91 / 97
7章 魔導学園 1年生編
90話 品名
しおりを挟む「仕事放棄して大丈夫なのかの?」
シロネは少し煽るように学園長に若干強めの視線を送る。私もこの視線を受けてみたい気持ちを抑えつつシロネちゃんをテーブルの下から静止するよう手を抑える。
「ほっほっほこりゃ痛いところつかれてしまったの。まぁわしの優秀な秘書ちゃんがやってくれとるから問題ありゃせんよシロネ・ラムくん」
学園長もお返しと言わんばかりにシロネちゃんの名を口にする。学園長とはあの日以来一切面識がなくさらには顔さえ見せたこともないのに名を言い当てたのだ。
「そんなムッとした顔はせんでくれこう見えても人の顔と名前は一回見れば覚えられるってだけじゃよほらほらせっかくの甘いお菓子がまずくなるぞ」
私もこれ以上はと思いシロネちゃんの隣に席を移動させシロネちゃんの顔を私の胸にうずくめ抱きしめる。
「な!なにをするのじゃエーフ!!」
「はいすぐ喧嘩腰にならないのシロネちゃん!」
「ほっほっほこれなら大丈夫そうじゃの」
「え?……」
「はいお待ちどうさま」
学園長が言った言葉が聞き取り辛く聞きなおそうとしたが頼んだものが来たので思考はもうそっちにシフトしていた。
「美味しそうだねユイちゃん」
「うん。これは凄いボリューム」
「そろそろ離さぬかエーフ!ふぐっ」
ここでやっと私はシロネちゃんを解放する。
「うむ。どれも美味しそうじゃな」
「ほうシロネちゃん私のも食べたいのかい」
「べ、別にそうではないが……」
またこの子は……素直じゃないんだから
「ちゃんとあげるから心配しないの!ただしシロネちゃんとユイちゃんの分もちゃんともらうからね!」
「うん食べあいっこ」
「そうじゃの」
*
なんだかんだで甘いものを胃袋に入れ今日はもう夜ご飯はいらないくらいにお腹が膨れてしまった。
まさかあれで全品400ルーエとはなかなか破格だった。味も最高だったし何よりもみんなで食べれたのがほんとに幸せだった……
それからは、まだまだ閉店まで時間があるのでルィン通りを見て回ることにした。
シロネちゃんユイちゃんそれぞれちょっとした買い物がしたいらしく2人の買い物に付き合っていた。
私はとくに買いたいものがあるわけではないので見ているだけだったけど……こういうのは見てるだけでも案外楽しい。
「シロネちゃんは何買ったの?」
先に買い物を終えていたシロネちゃんに尋ねる。
「わしは体洗う用の石鹸と本を読むときに使う栞じゃの」
「本かー私そういうの苦手なの」
「読んで見ると案外面白かったりするからのおすすめじゃよ」
「今度読んでみよっかな」
「その時はおすすめを紹介するのじゃ」
ちょうどお店を見ていると隣の出店で買い物していたユイが戻ってきた。
「ごめん待たせちゃって」
「気にするでないぞユイ。わしも待たせておるからの」
「そうそう」
「エーフは何か買わないの?」
「わ、私か……今は必要なものないし良いかな……」
すると、今見ていた隣の綺麗なアクセサリーが売っているお店で足を止めてしまう。綺麗な髪飾りや手首につけるリング、指輪など様々な装飾品が売っていた。
こういった装飾品は学園の授業には持ち出せないが今日みたいに出歩く時は持ち歩いても良いし買ったものを家族に送ったりもできたりする。まぁ個数制限はあるけど……
「お、お姉ちゃんたち見ていきなさいな良いもの揃ってるよ」
優しそうな女性店員さんに言われ見ていくことにした。
「エーフも何かここで買ったらどうじゃ?」
「うーんでも私はこういうの似合わないし……」
「じゃあ私これエーフに買ってあげるよ」
ユイちゃんが花柄の髪飾りを差し出してくる。
「ちょ、悪いよユイちゃん」
「いいの日頃のお礼」
私は返そうとするが頑なに拒否するユイちゃん。
「それじゃわしはユイに買ってあげるかの」
シロネちゃんも同じようにユイちゃんに学園のマークが刻まれた指輪を選び同じように購入する。
ここまでされては私は黙っていられない。
「もう!2人共!……ありがとう!!」
2人に私はいつもより強く抱きしめる。こういう女友達を持ったのが初めてでどう接すれば良いのか分からなかったけど本当に2人には感謝してるんだから。
「じゃあおばさんこれください」
そう言って私はシロネちゃんには雪の結晶が描かれた扇子を買う。
「それと!これ3つください」
*
「それじゃまた明日ね」
「そうじゃなまた明日なのじゃ」
「うん。また明日」
女子寮の階段を上がりそれぞれの部屋に戻る。もうすっかり日も暮れてすでにお風呂にも入ったあとだ。
私は自室に戻り今日ユイに買ってもらった髪飾りを机の上に飾り3人お揃いで買った腕につけるバングルもその隣に飾る。
3重の線が螺旋を描くように交差する形をしていて中央には星が刻まれている。
今日は楽しかった。こういうのもたまには良いかもね……ただこれ買って今月はもう何も買えなさそうだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
その日から魔導修練際へ向け皆自分自身のレベルアップのため学園中のあちこちで特訓している声が聞こえるようになった。
学園は魔法やスキルを使える場所が限られているのでその場所は日々取り合いとなっている。
午前の授業も途中から座学と実技の2つになるらしく残り2月になったら座学は終わり実技だけの授業となる。
そして昨日聞けなかったウタゲ先生の魔法とスキルの発動限界について話を聞ける。本でも一応読んでは見たもののやっぱり実際に魔法やスキルを使っている異世界の人の方が現実味がある意見を聞けそうだからな。
