天使たちの水浴びシーン

アッシュ出版

文字の大きさ
49 / 92

49)透明人間になる能力

しおりを挟む
 「なあ、あのさア、もし超能力が使えたら何がいい?」

 学生時代に友達とそんな会話を直接交わしたことはないけれど、友達は少なかったほうでしたからね。ましてや本音を語り合える友なんて皆無。
 でもネットの掲示板とかでそんな遣り取りはしょっちゅう交わしている。

 「もし超能力が使えたらどんな力がいいか?」という質問を前にして、「手を使わずに、物体を動かす力かな」とか「空を自由に飛べる力が欲しいね」なんて書き込む成年男子はほとんど存在しないだろう。

 「時間を止める力かな」

 「相手を自分の意のままに操る力が良いね」

 「透視能力」

 だいたいのところ、そういう意見が多数派を占めると思う。どいつもこいつも結局のところ、性欲だ! スーパー能力を手に入れたとしても、そういうことを満たすことしか頭にない。
 まあ、この僕も当然、その例外なんかではないのですが。

 時間を止める能力が手に入ったら、それはもう好き勝手やり放題だろうな。そうだね、まずは可愛い女の子のあとをつけて、帰宅して、鍵を開けたところで時間をストップ・・・。

 しかしどれだけ好き勝手出来たとしても、相手は動かないわけである。それで好き勝手出来たとしても面白味なんてなくないか? 

 「死体とヤって楽しいかって話しだよ」ってわけだ。

 「どんな超能力欲しいか」スレで意見を戦わしていたら、冷静な奴からこういう意見が必ず出てくる。
 死姦最高派はさすがに少数派だったと思う。そこまでこの国も荒んではいない。

 というわけで僕は却下だな。時間を止める能力はいらない。

 相手を意のままに操る力も、僕の性癖と照らし合わせてみるに何か物足りないものがある。
 僕は基本的にマゾタイプだと思う。支配したい欲っていうのが皆無ってわけではないのだけど、そればっかりだと何だか面白みに欠けて。

 まあ、しかし相手を操るにしても、居丈高にやるのではなくて、下手に出ないと操られないなんて設定だとして。
 土下座したり、泣き落とししたら嫌々言うことを聞いてくれるっていう設定ならば、ありはありかもしれない。それならば、自分にぴったりだ。

 「透視能力」はありだ。内臓を見て楽しいのか、なんて突っ込みはありえない。透視能力は何段階か調節出来る機能がついているはず。

 しかし裸の人間たちがウロウロしている光景、それは本当に愉快な世界なのだろうか。
 ヌーディストビーチなるものにワクワクしたのはせいぜい思春期まで。大人になってからは、もうそんなものに惹かれはしないってわけでもないのだけど、見たくないものまで飛び込んでくるわけで。

 それにだ。透視能力を得るというのは、街中に裸の人間が溢れるということだと思うのだけど、そこにあるのはただ単に裸の人体で、官能的な裸体とは一線を画しやしまいか。
 何より所詮、見るだけ。世界に何ら働きかけることは出来ない。それも不満足だ。
 どうせならば触りたいはずなのだ。
 というわけで、透視能力程度では妥協出来ないね。

 ってなると、僕は圧倒的に透明人間になる能力、それが欲しいなあ。
 「冬は厳しくないか?」なんて意見が出てくる。透明人間になれるけど、毎日、風邪気味。
 夏でも裸は嫌だ。裸足だと足の裏を怪我するかもしれない。

 しかしそれは透明能力に対する先入観だろう。持ち物や洋服は透明には出来ない。透明になれるのは身体だけという。途中で透明になる能力が切れたら、裸で街の真ん中に放り出されるというオチ。
 それは古典時代の透明人間観である。最新の透明人間事情は変わったのだ。斬新に進歩している。
 つまり、「透明になれるスーツ」を着れば透明になれる案が提出され、その突っ込みは無と化したのだ。
 そのスーツは超最先端の光学システムを搭載していて、そのテクノロジーが透明人間を可能とするのである。
 それによって寒さという大敵を撃退することが出来た! 

 さて、そういうわけで、今の僕はある意味、そんな透明人間的存在と化して、この現場をうろつき、好き勝手に美咲ちゃんをカメラで撮影するという作業に集中しているわけだ。
 まあ、実際のところは僕の行動は丸見えで透明とは程遠いけど、気分はそういう感じだということ。

 というか羞恥心をなくすために、透明人間になったという自分をイメージしているってほうが近い。
 僕は透明人間になった気分で、もう一つのカメラを前にポーズを決めている美咲ちゃんの背後に回り込み、机の下の死角に隠れながら、彼女の身体を煽り気味に撮影する。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...