息吹アシスタント(息吹という名の援護人)

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195・息吹争奪戦(巨乳ばっかりのバトル大会)11

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195・息吹争奪戦(巨乳ばっかりのバトル大会)11


「息吹……」

 リディエは痛み収まらない方の目を抑えながら、突然に出現した本命の人に顔を赤くする。

「だいじょうぶだ、おれに任せておけ」

 そんな3人のやり取りを見て男たちは腹を立てた。おまえはその女の彼氏か? と聞いたら、息吹が答えるより先にグチグチ言い出す。

「くっそぉ、こんな美人ですごい巨乳って彼女を持って、自分ひとりだけ人生を楽しみやがって。おれらはおまえみたいな男はマジで気に入らねぇ」

 言った男たち、それぞれに武器を手にする。ナックル、チェーン、ナイフ、トゲ付きのバットなどなど凶悪そのもの。

「だったらおれはこれで応戦しよう」

 息吹、どこからともなく出した木刀を持って構える。その姿を後ろから見てリディエはおどろいた。

(まったくスキがない……空間を埋め尽くすような……なんて見事な……)

「このクソ野郎をぶっ殺して巨乳をゲットするぞ!」

 男たちの中の一人が叫んだら、大勢が息吹に向かっていく。

「ゲットするとか言う前に入院してきやがれ!」

 息吹の木刀がうなる。舞うように、踊るように、華麗に流れるように、そんな動きの中で木刀が振られる。一見すると軽いようだが実は非常に重たく、戦うなら腕の一本は捨てる覚悟が必要。

 ギャー! と悲鳴を上げながらバッタバッタ倒れていく男たち。もし息吹が真剣を使っていたら体のパーツが地面に転がっているだろう。

「動くな!」

 ここで残っていた一人がリディエを羽交い絞めにした。

「この巨乳がどうなってもいいのか? おまえ、彼氏なんだろう? だったら女のために武器を捨てて、おれの命令に従え」

 男、歯ぎしりするリディエの巨乳をスポーツブラの上から揉む。

「うほ! このボリューム、このやわらかい揉み応え、これって人類史上最強の快感だろう」

 ハハハと勝ち誇ったように笑いながらイヤがるリディエに後ろからグッと密接する男。それを見た息吹、気合とともに空高くに舞い上がる。そして太陽を背に男に向かって叫ぶ。

「さっき言っただろう、女をゲットする前に入院しろと。だからおまえは入院するんだよ! 行け、青龍!」

 空中より地上に向かって放たれたのは必殺のブルードラゴン。

「青いドラゴン!?」

 リディエを羽交い絞めにしていた男はギョッとした。まともに食らったらヤバいだろうって事がヒリヒリ伝わるせいだ。しかしすぐニヤッとしてリディエの背面でちょっとばっかしかがむ。

「この巨乳を盾にすれば良し! いいのかよ、自分の女に直撃させたりしてもいいのかよ!」

 男はまっすぐ向かってくるドラゴンを見て、自分は大丈夫、直撃させられる女は気の毒にな……と思いながら声高く笑う。

(……)

 リディエ、向かってくるドラゴンをおそろしいと感じつつ……なんて美しいと心奪われたりもしていた。それは昼間の明るさに溶け込む極上のアートみたいだと思ったりもした。

「小手返し!」

 ここで息吹がそう叫んだ。するとどうだ、リディエに向かっていき激突すると思われたドラゴンが急にグルっと回転上昇へ切り替わる。

(あぁ……なんて……きれいな……)

 リディエ、間近に見るドラゴンをうっとり目で見た。それは自分を避けるように急上昇したと思ったら、さらにグルっと階転しながら落下。リディエの後ろに隠れている男の背中をとらえる。

(や、ヤバ……)

 男、絶望的な恐怖が背後を覆ったように感じた。だがどれほど素早く動くとしても間に合わないモノだった。

 ドーン! と生じるはげしい音。背中にドラゴンをまともにくらった男の手からリディエが離れる。

「おっと」

 息吹、よろめき倒れそうになったリディエを受け止める。それと同時に口から少量の血を流し気を失った男がばったりと倒れた。

「これで一見落着……だよな?」

 周囲を見渡し残党がいない事を確認する息吹。それからリディエを離すと、大丈夫だったか? と気遣う。

「い、息吹……助けてくれて……感謝……」

 真っ赤な顔のリディエ、スポーツブラオンリーって上半身にシャツをまとってボタンを綴じる。

「いや、この辺りは基本物騒だから女性が一人で歩くのはよくない。ああいうやつらがいっぱいいるからな」

 以後は注意するようにと息吹は続けようとした。するとリディエ、赤い顔というのをずっと続けながら言う。

「ここら辺が物騒なのは知っています。だから自ら来たのです」

「なんで?」

「ここに転がっているような輩なら、戦って打ちのめしても世間は気にしないでしょう? だからトレーニングになると思って。ただ、予想外の人数になって焦ってしまいました。息吹に迷惑をかけてしまいました、申し訳ありません」

「い、いや……別に大した事はないのだけど……」

「わたしリディエはこの件で確信しました」

「確信? なにを確信したと?」

「わたしと息吹は結ばれるにふさわしいと感じたのです。だから絶対に息吹と結婚するための大会に出て優勝します」

「あ、いや……その……」

 息吹、あの大会は御手洗団子が勝手に決めたモノだから本気にしないでもらいたいと言いかけた。だがリディエの赤い顔と真剣な目を見ると、冗談で笑い飛ばすのが憚られてしまう。そこで別の言い方で諦めさせられないモノかと試みる。

「な、なぁリディエ」

「なんですか?」

「いや、世界にはおれよりもっといい男がいっぱいいるはずだと思うけど……」

「息吹」

「は、はい……」

「わたしは日本が好きなのです。空手に格闘とかいうのも日本が好きだからやっている事です。その好きな日本でいい男性を見つけて結婚したいと思うようになっていたとき、息吹と出会ったらこれはもう運命だろうと思うわけです。いけませんか?」

「あ、いや……前に言わなかったっけ? おれ、一度死んで復活した男。死んだのはホストとして客の女に刺されたから。でもまぁ、仕方ない。なぜなら生前のおれは数多くの女とセックスして泣かせてきたから。うん、おれってゲスなんだ。リディエにホレられるような男じゃないんだ」

 これで嫌われるだろうと思った。しかしリディエの真剣な表情に変動というモノは生じない。

「息吹、重要なのは現在であり未来です。いまの息吹からはゲスという感じがしません。むしろ崇高という感じがします。それは今のすべてで真実。それともなんですか、息吹には誰か好きとか付き合っている女性がいるのですか?」

 そう言われたとき、適当な事を言って済むなら言っちゃおうかなとか思ったが、絶対話がこじれるだけになるだろうなと思うしかできなかった。

「では、わたしはまだまだ特訓とかしたいので」

「そ、そう……」

 リディエがバッグを肩にかけ立ち去ろうとする。だがちょっと歩いて振り返ったらテレくさそうな顔で息吹に言った。

「息吹」

「なに?」

「新婚旅行はフィレンツェとか……いいかしれませんね」

 言ってクスっとやったリディエからは、もう息吹の妻になったような感じがうっすら見えそうだった。そんなリディエの後姿を見送りながら、息吹は頭をかきながらつぶやかずにいられない。どうなるんだよこれ……と。
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