今日は流石に遅刻はしなかったがなぜか知らないがバルトとトルスは異様に疲れていたしシロネ達は異様に席が近くなったというか仲がさらに良くなっている。エルはトレインと息が合うらしく色々魔法についてご教授を受けているらしい。
セアもこの間以降こちらに干渉はあまりしてこずいたって普通の対応に変わっていた。エルに聞いたところだと俺達平民が弱いと魔導修練際の時に足手まといになるからあんな態度を取っていてバルトの実力を見て俺達の能力を総合的に判断して決めたらしいです。
バルト以外の面々の実力はこれから測るらしいけど……まぁ問題はない。みんな強いからな。
他の貴族連中は大丈夫なのかと聞いたがセアが良いと言うなら良いらしく、エル曰く黒聖クラスに入る貴族は大概変人なのでそこらへん素直——とのこと。
意外と黒聖クラスは統率を取れているのには驚きを隠せなかった。
ちょうどその時始業の鐘が鳴り響きウタゲ先生とシェル先生が入ってくる。
「それじゃあ始めるぞー」
いつもに増して眠たそうだ。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
英雄将軍の隠し子は、軍学校で『普通』に暮らしたい。~でも前世の戦術知識がチートすぎて、気付けば帝国の影の支配者になっていました~
ヒミヤデリュージョン
ファンタジー
帝国辺境でただ静かに生き延びたいだけの少年・ヴァン。
彼に正義感はない。あるのは、母が遺したノートに記された、物理法則を応用した「高圧魔力」の理論と、徹底した費用対効果至上主義だけだ。
敵国三千の精鋭が灰燼城に迫る絶望的状況。ヴァンは剣を振るわず、心理戦と補給線攪乱だけで、たった三日で敵軍を撤退させる。
この効率的すぎる勝利は帝国の中枢に届き、彼は最高峰の帝国軍事学院への招待状を手に入れる。
「英雄になりたいわけじゃない。ただ、母の死の真相と父の秘密を知るため、生き残らなきゃならないだけだ」
無口最強の仮面メイド・シンカク、命を取引に差し出した狼耳少女・アイリ。彼は常にコスパの高い道を選び、母の遺したノートの謎、そして生まれて一度も会ったことのない父・帝国大元帥のいる帝都の闇へと踏み込んでいく。
正義も英雄も、損をするなら意味がない。合理主義が英雄譚を侵食していく、反英雄ミリタリー学園ファンタジー。
異世界では地味な俺が、なぜか神々に最愛されて無双してる件
fuwamofu
ファンタジー
平凡な高校生・桐生ユウは、女神の手違いで異世界に転生した。
チートもスキルも貰えず、冒険者登録すらままならない落ちこぼれ……のはずだった。
しかし周囲の異常な好感度、意味不明な強運、そして隠された神格スキルによって、ユウは「無自覚に全能」な存在へと覚醒していく。
気づけば女神も姫騎士も魔王娘も彼に夢中。誤解と崇拝が加速する中、ユウの“地味な日常”は世界を揺るがす伝説になっていく。
笑いあり、胸キュンあり、ざまぁありの最強(なのに本人だけ気づいてない)異世界ファンタジー開幕!
借金5億で異世界転移、よりによって金本位制の世界だった
夜明け一葉
ファンタジー
32歳の個人トレーダー・佐藤慧は、5年間の雪辱を賭けたトレードで5億円の借金を抱え、意識を失った。目覚めると、そこは剣と魔法が存在する見知らぬ世界だった。常識が通じない異世界で、金貨を見るだけで嘔吐する「金アレルギー」を抱えながら、若き冒険者リナと出会い、生き延びる術を探し始める。諦めることだけができなかった男が、新たな世界で再び立ち上がる異世界サバイバル譚。
辺境で静かに暮らしていた俺、実は竜王の末裔だったらしく気づけば国ができていた
平木明日香
ファンタジー
はるか五億四千万年前、この星は六柱の竜王によって治められていた。火・水・風・土・闇・光――それぞれの力が均衡を保ち、世界は一つの大きな生命のように静かに巡っていた。だが星の異変をきっかけに竜の力は揺らぎ、その欠片は“魂”となって新たな生命に宿る。やがて誕生した人類は文明を築き、竜の力を利用し、ついには六大陸そのものを巨大な封印装置へと変えて竜王を眠りにつかせた。
それから幾千年。
現代では六つの大国がそれぞれ封印を管理し、かろうじて世界の均衡を保っている。しかし各地で異常な魔獣が出現し、封印の揺らぎが噂されはじめていた。
そんな世界を気ままに旅する青年がいる。名はブラック・ドラグニル。三年前からハンターとして魔獣を討伐し、その肉を味わいながら各地を渡り歩く放浪者だ。規格外の実力を持ちながら名誉や地位には興味がなく、ただ「世界のうまいものを食べ尽くす」ことを楽しみに生きている。
ある日、光の王国ルミナリア近郊で王女ユリアナが大型魔獣に襲われる事件が起きる。死を覚悟した騎士団の前に現れたブラックは、その怪物をわずか数十秒で討ち倒す。彼にとっては雑魚同然だったが、その圧倒的な強さは王国中に知れ渡る。王女は自由に生きる彼の姿に心を奪われるが、ブラックは次の目的地へ向かう計画を練るばかり。
だが彼自身はまだ知らない。
自らが竜族の末裔であり、世界を再び“統合”へ導く鍵となる存在であることを。
竜の封印が揺らぐとき、自由を愛する青年は世界の命運を左右する選択を迫られる。
これは、竜の記憶と人の魂が交錯する壮大なファンタジー叙事譚である。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる