76 / 127
76・21世紀の超怖いホラーハウスへ行こう3
しおりを挟む
76・21世紀の超怖いホラーハウスへ行こう3
「光、左をちょっと見て……で、どんなのかちょっとだけ語って」
「え、気になるわけ?」
「ま、まぁ……」
「怖いもの見たさですか」
ここでわたしは足を止めると、左側窓の前に立って中を見る光に聞いた。何があるの? と。
「あ、やっぱりいま、ゾンビが人間の腹を引き裂いてむき出しの真っ赤でぐちゃぐちゃって内臓を味わってる。なんかすごいリアルで、あの死体って本物の人間じゃないかと思うよ」
「本物なわけないでしょうバカ!」
「でもほら、殺してもだいじょうぶみたいなクローン人間を大量に作ってさ、作り物に見せて経済的な殺人がなされているみたいな」
「光って最低!」
「そんな、最低とか言われても……で、マリー、顔を下に向けて来いよ、右もきっとグロいんだからマリーは見ない方がいいって」
光がわたしを気遣ってくれた。そして見ない方がいいだろうって提案は正しいと思いつつ、最後まで意地を通したいというわたしの意地が勝ってしまう。
「んひゅ!」
わたしは窓の向こう側を見てしまった。するとそこでは青い顔をした白衣を着た者が、ベッドに横たわる者の頭を道具で額から切断し脳みそをスポっと取り出すところだった。
「ぁ……」
わたしは両足がフラフラっとなってしまって、まともに歩けなくなる予感に襲われる。
「だから見ない方がいいと言ったのに……」
「ぅ……」
なんか悔しいとは思いつつ、わたしは光の片腕をつかんで歩くほかない。てっきり光の方が怖がって泣き出すと思っていたから、土台をひっくり返されたような気分そのもの。
「もうすぐ出口だ」
光がそうつぶやいたとき、やっとこのやりすぎ空間から脱出できると肩の力が少し抜けそうになる。ところがそのとき、後ろからふっと声が聞こえたんだ。待ってくれ……待ってくれって男の声がした。
「え……」
「んにゅ……」
恐怖で動けなくなったわたしたちが目をやると、暗闇から一人の見知らぬ男性が歩いてきた。そして右手には印象深くハサミを持っている。
「み、光……あれって……人形だよね」
「リアルすぎて怖いけれど人形……だいじょうぶ……」
すると男性は死にたいのに死ねないんだよぉ! とか言って、はさみで自分の左指をブチブチ切断し始めたんだ。
「ひぃ!」
わたしと光がそろって悲鳴を上げると、男性は死なせてくれよぉ! と連発したら、今度は右手にジャックナイフを持って自分のお腹にブスっと突き刺した。
「ひ、ひぅ……」
わたしと光が恐怖で動けなくなっている中、男性の内臓が地面にぼろぼろとこぼれていく。そして一度聞いたら忘れられないような絶叫をしたのだけれど、そこで突然に地面がパカっと開いて……その男性とか地面に転がっていたモノとかすべてが落下し……地面はふさがった。
「あ……」
「マリー?」
「こ、腰……腰が抜けた……」
「えぇ……」
「光ぅ……」
「し、仕方ないなぁ……」
「おぶってくれるの?」
「ま、マリーが嫌じゃなかったら……」
「光ぅ、愛してる!」
「そ、そういう言い方は……」
「じゃぁ、えい!」
「んぬぅ……」
「重くないよね? だいじょうぶだよね?」
「だいじょうぶだけれど……」
「なに?」
「お、大きくてやわらかくて……めちゃくちゃキモチいい……」
「え、なに?」
「な、なんでもない……」
わたしは光におんぶしてもらってこのおそろしい空間から出た。そして太陽の光と広大な空間を目にした時、生きていてよかったぁ! と本気で思う事ができた。
「光、わたしたち生きているんだよね、死んでいないよね」
「なんだよそれ」
「よかった、わたし……生きてる」
「大げさ……あ、そうか!」
「なに?」
「なんだかんだ言って怖かったんだ? マリーは臆病さん!」
「うるさい!」
「せ、背中であばれたら……きょ、巨乳が……」
「光、お願いがあるんだけど……」
「なんだよ……」
「腰抜けが治るまで……もうちょっとこのままでいたい」
「やった!」
「え?」
「あ、いや……マリーの甘えん坊さん」
「いいよ、いつも光がわたしに甘えん坊だからたまには逆にならないといけないんだから」
「あ、甘えん坊なんかやってない……」
「いいからしっかりおぶって散歩でもしてくれたまえ」
「わかったよもう……」
わたしはしばらくこうして光におぶってもらったけれど、ものすごくキブンがよかった。だから心地よく悟るに至る。あぁ、そうかこの瞬間こそが今日という日のハイライトなんだなと。
