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多貴VSエリー、妹を取られ追放されてしまう……
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3・多貴VSエリー、妹を取られ追放されてしまう……
うざったい網から解放されたら、詩貴はポニーの横に立たされた。その真後ろには青シャツ隊の数人がいるのでおとなしくせざるを得ない。
「ほら、デブ!」
ポニーはそう言うといつ手にしていたのかわからない剣というのを、オドオドが止まらない多貴に向かってやんわり放り投げた。
「え、ええ?」
ドキッとしながらも慌ててポンメルとかいう部分を掴む。すると今度はズシって本物故の重たさに青ざめる。
「ちょっと待って!」
ポニーのとなりに立たされた詩貴が怒りの声を出す。
「あら、どうしたの?」
ふんふん♪ とたのしそうな顔で腕組みをするポニー。
「急にこんな事ができるわけない。仮に兄が堕落していなかったとしても、突然に剣なんか持って勝負できるわけない。こんなのアンフェアで卑怯!」
詩貴の発言はたしかに正論だと思われたが、ポニーは特に気にしたりせず即座に反論を展開した。
「詩貴、世の中っていうのはいつどこで何が起こるかわからない。たとえそれが不測の事態であったとしても、力量不足は本人のせいでしょう? だいたいあれだよ、詩貴みたいなしっかり者って妹に心酔されているんだから、兄はそれに応える義務がある、そうでしょう? まさかそんな堕落したあげく妹のために戦うことすらできないなんて、そんな兄はド腐れで死んだ方がマシでしょう?」
「で、でも……本物の剣なんか使ったら……」
「だいじょうぶ、殺せなんて命じないし、エリーにキズひとつ付けるだけで勝利になるって、こんなにやさしい話なんだから後は兄次第」
ポニーはニンマリしながら色白な手をパン! と合わせ軽い音を立てた。すると剣を持ったエリーが多貴の前に立つ。
(ぅ……)
多貴はもうまるっきり怯えるだけだった。神々しく重たい剣なんぞ扱うどころか、それっぽく持って構えるだけでも大変。たとえアニメなどで見るような動きをイメージして動いても、絶対何の役にも立たないとしか思えず心臓がバコバコする。
対するエリー、手に持つ剣を下に向けて詩貴を見ていたが、これはちょっとたまらないなぁという顔をポニーの方へ向けて訴えた。
「ポニー、わたしイヤですよ、こんなだらしない腑抜けと戦うなんて。望まない悪人になるような気がして耐え難いんですけど……」
「まぁま、あんまりマジメに考えないで、チャチャっとぶっ倒してくれるだけでいいの、エリーのプライドが苦にならない内に早くやっちゃって」
「わかりました……」
こんな会話が終わったと思ったら、多貴は突然のことにびっくりした。なぜって瞬きした次の瞬間には、剣を振り下ろさんとするエリーの姿が眼前にあったから。
「あぅ!」
ビクン! となって両目を閉じると、エリーのスマッシュヒットみたいな蹴りが多貴の土手っ腹に入った。
「あぅぅ!!」
勢いよく床にひっくり返る多貴、すぐさまお腹を抑え痛いよぉと転がり始める。それを見たエリーはやれやれと疲れたような顔で言う。
「戦いで両目を閉じるとか、一発食らったくらいでのたうち回るとか、やだやだ、こんな男の相手なんて我が人生における汚点だわ」
ここで詩貴が兄に駆け寄ろうとする。だがそれを腕を伸ばすことでポニーは抑える。そして痛がっている情けない存在に向かって言い放つ。
「デブ、妹のために一回も攻撃せずに終わる? ありえないね、こんなステキな妹にお兄ちゃんとか言われ、しかもなに、過去はかっこうよかった! と未だに信じてもらえて、その結果がその無様とか、なんかもう見ていてムカついちゃうって話。いっそのこと死ぬ? その方が人類のためにいいんじゃない?」
ふん! と見下しの声をひとつ吐く。するとどうだろう、一回くらいはやってやる! と思ったのか、それとも男子という名のたましいに火が付いたのか、多貴が立ち上がりぼくもやる時はやってやるんだとかつぶやいた。
