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55)聴診器を持つ指が胸に触れる寸前
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「はい、じゃあ、今日の撮影はこれで終わりです」
このあまりに衝撃的なセリフを担当者さんが唐突に言ってきたのは、ナース姿の美咲ちゃんが聴診器で、ゆかりちゃんの心臓の鼓動を聞いているシーンでだった。
ゆかりちゃんは体操着をたくし上げて、胸部を露出させている。
もちろん下着なんかではなくて、それはただの水着であるわけであるが、柔らかそうな胸の谷間はそれなりに露出しているし、何よりも自分で服をたくし上げて、乳房を差し出すようにして曝す行為は、かなり刺激的な光景だ。
聴診器を持つ美咲ちゃんの指が、ゆかりちゃんの胸に触れる。
別に指示なんて出していないのだけど、けっこう大胆に美咲ちゃんはゆかりちゃんの胸を触ってくれる。
ゆかりちゃんは照れたように顔を赤らめ、くすくすと笑っている。
「皆さん、お疲れ様です。今日はこれで終わり、明日頑張りましょう」
こんなに楽しいシーンを撮影中に終わりを言い渡されたのだ。僕の衝撃のデカさを理解していただけるだろうと思う。
まだこのシーンをちゃんと撮り終えたとは言えない。とても中途半端なところだ。まだまだこれから注射器が登場したりするのに。
「じゃあベッドに横になって下さい」
美咲ちゃんは言うはずだった。
「念のため注射しておきますからね。お尻を出してください」
うつ伏せになったゆかりちゃんのブルマをずらして、お尻を剥き出しにして、そこに注射器するというシーン。
え? そのシーンも無しなんですか?
「なしです!」
そもそも二日連続で撮影することにはなっていた。
今日中に撮り終えられなかった分を明日に回すことになるのは念頭にあったのだけど、しかし明日には明日の予定があり、持ち越すとしても限界があって、今日の予定は全部こなしたかったのは当然のこと。
とはいえ、これは僕にとって生まれ初めての撮影なのだから、少しくらいのスケジュール押しは融通してもらえると思っていたり、いなかったりで。僕に甘えがあったことは事実だろうけど。
「とりあえず一旦は、終わりですね」
「一旦は」というところに、僕はアクセントを置く。
「終わりです。だから言ったじゃないですか、全然スケジュール通りに運んでいないって。このシーンでも何度も撮影し直していましたよね?」
「はい、良い作品を作りたいんです。わかりました、明日、巻き返します! それはもう驚くべきスピードで撮影していきますね」
「そうして貰わないと困りますよね」
「はい、しかし細部のこだわりも捨てられないことは確かで」
こんな機会はもう二度とないだろう。この撮影に全ての夢をぶち込むんだ、と僕は意気込んでいる。それは全てのスタッフさんたちにも伝わっているだろう。
みんな、それに応えて頑張ってくれているんだ。撮影はとても好調だった。
「何度も撮り直したりしてたら、それでは一向に完成しないですよ」
「そういうもんなんですね」
「とにかく今日は終わりです。スタッフたちも疲労困憊です。女の子たちも夜まで仕事させられない。今日はここでスパッと終わり」
「仕方ありません。あともう五分だけ撮影して終わりにしましょう」
「駄目です。もう終わったんです」
担当者さんは断固とした口調で言う。もう取り付く島はなさそうだった。
「明日、日の出と共に撮影開始ってことになりますから」
「わかりました。今日はこれで終わりにしましょう」
今夜は眠れそうにない。眠ってしまったら、明日起きれそうにないから。
身体は疲れ切っている。それよりもメンタルが疲労の極地にある。
しかし眠りたくない。このまま最後まで突っ切りたかった。
今、僕はこの現場を自分の手で掌握しているという手応えを感じている。
ようやく辿り着いた境地なんだ。
色々と失敗したり、恥をかいたりしてきたけど、ようやくいっぱしの監督として認められ始めてきたのに。
とはいえ、本当に終わってしまったようだ。もうスタッフさんたちは撤収の準備に入っている。
きっとそれにはそこそこの時間が必要で、撮影が終了した瞬間に彼らは帰れるわけでもないだろう。
美咲ちゃんとゆかりちゃんも控え室に向かってしまった。「今日は終わり」という言葉を聞いて、二人の表情から緊張感がスッと抜けたようである。もはやカメラの前に引きずり出せるような雰囲気ではなかった。
今日は終わりだ。
なんだかとても寂しいのだけど、それを受け入れないわけにはいかない。
でも明日がある。
このあまりに衝撃的なセリフを担当者さんが唐突に言ってきたのは、ナース姿の美咲ちゃんが聴診器で、ゆかりちゃんの心臓の鼓動を聞いているシーンでだった。
ゆかりちゃんは体操着をたくし上げて、胸部を露出させている。
もちろん下着なんかではなくて、それはただの水着であるわけであるが、柔らかそうな胸の谷間はそれなりに露出しているし、何よりも自分で服をたくし上げて、乳房を差し出すようにして曝す行為は、かなり刺激的な光景だ。
聴診器を持つ美咲ちゃんの指が、ゆかりちゃんの胸に触れる。
別に指示なんて出していないのだけど、けっこう大胆に美咲ちゃんはゆかりちゃんの胸を触ってくれる。
ゆかりちゃんは照れたように顔を赤らめ、くすくすと笑っている。
「皆さん、お疲れ様です。今日はこれで終わり、明日頑張りましょう」
こんなに楽しいシーンを撮影中に終わりを言い渡されたのだ。僕の衝撃のデカさを理解していただけるだろうと思う。
まだこのシーンをちゃんと撮り終えたとは言えない。とても中途半端なところだ。まだまだこれから注射器が登場したりするのに。
「じゃあベッドに横になって下さい」
美咲ちゃんは言うはずだった。
「念のため注射しておきますからね。お尻を出してください」
うつ伏せになったゆかりちゃんのブルマをずらして、お尻を剥き出しにして、そこに注射器するというシーン。
え? そのシーンも無しなんですか?
「なしです!」
そもそも二日連続で撮影することにはなっていた。
今日中に撮り終えられなかった分を明日に回すことになるのは念頭にあったのだけど、しかし明日には明日の予定があり、持ち越すとしても限界があって、今日の予定は全部こなしたかったのは当然のこと。
とはいえ、これは僕にとって生まれ初めての撮影なのだから、少しくらいのスケジュール押しは融通してもらえると思っていたり、いなかったりで。僕に甘えがあったことは事実だろうけど。
「とりあえず一旦は、終わりですね」
「一旦は」というところに、僕はアクセントを置く。
「終わりです。だから言ったじゃないですか、全然スケジュール通りに運んでいないって。このシーンでも何度も撮影し直していましたよね?」
「はい、良い作品を作りたいんです。わかりました、明日、巻き返します! それはもう驚くべきスピードで撮影していきますね」
「そうして貰わないと困りますよね」
「はい、しかし細部のこだわりも捨てられないことは確かで」
こんな機会はもう二度とないだろう。この撮影に全ての夢をぶち込むんだ、と僕は意気込んでいる。それは全てのスタッフさんたちにも伝わっているだろう。
みんな、それに応えて頑張ってくれているんだ。撮影はとても好調だった。
「何度も撮り直したりしてたら、それでは一向に完成しないですよ」
「そういうもんなんですね」
「とにかく今日は終わりです。スタッフたちも疲労困憊です。女の子たちも夜まで仕事させられない。今日はここでスパッと終わり」
「仕方ありません。あともう五分だけ撮影して終わりにしましょう」
「駄目です。もう終わったんです」
担当者さんは断固とした口調で言う。もう取り付く島はなさそうだった。
「明日、日の出と共に撮影開始ってことになりますから」
「わかりました。今日はこれで終わりにしましょう」
今夜は眠れそうにない。眠ってしまったら、明日起きれそうにないから。
身体は疲れ切っている。それよりもメンタルが疲労の極地にある。
しかし眠りたくない。このまま最後まで突っ切りたかった。
今、僕はこの現場を自分の手で掌握しているという手応えを感じている。
ようやく辿り着いた境地なんだ。
色々と失敗したり、恥をかいたりしてきたけど、ようやくいっぱしの監督として認められ始めてきたのに。
とはいえ、本当に終わってしまったようだ。もうスタッフさんたちは撤収の準備に入っている。
きっとそれにはそこそこの時間が必要で、撮影が終了した瞬間に彼らは帰れるわけでもないだろう。
美咲ちゃんとゆかりちゃんも控え室に向かってしまった。「今日は終わり」という言葉を聞いて、二人の表情から緊張感がスッと抜けたようである。もはやカメラの前に引きずり出せるような雰囲気ではなかった。
今日は終わりだ。
なんだかとても寂しいのだけど、それを受け入れないわけにはいかない。
でも明日がある。
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