短編集

jun( ̄▽ ̄)ノ

文字の大きさ
17 / 31

由美の脳内彼氏カード3

しおりを挟む
「えっと……どれにしようかな」

 カード5枚を取り出しサラっと見比べる由美。すると選ぶ時は慎重にね! なんて事を女から言われたので聞き返す。

「慎重?」

「そうだよ、誰がどういう性格とか、誰が性格のいい男子とか、そういうのはわからないからねぇ。引いてみないとわからないからね」

「えぇ……それって困るんですけど……性格の設定とかないんですか?」

「甘い巨乳ちゃん、そんなモノあるわけない。現実と同じだよ、同じ」

「現実と同じ?」

「そうそう、いいなぁと思って選んだ男子がゲスとか外道とかよくある話。特に見た目で選ぶと後悔することは多いよねぇ」

「そんな……」

 由美はカードを見比べて思う。どうせならイケメンを選びたい。イケメンこそ正義、ブサメンなんかアウト・オブ・眼中! と言いたい。しかし今の女の注意を聞くと……イケメンは選ばない方がいいのかなぁと考えさせられる。

(いや……でも……ブサメンだから性格がいいとは限らないとも言う。ブスは性格もブスで結局は美人の方が上って話と同じで、男だってイケメンだから性格が悪いとは限らない。そしてブサメンだから性格がよくて優しいとは限らない)

「悩んでいるねぇ巨乳ちゃん」

「だ、だって顔を見ただけで判断するなんて」

「ん……でも現実だって同じだよ。話をしたからってすぐさま相手を理解できるわけじゃない。なのに熱くってこの人なら! と即決めしたら地獄行きってよくある話だよ、特に女の子はねぇ」

「じゃぁわたし不幸になるんですか?」

「どうだろう……だけどまぁ……相手を選び損ねて転んでも、やり直しが効くうちに再起するっていうのが幸せへの切符だよ。それができないなら不幸になる女だったと諦めたらいいだけのこと。そういう練習をすると思えばいいんだよ、彼氏カードは」

(ん……)

 どうするか、由美は最後に思いっきり悩んだ。妥協してブサメンは性格がいいという可能性にかけるか、それともやっぱりイケメン、そしてイケメンだから性格が悪いとか偏見だし! という思いにかけて熱暴走するか。

「じゃぁ、これ!」

 結局、由美が選んだのはイケメンだった。

「だよねぇ、顔がいいとすべてが正義だもんね」

 女はクスっと笑うと由美にそのカードをくれてやったが、オマケと称して小さな袋を差し出した。その中には塩が入っているのだという。

「塩?」

「もし、その彼氏が巨乳ちゃんを傷つけるような事をしそうになったら、あ、これはヤバいかも! とか思ったらその塩をかけたら、相手はナメクジのように消えてなくなるから」

「えぇ……」

「ま、恋愛の練習とか思ってがんばって」

「これ、どうやって呼び出すんですか」

「そのカードを右の人差し指でピーン! っと弾き飛ばしたら現れるよ」

「名前は?」

「巨乳ちゃんが好きな名前を付けてあげたらいいよ」

 かくして由美はイケメンカードを手に入れCカップの胸をドキドキさせながら急ぎ足で自宅へ戻ろうとする。しかし逸る気持ちを抑えるなんて若者にはできないこと。足取りが途中に方向転換となり、とある公園にたどり着いていた。

「名前……何にしようか……」

 由美はニヤニヤしながら少しだけ考えた。男臭い名前なんて萌え度が低すぎる。男でも女でもイケるような名前にしてみたらどうか……と。

「そうだ、葵にしよう、葵と由美、いいじゃん!」

 えへえへとやりたいのを必死にこらえながら、言われた通りカードを人差し指ではじいた。すると不思議なことにクルクルっと空中で回ったカードが光って、そこからイケメンの男子が姿を現したのである。

「ん!」

 由美のCカップってふくらみがドキン! なった。推定年齢17歳くらい、でもって女子なら誰もが腰砕けになるイケメン、無地のホワイトTシャツに上に爽やかなブルーのストライプシャツ、下はブラックのボトムスとかいう感じで、髪はシルバーパープルという色合いのショートヘア。

「きみがおれを呼んでくれたんだ?」

 甘く弱い生命体だから守ってあげなきゃ! と女に思わせるような声で葵が言うと、由美は両頬をトマト色に染めて目がポッとなる。だから相手が近づいてきてドキドキしても、ステキな金縛りで動けないことを良しとする。

「きみ、名前は?」

「ゆ、由美……」

「由美かぁ……なんてていい名前なんだろうって思うよ。女の子のかわいさとか優しさとかさ、そういうのをすべてギュウっと詰め込んだ……そんなステキな名前が由美なんだと思うよ」

「ぅ……」

 それはまるで白昼の公園においてなされるホストクラブでのやりとりみたいだった。でもそれは確実に由美の胸をがっちり掴むモノでもあった。

「由美、おれは……おれの名前は……」

「葵」

「由美が付けてくれたんだよな?」

「そ、そうだよ」

「ありがとう……おれはこの世で一番シアワセな男だ」

「そ、それはよかった……ね」

「由美、地球ができてたしか46億年らしいけれど、それはものすごい時間だけれど……でもそれを経ておれと由美は出会ったんだよな。46億年目にしておれと由美はこうして見つめ合っているんだ、感動的だよな」
 
 葵のクサいセリフはふつうとかふつう以下の男が言えば恥ずかしくて耐えられないモノ。だがイケメンがいうと女子の胸には深く深く染み込むのであった。これもまたイケメン正義の成せるワザというところ。

 こうして2人は手をつないで歩き出した。他人には見えないが、由美にとって葵は確かな存在であり、女子とはちがう質の手を持った生命体にして彼氏だったりする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。 漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。 陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。 漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。 漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。 養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。 陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。 漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。 仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。 沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。 日本の漁師の多くがこの形態なのだ。 沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。 遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。 内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。 漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。 出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。 休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。 個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。 漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。 専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。 資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。 漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。 食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。 地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。 この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。 もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。 翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。 この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

名称不明なこの感情を表すために必要な2万文字。

春待ち木陰
青春
 高校一年生の女の子である『私』はアルバイト先が同じだった事から同じ高校に通う別のクラスの男の子、杉本と話をするようになった。杉本は『私』の親友である加奈子に惚れているらしい。「協力してくれ」と杉本に言われた『私』は「応援ならしても良い」と答える。加奈子にはもうすでに別の恋人がいたのだ。『私』はそれを知っていながら杉本にはその事を伝えなかった。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

処理中です...