「お兄ちゃん、ムリだから……いいよ、わたしが許してもらうように土下座するから」
詩貴はそう言うとその場に言葉通りの姿勢をしてみせた。そしてポニーに向かい、こういう事はやめてくださいと頭を下げる。
「やだもう、なんで詩貴ってそんなにいい妹なの……泣けちゃうよね、だからますます恋人にしたくなった。デブ、あんた妹に土下座なんかさせて恥ずかしくないの? もし腹が立つっていうなら、エリーにかすり傷ひとつ付けてみなさい」
ポニーに言われ詩貴は剣を持ってとりあえず構えた。それはもうムチャクチャな構えに加え、剣が重いです……とよろめきかけてもいる。
「オーケー、じゃぁチャンスをあげる。わたしは反撃しないと約束する。それでキズのひとつもつけてごらんなさいよ」
ガランと音がしたのは、エリーが手持ちの剣を床に放り投げたからだ。そして武器を持たない丸腰で、両腕を下に下ろし多貴を見つめる。
「うぉぉぉぉ!! 妹を返せ!」
多貴、とりあえず、なんでもいいから……たとえ無謀でも何でもと、剣を振りかざしながらエリーに突進をかける。
しかし当たらない、どんなに剣を振ってもスイスイっと流れるように動くエリーにはまったく当たらない。そして基礎体力の大幅な低下という情けない事実により、早くもゼーゼー息を切らし始める。
「ダメだこれ……」
カンベンしてちょうだいって顔を一瞬浮かべたエリー、フッと多貴の前から姿を消す。そしてすぐ後ろに立って多貴の腕を掴む。それで相手が暴れたりするので押し倒し、完全に制圧してしまう。
「はい、エリーの勝ちぃ」
「お兄ちゃん!」
「詩貴、目を覚ました方がいいよ。あんたの思い描く兄なんてもう死んでいるんだよ。またいつか復活するって夢を見るより、このわたしと愛し合ってたのしい物語をつくりましょう」
エヘッと赤らんだポニーは詩貴を見ていた目を多貴に向けると、こんなクズは山奥にでも捨てる吉とかつぶやき、パチン! っと指を鳴らした。するとポニーの考えはちゃんとわかっていますという感じで、青シャツ隊の数人が多貴の縄で縛り始める。
「あぅぅ……」
ジタバタする多貴だがもう自由はない。後ろに両腕を回され縄で縛られてしまうと、いかんともし難い姿以外の何でもない。
「お兄ちゃんをどうする気なの?」
兄に近づこうとするゆえ、詩貴も青シャツ隊の数人に動きを抑えられている。そんな中なんともまったりな表情のポニーが言った。
「さぁ、行こうか」
これから処刑でもされるのかって感じで歩かされる多貴、イチイチすべてが立派だなぁという光景を何度も見て通り過ぎながら城の外に出た。
「え、えぇ……」
縄に縛られたまま多貴は馬の背中に乗っけられた。とりあえずすぐには落ちないようにとか声がする中、軽く不自由な体を馬に縛り付けられた。するとポニーが馬の横にやってきて、なんとも物悲しい多貴に向かって言った。
「多貴、詩貴はわたしがもらうから」
「な、なにを……」
「くやしい? だったらいつでもリベンジしに来なさいな。詩貴が言うような兄だったら、大切な妹のためにがんばれるでしょう? わたしは強いとか前向きって言葉が好き。だからリトライしに来たら歓迎してあげる。だけどもしリトライすらできないような根性なしだったら、そのときは勝手に死ねばいいんだよ」
ポニーはそう言ったら、止めて! と訴えている詩貴に構うことなく、馬の尻を激しく叩いた。
すると鳴き声をあげた馬が走り出す。夕暮れという表情の空の下、開かれていた門に向かって爆走が始まった。
「う、うぁ……お、おち……」
青ざめる多貴は妹の事を心配する余裕なんかない。猛烈なスピードで走る馬の背中にて、呼吸も忘れてドキドキするばかり。
「あ~ははははは」
いぇ~と愉快そうに笑うポニーの声が響いた。こうして多貴はどこに存在していたのかわからない異質な世界において、不安しか見えない未知のフィールドに追いやられていく。立派なお城がどんどん遠ざかっていき、脳内情報と一致しない空気や風を感じながら、ひたすら青ざめガクガクしながら、ただひたすら猛烈に走る馬に運命を預けるしかできなかった。
