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由美の脳内彼氏カード4(ファイナル)

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「おはよう」

 今日、由美は表向きいつもどおりに学校へと到着した。しかし心の中はひたすら浮ついており、彼氏たる葵の事しか考えられなかった。

 葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵、葵……と、もはや思考個所のあらゆるところが葵という文字で埋め尽くされており、葵のない隙間は存在しないような感じで、葵のことを考えずにいられる冷静な時間は20秒くらいしかない感じだった。

「由美、今日はうちでゲームやらない?」

 学校が終わると真央が誘った。しかし彼氏の事ばかり考える由美にとってみれば、友人の誘いなんていうのはほんとうにどうでもいい事でしかない。

「行かない、今日はひとりで過ごしたいから」

「えぇ、なんか冷たくない? 今日の由美ってなんか少し変じゃない?」

 真央が絡みつこうとすると、うぜぇな! と思う由美、何かしら悟ったみたいな面持ちでつぶやくのだった。

「真央」

「な、なに?」

「人間いつかは大人にならなきゃいけないんだよ。いつまでも子供ではいられないんだよ」

「へ?」

「おたがい大人になってシアワセになろう、じゃぁ!」

 言い終えた由美が足早に教室から出ていく姿を見送るとき、真央は思わずこぼしてしまった。由美が大人って……どこが? などと。

 家に帰った由美、大急ぎで自分の部屋に舞い込むと帰りを待っていた葵と何十年ぶりみたいな勢いで再会、そして赤い顔をしながら葵にギュウっと抱きしめられたりする。

「由美、さみしかったよぉ、さみしくてつぶれてしまいそうだったよ」

「わたしも葵の事ばかり考えて死にそうだったよ」

 由美、実を言うと昨晩は一睡もしないで部屋で葵と語り合った。ふつうなら寝不足でヘロヘロになるはずがならない。まるで脳から危なっかしい脳内麻薬が放出されてしまったかのごとく元気いっぱいだったりする。

「じゃ、じゃぁ……ちょっとだけ、すぐ終わるから……今だけっち向いていて」

 着替えようと思った由美、そう言って葵に背中を向けほっこり顔でブレザーのボタンを外そうとする。

「んぅ?」

 とつぜん由美が両目を大きくして驚いたのは、後ろから葵が甘えるように抱きついて来たからだ。両腕を軽く首の辺りにかけ密接してきた。

「あ、葵……どうしたの?」

「由美……おれたちって出会ってもう1日が経過したんだよな?」

 葵が切り出すと、由美は一瞬反応に困った。1年が経過したんだよな? だったらなんとなく感じ取れるが1日だったらなに? としか思えなかったせいだ。しかし、もしかすると葵は何かユニークな事を言ってくれるのかもしれないと期待し、まろやかスィーツみたいな声で言い返す。

「そうだね、もう1日が経過したんだよね」

 由美は顔を赤くし、さぁ葵はなんて言ってくるのかなぁとうっとりした目でCカップの胸をドキドキさせる。

「だったら由美……乳揉みさせてくれよ、由美の巨乳なおっぱい……触りたい」

 葵はそう言うとグッと自分の体重を由美に押し付けるよう密接度を強めた。

「お、おっぱい? ま、まだダメだよ、そんなのまだダメ!」

 由美、まったく予想していなかった事を言われてつまづいたかのごとく戸惑う。そして焦りながら顔を下に向ける。

「なんで? なんでダメなの? おれは由美が好きなのに……由美もおれを好きだと言ってくれるのに、なんで由美のおっぱい触ったらダメなの? 由美のおっぱい……大きくてやわらかそうって、触ってみたいって恋焦がれたらダメなの?」

 葵の声はどこかしたたかな甘えん坊モードに聞こえた。つまり元々甘えん坊な男子が格好良さを解除して純情な声というよりは、由美に漬け込むために甘えん坊をやっているというイヤらしい男の声という感じだった。

「だ、ダメって言わないけれど……でも……」

「でも?」

「そ、そういうのは愛情が育ってからでないと」

「愛情はもうあるじゃん、ちがうの?」

 葵の手が後ろから乳揉みしたいと訴えるような動きに入る。ブレザーのボタンを外そうって流れに入った。

「だ、ダメだってば!」

 由美、たまらず左腕をつよく動かす。そうすると左肘が葵の土手っ腹に強烈な一撃としてぶちかまされる。

「あぅ!」

 これにはさすがの葵もたまらないとなり由美が自分から離れることを許してしまう。そして由美から、いきなり人のキモチを裏切らないで! と言われたら、ぐぅっと怒りに満ちた顔になり、由美に強烈なビンタをかますのだった。

