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118・とりあえず……卒業おめでとうございます
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118・とりあえず……卒業おめでとうございます
(またか……)
朝、学校に来て教室に入って机の中をに手を入れたら手紙が入っていた。それの差出人は誰か? と言えば黒井先輩からだ。わたしにいきなり最低な事をした先輩であり、せっかくいい友人になれると思った期待感をぶち壊した人。
あの一件以来全然口を聞いていない。先輩も当然気まずいだろうからわたしの教室にやってきたりはしない。でもこういう事はしてくる。3年はもうすぐ卒業だから謝りたいとか思っているのかもしれない。放課後に体育館の裏に来てくださいって書いてあり、わたしはそう書かれた手紙をこれまで2回無視している。だからわたしは昼休みにて光に相談。
「光、ちょっと話を聞いて欲しい」
「なに?」
「あのさぁ、わたしさ……その親しくなれそうだったと先輩とちょっとトラブったんだよ。もちろんわたしはなーんにも悪くない、悪いのは全部あっちってがっちり断言できるよ。ただその……向こうが謝りたい思っているらしく、ここ最近机の中に手紙が入っているんだ。このまま無視して放置してもいいかな?」
「その先輩とどんなことがあったの?」
「ぅ……そ、それはちょっと言いにくい……」
「ん……それって笑えないレベルの話」
「少なくとも今は笑えない、っていうか10年後も笑えないという気はする」
「だったら行かなくてもいいんじゃないかな」
昼休みのグランド隅っこで3年の校舎を見ながら、わたしは光のアドバイスを聞いて、もうちょい何か言って欲しいなんて思った。するとその心を読み取ったみたいなタイミングで光が続けたんだ。
「ただ……」
「ただ?」
「一応言うだけだけど、謝るのもタイミングがあって、それを外したら謝れなくなる。それと同じで許すっていうのも許せるなら許せるときに許した方がいいかもしれない。許すタイミングを外したら、永遠に許さないという事になるのかなぁとは思う」
「ん……」
「でも、先輩とマリーに何があったかわからないから迂闊なことは言えない。だからマリーの素直なキモチに従った行動をすればいいんだよ」
おぉ……なんか深い! と思った。さすが我が彼氏、言うことがかっこういいと胸に刺さった。ではどうするか……と考えた結果、わたしはとりあえず放課後になったら先輩が待っている体育館の裏に足を運んだ。
「あ、マリー、来てくれたんだ!」
先輩はわたしが来たのを見ると満面の笑みで近づいてこようとした。
「む!」
わたしは左手の平をまっすぐ前に突き出しストップをかけた。そして言いたい事を言わせてもらおうと先手で口を開く。
「先輩、わたし……あの日のことを今は全然気にしていないとか言えません。そしてこれからも忘れることはないだろうと思うし、一回悪くなった先輩のイメージが天使に戻るってこともないと思います。だからほんとうはここに来たくなかったんです。じゃぁなんで来た? といえば、自分の中でキモチが理不尽にモヤモヤするから。だから先輩のことを許すかどうかっていうのはわからないとして、代わりに一言だけ発してすべてを終わりにしようと思ったんです」
「代わりの一言?」
「とりあえず卒業おめでとうございます」
「マリー」
「じゃぁ」
わたしは言うだけ言ったらすぐにクルっと回って体育館を後にした。後ろから先輩が呼び止める声は聞こえなかったけれど、その事にホッとしながら光が待っている校門付近にたどり着く。
「光」
「どうだった、だいじょうぶ?」
「うん、だいじょうぶ、さ、ウォーキングデートしよう!」
わたしは光といっしょに歩き出したとき、ほんのちょっと身が軽くなったように思ったりした。
(またか……)
朝、学校に来て教室に入って机の中をに手を入れたら手紙が入っていた。それの差出人は誰か? と言えば黒井先輩からだ。わたしにいきなり最低な事をした先輩であり、せっかくいい友人になれると思った期待感をぶち壊した人。
あの一件以来全然口を聞いていない。先輩も当然気まずいだろうからわたしの教室にやってきたりはしない。でもこういう事はしてくる。3年はもうすぐ卒業だから謝りたいとか思っているのかもしれない。放課後に体育館の裏に来てくださいって書いてあり、わたしはそう書かれた手紙をこれまで2回無視している。だからわたしは昼休みにて光に相談。
「光、ちょっと話を聞いて欲しい」
「なに?」
「あのさぁ、わたしさ……その親しくなれそうだったと先輩とちょっとトラブったんだよ。もちろんわたしはなーんにも悪くない、悪いのは全部あっちってがっちり断言できるよ。ただその……向こうが謝りたい思っているらしく、ここ最近机の中に手紙が入っているんだ。このまま無視して放置してもいいかな?」
「その先輩とどんなことがあったの?」
「ぅ……そ、それはちょっと言いにくい……」
「ん……それって笑えないレベルの話」
「少なくとも今は笑えない、っていうか10年後も笑えないという気はする」
「だったら行かなくてもいいんじゃないかな」
昼休みのグランド隅っこで3年の校舎を見ながら、わたしは光のアドバイスを聞いて、もうちょい何か言って欲しいなんて思った。するとその心を読み取ったみたいなタイミングで光が続けたんだ。
「ただ……」
「ただ?」
「一応言うだけだけど、謝るのもタイミングがあって、それを外したら謝れなくなる。それと同じで許すっていうのも許せるなら許せるときに許した方がいいかもしれない。許すタイミングを外したら、永遠に許さないという事になるのかなぁとは思う」
「ん……」
「でも、先輩とマリーに何があったかわからないから迂闊なことは言えない。だからマリーの素直なキモチに従った行動をすればいいんだよ」
おぉ……なんか深い! と思った。さすが我が彼氏、言うことがかっこういいと胸に刺さった。ではどうするか……と考えた結果、わたしはとりあえず放課後になったら先輩が待っている体育館の裏に足を運んだ。
「あ、マリー、来てくれたんだ!」
先輩はわたしが来たのを見ると満面の笑みで近づいてこようとした。
「む!」
わたしは左手の平をまっすぐ前に突き出しストップをかけた。そして言いたい事を言わせてもらおうと先手で口を開く。
「先輩、わたし……あの日のことを今は全然気にしていないとか言えません。そしてこれからも忘れることはないだろうと思うし、一回悪くなった先輩のイメージが天使に戻るってこともないと思います。だからほんとうはここに来たくなかったんです。じゃぁなんで来た? といえば、自分の中でキモチが理不尽にモヤモヤするから。だから先輩のことを許すかどうかっていうのはわからないとして、代わりに一言だけ発してすべてを終わりにしようと思ったんです」
「代わりの一言?」
「とりあえず卒業おめでとうございます」
「マリー」
「じゃぁ」
わたしは言うだけ言ったらすぐにクルっと回って体育館を後にした。後ろから先輩が呼び止める声は聞こえなかったけれど、その事にホッとしながら光が待っている校門付近にたどり着く。
「光」
「どうだった、だいじょうぶ?」
「うん、だいじょうぶ、さ、ウォーキングデートしよう!」
わたしは光といっしょに歩き出したとき、ほんのちょっと身が軽くなったように思ったりした。
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