うざったい網から解放されたら、詩貴はポニーの横に立たされた。その真後ろには青シャツ隊の数人がいるのでおとなしくせざるを得ない。
「ほら、デブ!」
ポニーはそう言うといつ手にしていたのかわからない剣というのを、オドオドが止まらない多貴に向かってやんわり放り投げた。
「え、ええ?」
ドキッとしながらも慌ててポンメルとかいう部分を掴む。すると今度はズシって本物故の重たさに青ざめる。
「ちょっと待って!」
ポニーのとなりに立たされた詩貴が怒りの声を出す。
「あら、どうしたの?」
ふんふん♪ とたのしそうな顔で腕組みをするポニー。
「急にこんな事ができるわけない。仮に兄が堕落していなかったとしても、突然に剣なんか持って勝負できるわけない。こんなのアンフェアで卑怯!」
詩貴の発言はたしかに正論だと思われたが、ポニーは特に気にしたりせず即座に反論を展開した。
「詩貴、世の中っていうのはいつどこで何が起こるかわからない。たとえそれが不測の事態であったとしても、力量不足は本人のせいでしょう? だいたいあれだよ、詩貴みたいなしっかり者って妹に心酔されているんだから、兄はそれに応える義務がある、そうでしょう? まさかそんな堕落したあげく妹のために戦うことすらできないなんて、そんな兄はド腐れで死んだ方がマシでしょう?」
「で、でも……本物の剣なんか使ったら……」
「だいじょうぶ、殺せなんて命じないし、エリーにキズひとつ付けるだけで勝利になるって、こんなにやさしい話なんだから後は兄次第」
ポニーはニンマリしながら色白な手をパン! と合わせ軽い音を立てた。すると剣を持ったエリーが多貴の前に立つ。
(ぅ……)
多貴はもうまるっきり怯えるだけだった。神々しく重たい剣なんぞ扱うどころか、それっぽく持って構えるだけでも大変。たとえアニメなどで見るような動きをイメージして動いても、絶対何の役にも立たないとしか思えず心臓がバコバコする。
対するエリー、手に持つ剣を下に向けて詩貴を見ていたが、これはちょっとたまらないなぁという顔をポニーの方へ向けて訴えた。
「ポニー、わたしイヤですよ、こんなだらしない腑抜けと戦うなんて。望まない悪人になるような気がして耐え難いんですけど……」
「まぁま、あんまりマジメに考えないで、チャチャっとぶっ倒してくれるだけでいいの、エリーのプライドが苦にならない内に早くやっちゃって」
「わかりました……」
こんな会話が終わったと思ったら、多貴は突然のことにびっくりした。なぜって瞬きした次の瞬間には、剣を振り下ろさんとするエリーの姿が眼前にあったから。
「あぅ!」
ビクン! となって両目を閉じると、エリーのスマッシュヒットみたいな蹴りが多貴の土手っ腹に入った。
「あぅぅ!!」
勢いよく床にひっくり返る多貴、すぐさまお腹を抑え痛いよぉと転がり始める。それを見たエリーはやれやれと疲れたような顔で言う。
「戦いで両目を閉じるとか、一発食らったくらいでのたうち回るとか、やだやだ、こんな男の相手なんて我が人生における汚点だわ」
ここで詩貴が兄に駆け寄ろうとする。だがそれを腕を伸ばすことでポニーは抑える。そして痛がっている情けない存在に向かって言い放つ。
「デブ、妹のために一回も攻撃せずに終わる? ありえないね、こんなステキな妹にお兄ちゃんとか言われ、しかもなに、過去はかっこうよかった! と未だに信じてもらえて、その結果がその無様とか、なんかもう見ていてムカついちゃうって話。いっそのこと死ぬ? その方が人類のためにいいんじゃない?」
ふん! と見下しの声をひとつ吐く。するとどうだろう、一回くらいはやってやる! と思ったのか、それとも男子という名のたましいに火が付いたのか、多貴が立ち上がりぼくもやる時はやってやるんだとかつぶやいた。
「お兄ちゃん、ムリだから……いいよ、わたしが許してもらうように土下座するから」