「ふざけんじゃねぇ、バカやろう!」

 葵が叫ぶ、そしてビシー! っと強烈なビンタが由美の頬にかまされた。

「はんぅ!」

 ビシーっと熱い激痛を頬に感じた由美、クゥっと顔をしかめながら部屋の隅っこに逃げてから言った。なんでこんな事をするの? と。

「それはこっちのセリフだぞ由美、付き合うとは愛があるってことだ、愛があるから女の乳を触りたいとこっちは思うわけで、それの何がいけない、言ってみろよ、何がいけないんだ!」

「え、葵……急にキャラが変わって……」

 由美がジンジンと痛い頬を抑えながらショックを受けると、やれやれとあきれながら葵は言うのだった。

「由美よぉ、おれは元からこういうキャラだ」

「え、だって昨日に初めて出会った時はもっとロマンティストだったのに」

「当たり前だろう、最初の印象が悪かったら女と恋愛なんかできないだろう。それくらいわかるだろう、仮にも中2の女っていうのなら」

「だ、だけど、葵がわたしのおっぱいを触りたいとか真剣に思ったとしても、いきなり応じられるわけがない。そういうのは時間かけて愛情を育ててから」

「あのさぁ、由美さぁ、それっていつだよ、何年後だよ、そんなの願いが叶うまでタダ働きするようなものだろう、金が入らないのにがんばる底辺ユーチューバーの努力みたいなモノだろう」

「だ、だけど……恋愛するならそれが礼儀……」

「ぷっ、礼儀……由美さぁ、もうちょい頭をやわらかくしろよ。学んでから経験するって考え方もあるけれど、先に経験してから学んで行くって考え方もあるだろう、それをやろうぜ」

「やだ……昨日知り合ったばかりなのに……」

「げぇ、由美ってダサい女。いいか、この世には出会ったその日に結婚するカップルだっているんだぞ。むずかしい事を考えるのはとりあえずセックスしてからってカップルも多いんだよ。だったら、おれらもそうしよう。なんでおれと由美だけ立派な考えで面倒くさい愛情の育みとか回り道をしなきゃいけないんだよ」

 いま、葵は見た目も何も変わっていないのに……いきなり別人にしか見えなくなっていた。昨日の出会い、そして昨晩ずっと語り合ったという過去の姿や顔が真っ赤なウソにしか見えず、由美はその変化に再びショックを受ける。

「あ、葵……葵ってそんな男だったの?」

「そうだけれど? おれに言わせれば、由美はいったいおれをどんな目で見ていたんだ? って話になるんだけどな」

「そ、そんな……それって極端に言えば……葵はわたしのおっぱいしか見ていなかったみたいな話しになるんじゃないの?」

「そうだけれど? なにか?」

「え、えぇ……」

「由美って中身はガキっぽいけれど、まぁ乳はデカイ方だからそれを味わってみたいなぁ思った。だからまずは気に入られるようにしよう昨日から1日精いっぱい努力したんだ」

「たった1日で努力とか……」

「由美、あきらめろよ、今から愛し合おうぜ、やさしくするからさぁ。おれが味わってキモチいいと思ったら、それなら由美の巨乳だって価値が生まれるってモノだろう」

 葵の顔がもはやイケメンではなく野獣みたいに見える。なぜ最初からそれを見取れなかったのかと由美は自分を反省したくなる。

(そ、そうだ……)

 由美、ここでハッと思い出す。塩、ブレザーのポケットに入れていた塩、それの入った小袋を葵に向けて投げつけた。

「ん?」

 葵は一瞬は何かと思った。だが袋の中からパーっと白いのが見えたとき恐怖する。塩! と青ざめるが逃げる余裕がなかった。

 ドバ! っと、突然にデカくなった袋から大量の塩が出て葵のおへそ辺りに当たる。そしてそれが床にドワーっと大量に流れ落ちるとき両足にたっぷりかかって葵に異変が生じる。

「うぁぅ……」

 葵の両足がドロドロっと溶け出し消えていく。まるで葵、ガクっとバランスを崩すとドロドロになっていく下半身のせいで床に倒れる。ジュルユルっと溶けて無くなってく下半身という衝撃的な展開にショックを受けながら、部屋の隅でガクガク震えている由美に恨めしそうな目を向ける。

「おのれ……由美……」

「ひぃぃぃ! 来るな、近寄るな!」

 由美、真横にある本棚から色々手に取って葵に投げつける。葵は床にどっさりある塩にまみれたので、上半身のすべてが溶けて消えそうになっているが、それでもなんとか由美に近づこうと這いずる。その絵面、もはや恐怖でしかない。

「く……由美……」

 ドロドロに溶けていく、もはや腕が消えつつあるから葵は動けなくなり、顔面も泡立ちの中で消去されていく。だがその中で葵は最期に言い放った。

「ゆ、由美……お、おまえが……おまえがおれを選んだんだろうが……お、おれを選んだからおまえはおれに求められるんだろうが……く、くそ……」

 こうして葵の姿は完全に消えてなくなった。部屋の中央には大量の塩が散乱し、部屋の隅っこではかがみ込んで気絶した由美の姿があるだけだった。
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