「光、左をちょっと見て……で、どんなのかちょっとだけ語って」
「え、気になるわけ?」
「ま、まぁ……」
「怖いもの見たさですか」
ここでわたしは足を止めると、左側窓の前に立って中を見る光に聞いた。何があるの? と。
「あ、やっぱりいま、ゾンビが人間の腹を引き裂いてむき出しの真っ赤でぐちゃぐちゃって内臓を味わってる。なんかすごいリアルで、あの死体って本物の人間じゃないかと思うよ」
「本物なわけないでしょうバカ!」
「でもほら、殺してもだいじょうぶみたいなクローン人間を大量に作ってさ、作り物に見せて経済的な殺人がなされているみたいな」
「光って最低!」
「そんな、最低とか言われても……で、マリー、顔を下に向けて来いよ、右もきっとグロいんだからマリーは見ない方がいいって」
光がわたしを気遣ってくれた。そして見ない方がいいだろうって提案は正しいと思いつつ、最後まで意地を通したいというわたしの意地が勝ってしまう。
「んひゅ!」
わたしは窓の向こう側を見てしまった。するとそこでは青い顔をした白衣を着た者が、ベッドに横たわる者の頭を道具で額から切断し脳みそをスポっと取り出すところだった。
「ぁ……」
わたしは両足がフラフラっとなってしまって、まともに歩けなくなる予感に襲われる。
「だから見ない方がいいと言ったのに……」
「ぅ……」
なんか悔しいとは思いつつ、わたしは光の片腕をつかんで歩くほかない。てっきり光の方が怖がって泣き出すと思っていたから、土台をひっくり返されたような気分そのもの。
「もうすぐ出口だ」
光がそうつぶやいたとき、やっとこのやりすぎ空間から脱出できると肩の力が少し抜けそうになる。ところがそのとき、後ろからふっと声が聞こえたんだ。待ってくれ……待ってくれって男の声がした。
「え……」
「んにゅ……」
恐怖で動けなくなったわたしたちが目をやると、暗闇から一人の見知らぬ男性が歩いてきた。そして右手には印象深くハサミを持っている。
「み、光……あれって……人形だよね」
「リアルすぎて怖いけれど人形……だいじょうぶ……」
すると男性は死にたいのに死ねないんだよぉ! とか言って、はさみで自分の左指をブチブチ切断し始めたんだ。
「ひぃ!」
わたしと光がそろって悲鳴を上げると、男性は死なせてくれよぉ! と連発したら、今度は右手にジャックナイフを持って自分のお腹にブスっと突き刺した。
「ひ、ひぅ……」
わたしと光が恐怖で動けなくなっている中、男性の内臓が地面にぼろぼろとこぼれていく。そして一度聞いたら忘れられないような絶叫をしたのだけれど、そこで突然に地面がパカっと開いて……その男性とか地面に転がっていたモノとかすべてが落下し……地面はふさがった。
「あ……」
「マリー?」
「こ、腰……腰が抜けた……」
「えぇ……」
「光ぅ……」
「し、仕方ないなぁ……」
「おぶってくれるの?」
「ま、マリーが嫌じゃなかったら……」
「光ぅ、愛してる!」
「そ、そういう言い方は……」
「じゃぁ、えい!」
「んぬぅ……」
「重くないよね? だいじょうぶだよね?」
「だいじょうぶだけれど……」
「なに?」
「お、大きくてやわらかくて……めちゃくちゃキモチいい……」
「え、なに?」
「な、なんでもない……」
わたしは光におんぶしてもらってこのおそろしい空間から出た。そして太陽の光と広大な空間を目にした時、生きていてよかったぁ! と本気で思う事ができた。
「光、わたしたち生きているんだよね、死んでいないよね」
「なんだよそれ」
「よかった、わたし……生きてる」
「大げさ……あ、そうか!」
「なに?」
「なんだかんだ言って怖かったんだ? マリーは臆病さん!」
「うるさい!」
「せ、背中であばれたら……きょ、巨乳が……」
「光、お願いがあるんだけど……」
「なんだよ……」
「腰抜けが治るまで……もうちょっとこのままでいたい」
「やった!」
「え?」
「あ、いや……マリーの甘えん坊さん」
「いいよ、いつも光がわたしに甘えん坊だからたまには逆にならないといけないんだから」
「あ、甘えん坊なんかやってない……」
「いいからしっかりおぶって散歩でもしてくれたまえ」
「わかったよもう……」
わたしはしばらくこうして光におぶってもらったけれど、ものすごくキブンがよかった。だから心地よく悟るに至る。あぁ、そうかこの瞬間こそが今日という日のハイライトなんだなと。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる