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86・巨乳っていい言葉だったんだ
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86・巨乳っていい言葉だったんだ
今日は光が学校終了と同時に急いで帰らなきゃいけないって事だったから、わたしは友人とまったり会話しながら下校する。
「あ、そうだ思い出した!」
「どうしたマリー」
「この間、なんか気になるって事があったんだ」
「え、なに?」
「買い物に向かう途中だったんだけど、えっと……あれは40とか50くらいって年齢かな、そういう男性とすれ違ったんだけれど、すれ違いざまに言われたんだ」
「なんて?」
「おまえ中学生くらいのくせしてかなりのボインだな! とか」
「ボイン?」
「いや、なんだろうそれって思ったけれどスマホを持っていなかったし、後で調べようと思ったらすっかり忘れちゃ
って、いま急にふっと舞い込むようにして思い出されたんだ」
「知らないけれど……でも……」
「でも?」
「なんでかな……と思うけれど、ゲロい言葉って気がする。不思議と良い気がしない」
「あ、わたしもそんな風に感じた」
「よし、せっかくだから調べよう、マリー」
友人と2人で近くの公園に入った。そしてスマホでなぜか心地よいと思えないボインという言葉を調べてみた。
「あ、なるほど……マリーが言われるわけだ……」
「え、なに? どういうこと?」
「ボインって巨乳に該当する前世紀のエロワードなんだって」
「え、そうなんだ? でもさぁ……なんでだろう、ボインって響きはかなりキモい。巨乳の方がすごくマシって思えるんだけど」
「わかる、わたしもボインって聞くとなんか腐ったミルクを飲まされるみたいな汚いイメージが浮かぶよ」
「おぉ! いまの語彙力はいい感じ!」
「いぇい!」
「ついでにさぁ、他に言葉はないか調べてくれない?」
「えっとね……うわぁ……口にするのも憚られるってやつだ。言ってもいい?」
「なに、ここまで来たらちゃんと聞かせてもらうよ」
「デカパイだって……」
「うわぁ……聞かなきゃよかった……」
「マリーはデカパイ! とか」
「やめて! 今度言ったら許さないぞ」
「そうだよね、マリーは巨乳の方がずっとマシに聞こえるね」
「わたしいま初めて思った。巨乳っていい言葉だったんだなぁって、ほんとうにそう思った」
「だよね、マリーはボイン! とか周りだって恥ずかしくて言えない」
「むぅ!」
「あ、ごめん、もう言いません! でもさ、マリー、いまフッと思ったんだけれど」
「なに?」
「マリーの愛しい彼氏、光はこの言葉を知っているかな……って」
「知らないんじゃないの? だってわたしと同じ年齢なのに」
「いやいや、男のエロ学って女の想像を超えるからさぁ、知っているかもよ。マリーが知らないだけで彼氏の方は実は知っていました! というオチかもよ」
「ん……」
わたしは光がこのボインというおぞましい響きの言葉を知っているかどうか気になった。そしてなんでか、知らないでいて欲しいと思った。だから家に帰って逸るキモチを数時間ほどガマンしてから、光に電話をしてみた。
「光、ちょっと言ってもいい?」
「え、なに、どうしたの?」
「わたしって……」
「ん?」
「わたしってボインだよね……」
「ブッ! ごほごほ、なに急に」
あ、いまの反応……何か飲んでいて吹き出したのだろうけど、もう確実に知っているとしか言えない。なんでわたしと同じ年齢の光が知っているんだと思った次の瞬間……そうか、男子はエロいからいろんな所で知っていても不思議ではないか……マンガとかライトノベルとか、エロい代物とかで学習しているんだ、まして小説家になりたいなんて思う光ならなおさらかと理解した。
「光……」
「な、なんだよ」
「最低……」
「え、なんで、どうして」
「ふん!」
わたしは電話を切るとスマホを横に置いてベッドに寝転がる。そして改めて、こんな事もあるのか……という感じで思った。巨乳っていい言葉だ、巨乳って言葉を思いついた人には感謝しなきゃいけないなぁとか。
今日は光が学校終了と同時に急いで帰らなきゃいけないって事だったから、わたしは友人とまったり会話しながら下校する。
「あ、そうだ思い出した!」
「どうしたマリー」
「この間、なんか気になるって事があったんだ」
「え、なに?」
「買い物に向かう途中だったんだけど、えっと……あれは40とか50くらいって年齢かな、そういう男性とすれ違ったんだけれど、すれ違いざまに言われたんだ」
「なんて?」
「おまえ中学生くらいのくせしてかなりのボインだな! とか」
「ボイン?」
「いや、なんだろうそれって思ったけれどスマホを持っていなかったし、後で調べようと思ったらすっかり忘れちゃ
って、いま急にふっと舞い込むようにして思い出されたんだ」
「知らないけれど……でも……」
「でも?」
「なんでかな……と思うけれど、ゲロい言葉って気がする。不思議と良い気がしない」
「あ、わたしもそんな風に感じた」
「よし、せっかくだから調べよう、マリー」
友人と2人で近くの公園に入った。そしてスマホでなぜか心地よいと思えないボインという言葉を調べてみた。
「あ、なるほど……マリーが言われるわけだ……」
「え、なに? どういうこと?」
「ボインって巨乳に該当する前世紀のエロワードなんだって」
「え、そうなんだ? でもさぁ……なんでだろう、ボインって響きはかなりキモい。巨乳の方がすごくマシって思えるんだけど」
「わかる、わたしもボインって聞くとなんか腐ったミルクを飲まされるみたいな汚いイメージが浮かぶよ」
「おぉ! いまの語彙力はいい感じ!」
「いぇい!」
「ついでにさぁ、他に言葉はないか調べてくれない?」
「えっとね……うわぁ……口にするのも憚られるってやつだ。言ってもいい?」
「なに、ここまで来たらちゃんと聞かせてもらうよ」
「デカパイだって……」
「うわぁ……聞かなきゃよかった……」
「マリーはデカパイ! とか」
「やめて! 今度言ったら許さないぞ」
「そうだよね、マリーは巨乳の方がずっとマシに聞こえるね」
「わたしいま初めて思った。巨乳っていい言葉だったんだなぁって、ほんとうにそう思った」
「だよね、マリーはボイン! とか周りだって恥ずかしくて言えない」
「むぅ!」
「あ、ごめん、もう言いません! でもさ、マリー、いまフッと思ったんだけれど」
「なに?」
「マリーの愛しい彼氏、光はこの言葉を知っているかな……って」
「知らないんじゃないの? だってわたしと同じ年齢なのに」
「いやいや、男のエロ学って女の想像を超えるからさぁ、知っているかもよ。マリーが知らないだけで彼氏の方は実は知っていました! というオチかもよ」
「ん……」
わたしは光がこのボインというおぞましい響きの言葉を知っているかどうか気になった。そしてなんでか、知らないでいて欲しいと思った。だから家に帰って逸るキモチを数時間ほどガマンしてから、光に電話をしてみた。
「光、ちょっと言ってもいい?」
「え、なに、どうしたの?」
「わたしって……」
「ん?」
「わたしってボインだよね……」
「ブッ! ごほごほ、なに急に」
あ、いまの反応……何か飲んでいて吹き出したのだろうけど、もう確実に知っているとしか言えない。なんでわたしと同じ年齢の光が知っているんだと思った次の瞬間……そうか、男子はエロいからいろんな所で知っていても不思議ではないか……マンガとかライトノベルとか、エロい代物とかで学習しているんだ、まして小説家になりたいなんて思う光ならなおさらかと理解した。
「光……」
「な、なんだよ」
「最低……」
「え、なんで、どうして」
「ふん!」
わたしは電話を切るとスマホを横に置いてベッドに寝転がる。そして改めて、こんな事もあるのか……という感じで思った。巨乳っていい言葉だ、巨乳って言葉を思いついた人には感謝しなきゃいけないなぁとか。
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