餓鬼の操者

assult

文字の大きさ
10 / 16

餓鬼

しおりを挟む
「血ノ…匂イ…」

「餌ノ匂イ……」

秋月の脳裏に餓鬼の声が響く

「なに?」
秋月は餓鬼と意思疎通を図ろうとする。

「森…中…餌…」

「森へ行けと?」

「アァ…」

「わかったよ…」
どうやら餓鬼には弱った獲物の匂いを見つける能力があるようだ。
秋月は森へ向かった。
しばらくすると倒れている人を見つけた。

「暁吾くん!!」

暁吾は少しずつ傷は治ってきているものの、依然体はぐちゃぐちゃだ。

「釣れた…」
その場には黄泉島がいた。ニヤリと笑う。

「釣れたってどういうこと…?暁吾くんの傷は黄泉島くんがやったの?」

「お前も今、そうしてやるよ」

黄泉島から伸びる影糸は秋月の背後へ抜けていた。つまりは秋月の背後にガシャドクロがいると言うことだ。

それを察知し秋月は巨大化したガシャドクロの初撃をかわす。

「デカい…なにコイツ…」
ガシャドクロを見た瞬間体が震える。
本能が逃げろと言っているのだ。

ガシャドクロが左腕を振り上げる。秋月は腰が抜けて動けない。

「あ……死んだ……」

バシィィイ!!
確実にガシャドクロの左手は秋月に当たったはずだった。

しかし痛みも殴られた感覚もない。

目を開くとガシャドクロの左腕が炎上している。
いや、左腕が炎に変わっている。

「熱い…熱い…なんだこれは!!」
ガシャドクロは暴れ回る。

右腕のパンチが飛んでくる。

今度こそヤバいと思ったその瞬間、餓鬼が飛び出して右腕に噛み付いた。

ブォォオオオオ!!
ガシャドクロの右腕も燃え上がる。

徐々に炎はガシャドクロの全身を駆ける。

ガシャドクロは地面に倒れ込む。

ドォォォォオン!!
物凄い音が響き渡る。

「これが私の…餓鬼の能力……」

餓鬼は黄泉島へ向かって走る。

「やめて餓鬼!!」
秋月はそれを静止する。

「黄泉島くんはきっと取り憑かれて…」

ガシャドクロの炎が消えると、骨格が所々欠損し、もう動けそうに無かった。

秋月は黄泉島に駆け寄る。

「黄泉島くん大丈夫?」

黄泉島は気を失っていた。

暁吾の傷はほとんど治り、目を覚ました。

「ガシャドクロは僕の影糸を切らなかった…なぜトドメを刺さなかったんだ…?」

「きっと黄泉島くんの人格が止めてくれたんじゃないかな」
秋月は微笑みながら言った。





しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...