詩貴はそう言うとその場に言葉通りの姿勢をしてみせた。そしてポニーに向かい、こういう事はやめてくださいと頭を下げる。
「やだもう、なんで詩貴ってそんなにいい妹なの……泣けちゃうよね、だからますます恋人にしたくなった。デブ、あんた妹に土下座なんかさせて恥ずかしくないの? もし腹が立つっていうなら、エリーにかすり傷ひとつ付けてみなさい」
ポニーに言われ詩貴は剣を持ってとりあえず構えた。それはもうムチャクチャな構えに加え、剣が重いです……とよろめきかけてもいる。
「オーケー、じゃぁチャンスをあげる。わたしは反撃しないと約束する。それでキズのひとつもつけてごらんなさいよ」
ガランと音がしたのは、エリーが手持ちの剣を床に放り投げたからだ。そして武器を持たない丸腰で、両腕を下に下ろし多貴を見つめる。
「うぉぉぉぉ!! 妹を返せ!」
多貴、とりあえず、なんでもいいから……たとえ無謀でも何でもと、剣を振りかざしながらエリーに突進をかける。
しかし当たらない、どんなに剣を振ってもスイスイっと流れるように動くエリーにはまったく当たらない。そして基礎体力の大幅な低下という情けない事実により、早くもゼーゼー息を切らし始める。
「ダメだこれ……」
カンベンしてちょうだいって顔を一瞬浮かべたエリー、フッと多貴の前から姿を消す。そしてすぐ後ろに立って多貴の腕を掴む。それで相手が暴れたりするので押し倒し、完全に制圧してしまう。
「はい、エリーの勝ちぃ」
「お兄ちゃん!」
「詩貴、目を覚ました方がいいよ。あんたの思い描く兄なんてもう死んでいるんだよ。またいつか復活するって夢を見るより、このわたしと愛し合ってたのしい物語をつくりましょう」
エヘッと赤らんだポニーは詩貴を見ていた目を多貴に向けると、こんなクズは山奥にでも捨てる吉とかつぶやき、パチン! っと指を鳴らした。するとポニーの考えはちゃんとわかっていますという感じで、青シャツ隊の数人が多貴の縄で縛り始める。
「あぅぅ……」
ジタバタする多貴だがもう自由はない。後ろに両腕を回され縄で縛られてしまうと、いかんともし難い姿以外の何でもない。
「お兄ちゃんをどうする気なの?」
兄に近づこうとするゆえ、詩貴も青シャツ隊の数人に動きを抑えられている。そんな中なんともまったりな表情のポニーが言った。
「さぁ、行こうか」
これから処刑でもされるのかって感じで歩かされる多貴、イチイチすべてが立派だなぁという光景を何度も見て通り過ぎながら城の外に出た。
「え、えぇ……」
縄に縛られたまま多貴は馬の背中に乗っけられた。とりあえずすぐには落ちないようにとか声がする中、軽く不自由な体を馬に縛り付けられた。するとポニーが馬の横にやってきて、なんとも物悲しい多貴に向かって言った。
「多貴、詩貴はわたしがもらうから」
「な、なにを……」
「くやしい? だったらいつでもリベンジしに来なさいな。詩貴が言うような兄だったら、大切な妹のためにがんばれるでしょう? わたしは強いとか前向きって言葉が好き。だからリトライしに来たら歓迎してあげる。だけどもしリトライすらできないような根性なしだったら、そのときは勝手に死ねばいいんだよ」
ポニーはそう言ったら、止めて! と訴えている詩貴に構うことなく、馬の尻を激しく叩いた。
すると鳴き声をあげた馬が走り出す。夕暮れという表情の空の下、開かれていた門に向かって爆走が始まった。
「う、うぁ……お、おち……」
青ざめる多貴は妹の事を心配する余裕なんかない。猛烈なスピードで走る馬の背中にて、呼吸も忘れてドキドキするばかり。
「あ~ははははは」
いぇ~と愉快そうに笑うポニーの声が響いた。こうして多貴はどこに存在していたのかわからない異質な世界において、不安しか見えない未知のフィールドに追いやられていく。立派なお城がどんどん遠ざかっていき、脳内情報と一致しない空気や風を感じながら、ひたすら青ざめガクガクしながら、ただひたすら猛烈に走る馬に運命を預けるしかできなかった。
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