまだ実力不足だったことを実感させられる。
「エーフ回復するからそのまま動かないで……」
私と同じ特訓メニューをこなしたのに息1つあげていないユイちゃんはそんな私に回復魔法をかけてくれる。
筋疲労や特訓中についた傷などが嘘のように消えていく。ユイちゃんの回復魔法、スキルの効果や精度が上がっているのが良く分かる。
なんてったって私が一番ユイちゃんの回復魔法を受けてきているんだからね!ユイちゃんの成長が感じられて私は嬉しい……
「ありがとうシロネちゃん、ユイちゃんもう1人で立てるから大丈夫だよ」
ユイちゃんの回復魔法の余韻にもっと浸りたかったが流石に迷惑をかけているのですぐに切り上げる。
「そうじゃ今日はこの後甘いものでも食べに行くかの」
「ほんと!いこいこ今すぐ行こ!」
甘いものと聞いて私は飛び跳ねる。
「エーフそんな元気がまだあるとはの……これからもっときついメニューでも良さそうじゃ」
シロネちゃんが笑顔でこちらに訴えかけてくる。この意味ありげな笑顔がたまらなく良い。
「そこは勘弁してほしい~」
ふふふこうやってシロネちゃんに抱きつけば大体のことは許してくれるのだ。
「ちょ!……人が見とるでないかやめいやめい」
シロネちゃんはたじろぎながら頬を赤らめてとても可愛い。それでも私は離さない、こういうしつこさがコツでもある。
「分かった分かったからエーフ離すのじゃ!」
そうシロネちゃんがこのように認めたら離してあげるのだ、これがシロネちゃん攻略術。ユイちゃんバージョンは只今絶賛開発中で色々試しているところだ。
ユイちゃんはなかなか手強いのでシロネちゃんよりも難易度が高い。
「ほら2人共じゃれ合うのはそこらへんにして早く行かないと時間なくなっちゃうよ」
「ユイよ見てるだけじゃなく手伝ってくれてもよかったのじゃぞ」
「いつものことだからつい」
「ついってなんじゃついって」
「ほらほら早く行こう!!」
私は2人と手を繋ぎ先導する。
ルィン魔導学園にはルィン通りと呼ばれる、学生が自分で雑貨やアクセサリーなど様々な物が売っている商業施設が寮から南に行った所にある。約500mの長さの石畳の道が続いておりその道の脇に様々な店が並び露店だったり建物に入っているお店など様々で、お客さんは生徒と先生だけだがかなり賑わっている。
食事も学生寮で食べてもいいしこういった所で食べるのも学生の自由になっている。ただ、ここでは月に支給される学園内だけでしか使えないルーエを使って売買するので食べ放だいという訳ではない。
更にルーエでいざこざが起きないよう生徒手帳にルーエが入るようになっていて貸し借りや譲渡といった行為が出来ないようになっている。ルーエを支払う時に生徒手帳が本人か確認する認証をするので他人の生徒手帳では売買出来ない。
偽装系の魔法やスキルにも対応しており学生では太刀打ち出来ないようにしてある。
この学園に出店しているお店はその学生からもらったルーエの1.2倍のが売り上げとなる。なので学園に出店したいというお店は結構あり基本半年で店が変わって行く。
そんなこんなでたわいもない話をしているとルィン通りの入り口に到着する。
この通りは朝から夜の日が沈むまで営業しており結構店閉は店によってまばらだけど、最終的に担当の先生が最後の確認をしに来るのでそれまでには閉めるようになっている。
「さて到着したけどそのお店はどの辺りにあるのじゃユイ?」
「こっち」
ルィン通りの入り口に到着するとユイの足取りが徐々に早くなって行く。ルィン通りまでは私が導いていたのにここにきて主導権を握られてしまう。
だけど……こういうのもたまには良いかも。
そんなことを1人でにやにやしながら考えているとユイの足がピタリと止まる。
どうやらこの店らしいがどうにも店構えが甘いものが食べれそうな感じではなくむしろ水晶でも売ってそうな雰囲気だ。
「どうする?」
「入るしかなかろう」
シロネちゃんが先導して扉を開けてくれる。私とユイはシロネちゃんの小さな背中に隠れながら恐る恐る店内を見渡す。
中は意外にもしっかりと食事処っていう雰囲気で外とのギャップが凄い。
店員さんはおばあちゃんでとても優しそうな笑顔で出迎えてくれた。
私たちは席に座るとメニューを見る。
「色々あるねー」
「そうじゃのわしはこれにしようかの」
「シロネちゃん早いっ!」
「私もこれに決めた」
「ユイちゃんも!!」
私はメニューをペラペラめくり見ているがどのメニューも美味しそうで目移りしてしまいなかなか決めることが出来なかった。
「もうじれったいやつじゃのーこういう時は適当に開いて指さしたやつでも頼めばいいのじゃよ」
「なるほど」
私はシロネちゃんの提案を受けメニューを高速でめくり目をつむりながら適当なタイミングで指をさす。
「えーっと注文が、月夜に輝く光属性その味は魅力的がおひとつ、姫君は魔王につれされ早3年がおひとつ、最後に輝く雪は少女のごとく漣添えをおひとつで以上ですな」
「はい大丈夫です」
おばあちゃんが注文を受け戻って行くと1人のお客さんが入って来る。
「おーおばちゃん席空いとるかのー」
そう、学園長である。
私たちの学園長の印象はあの入学式以来なので優しさというよりも恐怖の方を先に体に植えつけられているのでどうしても一瞬反応してしまう。
「ほぅ先客がいたのかのこれは失礼した」
そう言いながら学園長は私達に遠慮してか奥の方の席に座る。
「こんにちは学園長。学園長も甘いものを食べに?」
私は恐る恐る聞いて見る。
「ほっほっほそんなに恐れずとも良いぞ。あれはいつものことじゃからの別にいつも普通にしてくれて構わんよ」
私は気づかなかったがだいぶ声が上ずっていたらしい。
「ここの甘いものは絶品じゃからのたまに食べに来るのじゃよ」
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